月別アーカイブ: 2016年6月

三枝メソッド

ある時期に、私は歯科医向けの講演を控えるようになりました。

人様に教えられるほど、私は大した歯科医ではないと思ったからです。

加えて、

もっともっと逆に自分自身が勉強したいと渇望したからです。

それからの私は歯科医との関わりあいを絶ちました。

毎日の診療の質を更に濃く望み、

文献を漁り、

実験室での手探りの作業。

母校での関わり以外は、

正に自閉症のように歯とだけ向き合っていました。

が、

母校から巣だった若き歯科医が再訪して下さったり、

人と人との繋がりからでしょうか?

気がつけば多くの若き歯科医が集まって下さるようになりました。

私の歯科治療を一言で申し上げると、

【全人的歯科治療】であったと思っています。

インプラント、審美歯科、修復、歯周病治療、噛み合わせ治療。

様々な治療パートが在りますが、

それは単なる【戦術】でしかありません。

歯科治療とは【戦術】の組み合わせであり、

また、

歯科治療そのものは

人の身体のリズムと言いますか、

バランスの中に調和させませんと、

長く患者さんの健康維持のお役にはたてません。

私の独特の治療を若き歯科医たちが【三枝メソッド】と呼ぶ由縁が

此処にあるのでしょう。

私には息子が一人居ります。

息子も将来に必ず歯の仕事の苦しみを味わうでしょう。

私の若き時代に大勢の先人の胸を借りました。

現在でも、そうです。

今の私に出来ること。

お申し出のある処で、

私は自分の歯科治療を隠さずお見せしようと考えが変わりました。

講演会や講習会の予定が思わぬ処からも入って来ています。

この様な時に私は、線引きはしません。

スケジュールと体力と相談し、

選ばずお受けする積もりです。

想うに、

今の歯科治療は治療の体を成してはいません。

ただただ少ない患者さんを増やそうと、

躍起になり、

泥化した体を成しているように思います。

患者さんは賢明です。

本当に困った時には、

技術力と人間味ある医師を判別出来るのです。

治療のための治療ではなく、

患者さんの健康維持のための治療だと云うことを

私たちは肝に命じなければなりません。

臆病者

大学生の夏休み。

私はデパートの販売員のアルバイトに明け暮れていました。

悪友の甘い囁きがキッカケです。

【お金貰って、周りは若い綺麗な女性ばかりやで!】

コレは一石二鳥だと、

私らは喜び勇んでデパートへと出向いたのです。

今に想うと、

随分と勉強になりました。

店員食堂での素の姿の女性に呆気にとられ、

が、

色目を遣われば鼻の下を伸ばして。

当時一緒に遊び呆けた仲間で

6年で歯医者になれたのは私だけでした。

コレは私が優秀であったのではありません。

強いて言えば、

私が臆病者であったからだと思います。

これ以上、道を反れればヤバイ!と、

瞬時にブレーキを踏んでいたからだと思います。

治療においても、

私はとても臆病者です。

失敗したくないので、

病気の裏の裏まで探るようになりました。

それでもマダマダ悩みます。

自分の下した診断に見落としが無いか!と。

時々、その様な自分の性格が嫌になります。

面白いのは、

他人は私の性格を全く逆の評価としていることです。

観えるモノと実際の違い。

それは当時の私が感じた

デパートの女性販売員のようなモノかもしれませんね。

 

 

患者さんとの出会い

私は開業医ですから、ソレコソ色々な方がお越し下さいます。

【街の歯医者さん】らしからぬ趣の私の診療所で

【歯への不安】を

遠慮なく吐き出して頂きたいと、

プライバシー最重要視の造りにしたのです。

私らが取り扱う素材は様々ですが、

歯科医は材料商人ではありません。

先祖から受け継いだ大切な尊い身体の一部である【歯】です。

ジックリと見落としなく、

丁寧な手当てに尽きると、

私は信じてなりません。

 

審美歯科治療の王道

30代の女性です。

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上の前歯2本をメタルボンドクラウンにて治療されていました。

