月別アーカイブ: 2015年2月

ストップ.ロス.オーダー

最初は抜かなければならないと診断していた歯が、

アレコレ手当てするうちに、生き返ることを度々、経験することで、

私は優柔不断な、良く云うと粘り強くなりました。

ただ、試行錯誤のなかで、いったん決意したことは梃子でも動かない頑固さも併せ持つようになりました。

これが歯医者の仕事から創られた性格なのだと思います。

ストップ.ロス.オーダーの考え方を心に於いています。

限界点を設定して、そこまでは粘りに粘って頑張る!

しかしながら、ある値に達したならば、目標に現状が至っていなくても、

それは無理であったのだと諦めて次に向かう。

これが治療成功の極意だと思っています。

この仕事から得た経験は生きる上に於いても同じだと思っています。

ストップ.ロス.オーダー、心に置いておいて下さい。

簡単なことから

過ぎ去ったことをアレコレ悔やんでも、どうにかなる訳ではないし

明日に起こることに不安を感じていたら、それこそ今の事に手が就かなくなってしまい、

また、アレコレ思いを巡らせて想像なり思案していても、

其れを止める手当てもないし。

朝、目覚めてから床につくまでの間を、精一杯全力で過ごすことにしようと、

思うに到るまでの間には、

それはそれは、のたうち回る程に長い間苦しんだモノです。

経験から導きだした結論です。

朝、目覚めてから床につくまでの間を全力で!

それだけならば、過去を振り返ることも、将来を思案する気苦労もありませんから、

簡単なことです。

夢は夢で抱いていても、

今日は今日で精一杯生きる。

新しい研究

振り返り観れば、この歳を迎えるにあたって色々なことがありました。

人の評価は判りませんが、無我夢中で走ってきたように思います。

ある時に、歯科医として生きるのか?人間として生きるのか?と、問われた機会がありました。

私は信心な方だと思います。

海の、山の、川の、大地の、森の木々の、すべてに神様が宿っていると信じています。

仏様のお力やお導きも信じています。

科学を遥かに越えた力の存在を信じて疑ったことはありません。

人の作った法は勿論ですが、

神々の造ったる律を護る事を重視します。

この私は命の宿ったる人であり、その生きざまを歯科を抱き抱えて過ごしています。

人であることと、歯科医であることの境目はありません。

正々堂々と過ごしてきました。

やむを得ない反省点も多いにあります。

が、反省すべき処は真摯に向き合い決して逃げたことはありません。

この様な私の裏打ちは、歯科のお陰であると思います。

ある目標をたてて、その目標を目指して粘って粘ってが、

歯科医の習性と言えましょう。

ですから、結果が出でし時には、どのような結末になろうとも自然と受け入れることが出来るようになりました。

成り行き任せばとか、勢いでなした結末には、頭を冷して後戻りも当然の行いと思います。

が、粘って粘って粘っての結論は、確たるモノと確信しています。

端から観れば、相当の石頭に見えるかもしれません。

私は臨床家であり、科学を学ぶ者です。

新しい研究に際して、決意新たというのが実感です。

決まれば決して、動かず、動じることはありません。

誕生日を迎えて

今日は私の52歳の誕生日です。

折しも皇太子殿下と同じ日であるために、朝の一番に目にする話題は

皇太子ご一家の微笑ましいお姿と、相場が決まっておりました。

が、今朝は娘が画面の前でカタマっているのに、

テレビへと目を向けて驚いて仕舞いました。

板東三津五郎さんの訃報にカタマって仕舞いました。

またも良い役者を失いました。

何故か娘は、今日はとても良くお手伝いに参加します。

???

