日別アーカイブ: 2016年6月11日

品格

先日、トアル料理店の主人と長話する機会がありました。

その店は所謂、有名店、超一流店です。

カウンターだけの、

店主の眼が行き届くことがサービスの【真髄】であると云う

確固たるポリシーのある粋な心配りのある店です。

ですからバブルの時代でも、

不況の昨今に於いても、

たかがキャパの小さな店ですから、

売上は変わらないそうです。

が、

今時は【勘違いのお客】が時に観られると、

少しばかり時代を嘆いておられました。

所謂、ドタキャン客の存在です。

で、

この店では予約は2名しか受付ないと決めたそうです。

3名だと、

ドタキャンされた時に食材の無駄がカバー出来ないからだそうです。

【本当はご家族連れにも味わって頂きたいのですが】

と、

常連客は別として、

一見さんには申し訳ないけど、

そうさせて貰ってます、との

諦め顔が印象的でした。

あぁ、何処もそうなんだなと。

何時でも誰でもイラッシャイ!と云う体勢の店と、

前以ての予約に準備万端整えてお待ちする体勢の店の

区別もつかない【阿呆】が多い時代となりました。

私の診療所も【本当の完全予約制】ですから、

随分と痛い目に遇いました。

が、

ある程度は予想できているものです。

私は自分の患者さんが一番大切です。

未だ私が診療していない方は、私の患者さんではありません。

また、治療に非協力的、

お金さえ出せばリクエストに応えろみたいな方も

ごくごく稀におられます。

アポイントを守らない方も居られました。

その様な方は、

最終的には私の診療所に姿を見せなくなります。

訳ですか?

病院でも、

聖路加とか山王とか、

ノウハウが在るんです。

私の患者さんは、

他人から聞かれた時に、

チョッとした【優越感】を感じるのだそうです。

それは私も同じです。

お答えはしませんが、

〇〇さんって、先生の患者さんですってね?

私はニコニコ笑っているだけですが。

其れが相互の【品格】だと思います。

 

 

振り返る

患者さんの奨めで【蛍】を観に出かけました。

【蛍】と云う言葉さえ忘れていました。

仕事だけで突っ走ってきた四半世紀でしたもの。

心も身構えて過ごしてきたように思います。

夏の気配を感じる今日この頃ですが、

此処は未だ、肌寒い心地よい空気に包まれていました。

で、

暗闇の中、足場の悪い深い川岸の細道をそぞろ歩き、

ウワァー!!!

オーケストラホールの階段席の観客全体が【蛍】で満たされたよう。

揺れて、

踊って、

浮き上がる【自然な光り】

それは目映いほどの【神秘な光り】です。

讃岐にも、

このような処が在ったのだと、

既に四半世紀も過ごしながら、

何処に出向く事もなく、

ただただ歯の仕事だけであった自分に、

悔やむ気持ち半分、

それで良かったのだと言い聞かせること半分。