採って着けたような人工物。

で、

変な違和感があったそうです。

で、抜歯して、

インプラントを進められたようです。

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クラウンを外すと、根が折れています。

写真の歯の歯折なら、抜かずに助けられます。

が、

もう隣の歯は時既に遅しの状況でした。

【三枝メソッド】にて治療を進め、

インプラントではなく、ブリッジにて修復します。

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手術後の経過です。

2回目の仮歯を装着して、歯肉の【熟成】を待っています_20160621_082436

 

日課

普段であれば爆睡中の時刻なんですが、

今夜は色々な方からのお電話が多く今に至っています。

当然ベッドの上にはマリリンが横たわって待っています。

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で、私もベッドへと潜り込んだら、

大きな舌で、

私の顔を舐める舐める。

就寝前にはキチンと洗顔してるんですが、

私の顔がそんなに美味しいのでしょうか?

起床時も同じです。

私の朝は、マリリンに顔中を舐められることから始まるのです。

長期的症例から学ぶ

平成14年に治療が終了した患者さんが7年振りに再受診にて。

当時は、殆んどの歯がグラグラして居られました。

歯周病の治療を進め、

そして歯列の矯正は兵庫県川西市の畑 豊歯科医にて。

下の前歯以外は、

前医の根管治療を全てやり直し、

メタルボンドクラウンにて修復した

大掛かりな治療でした。

歯は一切、連結していません。

全て孤立歯で、保存しています。

今日の再受診の訳は、

下の奥歯の脇の歯茎が腫れたことからです。

この患者さんは、とてもプラークコントロールの良い方でした。

私の患者さんに対して、

リコールの葉書、お電話などはしない主義です。

治療期間の際に、凡そのリコールの間隔はお伝えしていますが。

何故リコールの連絡をしないのか?

それは、健康つくりは医師と患者さんの両者の

共同作業だと考えているからです。

来て頂けたら、

私はベストを尽くします。

しかしながら、

来て頂く以上、私は治療費用を頂きます。

この、私がお願いして来て頂くことに抵抗が在るからです。

患者さんにもご都合がお在りでしょうし。

ご不自由が在れば、再びお越しになられるでしょうと云うのが、

私の考えです。

レントゲンを拝見し、

私は安堵したのです。

残念ながら、

腫れた歯茎の処は、歯石が随分と沈着していました。

が、

私の治療痕跡はシッカリと。

骨のバランスも良好ですし、

被せた多くの歯のクラウンの境目もピタッとしています。

歯科治療のコンセプトは歯科医によって異なります。

この患者さんに代表される私の治療のガイドラインは

間違いないと確信したのです。

この患者さんへは、

綺麗に歯の根の表面を私自らの手で、

綺麗に研磨し、今日の治療は終了しました。

 

男の更年期障害

旧友と久し振りに電話での会話。

【男にも更年期障害ってなモンがあるようだねぇ】

から始まった解剖学の教授となりし彼の講釈を聴く私。

無気力気味、身体の疲労感、孤独感。

で、

無趣味ゆえの時間の持て余し。

私らの歳で、

趣味に夢中になれる人を羨ましいと。

阿呆カラスの我々は、

人の一生の10人分位は楽しんだから。

もう遊びようが無い。

此れではイカン!と、

無理して何かしようと無い知恵を搾ってみても、

夜更かしは次の日の仕事に堪えるから控えよう。

眼が商売道具。疲れ過ぎないように休めよう。

子供に仕送りの最中。チョッと我慢しておこう。

家に居てもすることが無い。

家から出ても、

結局は金のかかる事ばかり。

其れは自分の首を絞めるのと同じだから、

馬鹿馬鹿しくてとてもじゃないが止めとこう。

私はビックリしたのです。

私の想いと全く同じであったからです。

【犬でも飼ったらどうや?】

世話する女房に叱られるやないか!

50も過ぎた教授様の女房に叱られるには参りましたが、

【犬の世話は君がするのや】

そんなに可愛いモンかね?

【少なくとも人間の女よりは犬が良いわな】

【あの山口先生も、今では女は卒業して犬だぞ】

え~!犬って凄いんやな!