ー パパ!長生きしてよ!このオジチャンと歳があんまり変わらないでしょ! ー

そりゃそうです。

実感します。

今日の日より娘のために長生きせねばと、

好きな煙草と、少々の酒は金輪際、断つ事を決意したる私です。

なかなか優柔不断な私ですが、

何かの拍子に一旦こうと決めたら梃子でも動かない処があります。

私の心を支えてくれている娘です。

嫁に出して、姑が死ぬまで生きて護ってヤらねばなりません。

良い新しい門出と思っています。

育ち

一般の方からして観れば、私立の歯学部はアホウで、国立の歯学部は学業優秀であるから、

腕も其れに比例しているのだろうとお考えなのでしょう。

遠い昔は歯学部は理系の花形であった頃もありましたが、

今では悲しいかな!理系の学生からは敬遠される程に人気がなくなりました。

なんでも巷には歯医者が溢れかえっていて、歯科医は不採算であるというのが、その原因だそうです。

そもそも、稼ぎが良いから歯医者になろうかなどと不謹慎な考えで此の道を志されたら

診て貰う患者さんの側からしたら堪ったモノではありません。

身近な処は欠点が目について、隣の芝生は青く見えるとは上手く言い当てた言葉だと思います。

歯学部、歯科医の教育に於いては、手前味噌ではありませんが、

ウチの大学は良い処だと、この頃が実感するのです。

歯学は私学によって創られたという言葉があります。

やはりウチの大学には、長きに渡っての歯科医教育のノウハウがあるのでしょう。

今日の新患の患者さんは、インプラント治療を希望されてお越しになられました。

数件の決まった歯科医院からの転院の方でしたが、

インプラントを入れるという歯の隣の歯はユラユラ動いて、

反対側の奥歯のブリッジに至ってはグラグラ状態!

歯周病に対する手当の痕跡もまったくありません。

膝をつめて、腹を割って患者さんに向かい合いました。

今はインプラント治療の段階ではなく、その前に残った歯を長く残すための手当てが必要であると。

インプラントの設計は、歯の保存状況を鑑みて決定すべきだと。

いやはや、18歳と時を振り返って観れば、

偏差値に於いて私は、この前医には負けました。

が、私はウチの大学で教育を受けれたことに感謝します。

学.術.道の充実を唄うウチの大学の水を飲んで育ったからでしょう。

私は他人との勝ち負けには全く興味はありませんが、

どうせ歯医者になるのならば、

ウチの大学は良い処だと実感します。

なんでもかんでもインプラントを入れたがって、どうしたもんだろう!

国立出身の処からばかりに、ヒガミよりも、哀れみを覚えます。

育ちって大事ですね!