彼は坂東人の癖に、

私との会話では何故だか関西弁を。

歳を経ると女性は、何処までも果てしなく強くなります。

彼の云う【男の更年期障害】からが、

男と女の明確な境目になると。

今度、長崎で学会があるそうな。

【よし!其処で会おう。】

で、

【犬も飛行機に乗せて連れて帰れ】

怒られるぞ!きっと!

【最初はオネショとウンチで苦労するがな、きっと良かったと思うよ】

想えば、

汚れなき彼に、

悪い遊びを教えたのは私です。

犬ならマシだと思いませんか?

 

男とは

今日は何時もの休日通り

朝から池波正太郎の時代劇を2本ほど。

それも既に見飽きた【鬼平】と【剣客商売】

コレは習慣になってしまったようです。

昼前にはこの中毒の素も終わり、

犬と入浴。

その後に原稿を書いていたら睡魔が襲ってきて

敢えなくダウン。

犬が散歩へと催促するので、

犬には敵わない。

診療所から5キロほどの郊外に暮らす私の住む街並みも、

最近では随分と開けた雰囲気となってきました。

通りのスターバックスの前を通りかかると、

顔馴染みのオネエサンが、

チョッと待ってと云う仕草で、掌をコチラに向けて広げるので

目的は俺に違いない。

なぁ、マリリン、俺も棄てたもんじゃねぇな!

なんて、

マリリンの方は、

イヤイヤそれは大きな勘違い!と云うような顔つきで、

大きな舌をハァハァ出していました。

で、

はい先生!いつものホットのショートアメリカーノ。

お湯は7割に。タップリのシュガーに、ローファットミルクはとても多めで。

マリリンには氷。

で、はい先生の分のだけに伝票、

マリリンはサービス。

チャッカリしたオネエサン。

マリリンは大きく尻尾をフリフリ。

私は片手にマリリンのリード。

もう片手には、熱くて持ちにくいショートアメリカーノ。

そう言えば、

以前新潟市のスターバックスにて

息子から私の【三枝スペシャル】の由縁を聞かれました。

何にでも影響を受けた私は、

若い時分に、

憧れのアメリカの名医たちからコーヒーをご馳走された際には

何故か皆が一様のオーダーレシピであったので、

コレがアメリカの名医の飲むコーヒーと、

大いに感心して、真似したのじゃ!

息子の台詞ですか?

案外、単純なんやね!

見様によったら馬鹿。

ただこの息子。

私が後ろに居るのを知らずに

スターバックスのカウンター越しに、

ホットのショートアメリカーノ!お湯は7割。

いいんです。

少な目で。

ローファットミルクをタップリ入れるのが、僕の好みですから。

 

 

達成感

大きな目標に向かって日々を過ごす。

その間ずっと、

不安感に押し潰され、

諦めることを勧める別の自分の声を惑わされたり、

しかし諦められない未練がましい自分を責めてみたり、

結果を迎える運命の一瞬まで、

その様な状況は情け容赦なく続きます。

で、

念願のかなった時の【達成感】は何物にも変えられない大きな自信となります。

私の今は、

こうした達成感から得た自信だけで

支えて貰っているようなモノです。

未だに私には目標が在ります。

ですから先に述べた不安感も当然ながら日々感じています。

若い頃と違って、

逃げると云う手段よりも、

目標へ辿り着くための手段を

ひとつきりではなく、

複数、

見様によっては蜘蛛の巣を大きく広げたかのようにして

結果の方が引っ掛かる仕掛けを仕込んでいます。

年の功かもしれません。

が、

大きな達成感は、

悲しいかな!