早業取得の極意

昨日は診療が終わってから、知人の頼みでトアル処を一緒に訪問し

とにかく用事を済ませてから食事をして犬の散歩へと。

風呂へもユックリとは入れません。

洗い場で、バスタブの縁に顎を載せて大きな舌を出し、

まだ出ないのかと、ズット顔をマリリンに見つめられているからです。

9時には床に入ると決めている私です。

帰宅してからは、早々ユックリとはできません。

朝、目覚めてから診療までの間に、日常的な義務を片づけて、

患者さんと患者さんの合間の瞬時にブログなりメールを認めています。

この様な早業は、恐らく医局にいる時に身に付いたものでしょう。

複数の研究と論文を並行してヤらねばならない環境でした。

というのは、学会にて発表する演者であれば大学から交通費と宿泊費が支給され、

学会に参加し勉強するだけでは、全てが自前であったからです。

となれば、春と秋の2回は必ず1つの学会には大会があり、

幾つかの学会の会員になっているので、研究する立場の大学院生としてみれば、

学会参加は義務のような目で総医局員の厳しい眼に曝されています。

といって此れを自前でとなると、若い私のアルバイト代では到底及びません。

学会発表が自分の仕事と思わざるを得ない環境でした。

診療も当然しなければなりません。

教授の行う授業の鞄持ちから学生実習にも時間を割かれます。

論文を書く机を4つ並べて、ひとつに行き詰まったら隣の机へ、

また行き詰まったら隣の机へと。

患者さんの合間や実習、講義の合間で時間を遣り繰りせざるを得なかったのです。

加えて、夜間診療のアルバイトも生活のためには必須で、

大学病院から白衣を着たままでアルバイト先へと車を走らせて、

で、またアルバイト先から、そのまま大学病院へと。

ですから、今の若い先生方を見るにつけ、

羨ましいやら、恵まれていると感じたり、アマイ!と思ってみたり。

患者さんからしてみれば、歯科の開業医などは、セレブな優雅な時を過ごしているのだろうと思っておられるのでしょうが、

何十年経った現在に於いても、まったく進歩のない生活をしている自分を阿呆と思います。

溜め息が出ます。

ため息

今年に入ってから、どうしたモノか?県内の患者さんが多くお越しになられます。

それも数件の決まった歯科医院からの転院です。

元々、私の診療所では大勢の患者さんを1日に診察できるシステムをとっていないモノですから、

不況の昨今では、誠にありがたいことですから感謝しながら対応させて頂いていますが、

お昼の休憩はとれていないのが現実です。

それにしても、患者さんのお口の中を診察しながら、

???の連続です。

患者さんが悩んで、来られるのも当然で、

しかし治療したる当のご本人はどの様にお考えなのだろうか?と、

口にこそ出しませんが、

新しい患者さんの口からは、受けたる治療の不満爆発というのが現実です。

自分を庇う訳ではありませんが、私の行った仕事ではないのにと黙って患者さんのお声を聴いています。

一通り、心の汚泥を吐き出された後は、決まって

ー 先生、ゴメンね!先生のせいではないのに‥ー

あまりにも数件の決まった歯科医院からの転院であるために、

其処のホームページを、つい確認し、いったいどんな処なのだろう?と。

患者さんと並んで撮った写真があって、

時には Vサインなどのポーズで。

治療したる当のご本人は、それはそれで満足なのでしょう。

良い、汚いの判断がつかないのでしょうから。

お気の毒なのは、患者さんの側で、

歯医者か破壊者か判らない人に、ドンドン悪くされて。

こういう時に思わず私は、越後弁が口から出てしまうのです。

ー いんや、いんや、どーいんかねー?なじらね? ー

( いやはや、いったい、どうしたもんだろう? )

今日も、インプラント治療を希望されて新しい患者さんが来られます。

素直なる歯肉

思うように往かないのが人生ですが、歯と歯肉だけは私の思うがままと実感しています。

何かしらの原因があって、ひとたび、患者さんの歯に対して私たち歯科医師の手が介入するならば、

余程の裏づけがある治療方法なり、手指の動きがなければなりません。

機能面は勿論のこと、自然な美しさ、清潔さを保てる事が必須の条件となります。

いったん削られた歯は、自然には元の形には戻りません。

ですから、歯を削る必要性があり、歯を削ったならば、

携わる歯科医の側には、覚悟が必要だと学生さんたちに言い聞かせています。

人の判断と技術には、先ずは誤りや間違い、見落としがあると思っています。

ですから、治療の過程の全ての段階に於いて私は、

常にマッサラの心と目で、自分のなしたる治療を再評価するように心がけています。

ですから、毎日、毎回が再評価の連続です。

再評価の結果、う~ん?と、感じた時は、即座に患者さんに伝えています。

根の治療などは、最後に歯の中に防腐剤みたいなモノを入れるのですが、

確認のためのレントゲンにて、イマイチ、完璧!と思えない時は即座に

ー ゴメン!ゴメン!直ぐにやり直し! ー

患者さんにラバーダム防湿をして、根菅充填をし直します。

まったく恥ずかしいとは思いません。

上手く出来ていないという判断が出来ないことが恥じであり、

上手く出来ていないことが判っていて黙っているのは犯罪であると思っています。

で、レントゲンの確認で、完璧!と判断して患者さんの治療を終わりにします。

まぁ、性格でしょう!

手当てをキチンとすれば、歯や歯肉は言うこと聴いてくれるモノです。

 

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写真の症例は、前歯に詰め物だらけで、それもキチンと出来ていないから、

詰め物の間から虫歯が拡がったりで、

女性心には随分と気にやんでお越しになられました。

Kaneko,T061109001

で、1回目の仮の歯を入れて、当のご本人は喜んでくれたのですが、

私としては専門家ですから判るんです!先々に起こることが!

で、歯茎の手術をお願いして、させて頂いて、

そんでもって2回目の仮の歯を入れました。

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随分とスマートになったでしょう‥‥!

但し、歯と歯の間の歯茎の隙間が大きいでしょう?

でもね!観てて下さい!

ホラッ!

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最終歯を入れたら、段々と歯茎が育って!

綺麗に隙間がなくなりました!