不器用に一本道での勝負をかけた若い頃に優るモノはありません。

人と出会い、

人を知った時に、

瞬間に、

この人が【達成感】への道を歩いた経験あるか否かが判るようになりました。

それは【逃げない人】に特有の【匂い】が在るからです。

その様な人が本当に少なくなりました。

私は目標を持っていますと、申し上げました。

長期的目標、中期的目標、短期的目標、今日明日にといった目標です。

この2週間ほど、

私の頭の中は、あることでイッパイでした。

他所で受けたインプラント治療を引き継いで、

上物、所謂クラウンのやり直しなんですが、

アバットメントスクリューの金属疲労が進み、

どうしてもスクリューが外せませんでした。

ドライバーも各メーカーからお借りしました。

自作でもドライバーを調整しました。

超音波のチップも調整しました。

でも全て駄目でした。

折れたスクリューは梃子でも動かない様相でした。

このインプラント体の設計図を頭に叩き込みました。

で、

私は今日、勝負に出ました。

無論、歯が人工の歯であっても私を裏切りことはありません。

スルスルと逆回転しながら顔を出したスクリューに

「ようこそ」と、

後は、何時ものように何時もの手順で治療を進めたのです。

コレは達成感と云うよりは、

専門家としての、

プロとしての【プライド】です。

私の治療は、

どこかの講習会で覚えたインプラントではありませんから。

次の患者さんはマイクロスコープ治療。

その後が、治療説明の患者さんです。

そんな今日の1日です。

そう言えば昨夜は息子と電話にて口論になりました。

「 父ちゃん、半日は勉強してます。勉強してないって決め付けないで欲しい!」

私の反論ですか?

「 尻に糊をつけて椅子から離れるな!飯食う以外は勉強せぃ!」

息子が其れを実現できたら、私のストレスは半分以上軽くなるんですが。

息子だからこそ、我慢して付き合ってられるんです。

息子以外には、その人にあったエネルギーしか使いませんから。

息子は【達成感】の【匂い】を体得できるのでしょうか?

 

判らないことばかり

先日東京都知事の辞任表明をされた舛添要一知事は

恐らく【世間の目】だけを気にしながら世渡りしてこられた方かと

思いきや、

辞任の決断においては、

世間の目よりご自分の希望の方が勝って居られたのでしょう。

この【世間の目】の変わり身の速さほど

手に負えないモノはありません。

舛添要一知事が、恐らく参議院選挙あるいは知事選挙に出馬された頃の映像が放映されていました。

多くの報道陣に自宅を囲まれる中、

早朝の出勤前に、

ワイシャツの襟を整えず、

起きたばかりと云う演出なのでしょう。

大きなビニール袋を3つ、

【家庭用のごみ】を抱えて地区のごみ置き場へと。

報道陣も 、其れを家庭的な庶民的感覚と云う取り上げ方でした。

一昔前であれば、

其れは【甲斐性の無い駄目亭主】の姿であり、

そんな事をさせる女房へも軽蔑の謗りを受けたでしょうに。

それが今や、逆の評価です。

嘘とお感じなら【さだまさし】の唄を聴いてみて下さい。

あれが私らの時代の日本の男でしたから。

私は皆で特定の方を誹謗する行いは嫌いですが、

あの舛添要一知事は庇う処が皆無でした。

成り上がりの見本みたいな人だったと。

ただこう言う人が出てきたのも

社会の歪みだと思います。

マナーもルールもない。

礼儀作法もしらない。

美徳など遥か昔の言葉となり。

義務も責任をの自覚もなく、

ただただ権利の主張と、

その時々の現状だけに生きる人が多くなった気がします。

小学生の頃に夕方になると、

滝沢馬琴の【南総里見八犬伝】の人形劇がNHKで放映されていました。

オープニングの唄の文句をそのメロディーと共に覚えています。

【仁.義.礼.知.忠.信.孝.貞】♪♪♪

誤字が在ったらスミマセン。

家庭での暮らしから、

社会全般の人との関わりあい全般、

舛添要一知事へ【まっしぐら】

当の私でさえも、

東京都知事だったら、

誰からも怒られないのだったら、

ファーストクラス乗りますよ。

まぁいいか!って、見過ごす教育の結果の見本でしょうね。

でも解せないのは、

彼はもう若者ではないですよ。

ドチラカと言えば初老以上。

私よりは年長です。

頭は良いのに、

育ちなんでしょうか?

それとも、

社会全般の問題なんでしょうか?