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(セラミッククラウンセット後 5年経過)

この隙間を人工歯で埋めようと無理をすれば、人工歯はイビツな形になって、

後から歯茎が黒ずんできたり、

腫れぼったくなったり、

妙に臭くなったり‥。

歯や歯肉を自由自在に操るのが、この仕事の面白さなんです!

 

 

 

 

 

結構厳しいお話しを先のブログにて書いたものの、

私と接する当の学生さんや若い先生方は、たいして厳しさ等は気にしていないようです。

私の顔を観るや、レントゲンや模型を抱えて若い先生方が立ち寄ってくれるのも恒例の新潟での行事となりました。

4学年の歯科保存学実習にて、私の担当となった学年さん達は、恐らく先の学年からの申し送りでもあるのでしょう。

実習机の上の整理整頓は勿論のこと、机上に列べる器具の置く位置と順番も、

示説のスライド写真通りでないと、私の雷が炸裂するのを知ってか、

キチンとなされているのに、可笑しさを堪えています。

学年さんにとっては、初めてする事ばかりですから、上手くいかないのは当たり前で、

小器用に実習をこなす事よりも、誠実なる手順を身に付けて貰いたいと思っています。

講義に際しても教室に入り、当の私は一生懸命に学年さんへ向かい合っているのですが、

なんせ彼らを確実に国家試験に合格させるのは最低条件で、

将来の歯科医療の最前線で活躍して貰いたいと‥。

が、学年さんにとって私は不思議な存在なのだそうです。

今では日本歯科大学.新潟校の在校生と研修医は皆が教え子になるのですが、

自分では此れでも、なかなか学生さんには人気があるものと秘かに喜んでます。

ー 先生の話しの表情は面白いです! ー

なんじゃ、講義の内容じゃないんかい!

そんなこんなで、私の大学での過ごしようです。

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仮の歯の重要性

治療の合間で、ホームページからの問い合わせメールに気がついて、

ナニナニ?フンフン!と、さぞかし勇気を持って認めたのだろうと、

読み溢しのないように、

それは心配だろう!

それは辛かったろう!

と、特に年少の方からの相談には、

つい相手が、自分の娘なり倅の姿と重なって、力が入ってしまいます。

人の身体を預かる私達歯科医は、心を患者さんへ封入しなければならないと思っています。

確実な治療結果を、治療の最中で予知するために私は、

仮歯をとても重要視しています。

最終歯を入れるまでのワン.ポイント.リリーフ的な繋ぎのための仮の歯ではありません。

将来、どのような問題が起こりえるのかを予想するために仮の歯を利用します。

ですから、形から歯の傾きまで、最終歯を想定して製作します。

造り方も、患者さんが知ったら、ヘェー!と驚く位に手間隙がかかります。

で、仮の歯のセメントの溶け具合や、磨り減り方、歯肉への影響等などを観察しながら、

足したり、削ったりしながら、

生体に調和した設計なり、形を導きだして、最終歯を造っていきます。

仮の歯は歯科技工士に造って貰いますが、

実際に患者さんの口の中に入る時には、

アレヤコレヤと私の手にかかって大きく形は変化しています。

無論、歯科技工士の技術差は極めて大きく、

私が調整する前の基の状態がイマイチであれば、どうにもなりませんから、

確かな歯科技工士と組まないとヤってられません。

毎日、チマチマ仮の歯の調整ばかりしているように見えるのが、私の日常です。

Hosohama,N050903001
■当院初診時(他院でメタルボンド・セラミック・ブリッジなど被せ物をし、違和感を感じ来院)

Hosohama,N050903008
■当院初診時(歯肉・歯茎が炎症を起こしている)

Hosohama,N051210015
■被せ物を外した状態
支台歯(土台となる歯)が、齲蝕(虫歯)になっていたり、歯根破折(ひびなどが入っている若しくは、折れている)が見受けられる
また、歯茎に対し調和の取れていない、無理な形態のメタルボンド・セラミック・ブリッジを装着したことにより、発赤などの炎症が顕著に見受けられる

Hosohama,N060701001
■仮歯を装着

Hosohama,N060114006
■仮歯を装着し1ヵ月後(歯肉・歯茎の炎症の治癒が見受けられる)

 

歯茎に調和した形の仮歯にしたことで、歯茎は生き生きとよみがえります。