月別アーカイブ: 2014年7月

決意

親バカと一笑して下さい。

小学4年の娘の夏休みの宿題も佳境を迎えました。

患者さんを午前に終わらせて、自室に戻りソファ脇のテーブルの上に仕上がっていた読書感想文を手にして読み終わり、
思わず私は目頭が熱くなりました。

【よかたい先生】と云う名の、水俣病を患者の立場に立って、国に責任を認めさせるために生涯を費やした医師の話でした。

私は学者でも医師でもありません。

ただの地方都市の開業歯科医にしか過ぎません。

娘の作文は、よかたい先生の言葉や生き方を、父たる私と重ね合わせて書かれていました。

私は人生において二度だけ、大きな決断をしました。

最初の決断は、高校生の時分に、歯医者になろうと決意した事です。
私は商家に生まれ育ちました。
旧くから大きな商いをしていましたので、私は跡継ぎ息子として育てられました。

ですから、暖簾の継承者である私が歯科医になるなどとは、到底許されない選択でした。

私は親に隠れて受検し、医師の叔父の助けで歯科医になりました。

私にとって歯科医の道に入ることは、単に歯学部にいきたいんだと云う進路志望とは意味合いの違う、
一族との決別もはらんだ、とても大きな選択だったわけです。

ですから、好きな仕事につけた私は本当に幸せな男だと思います。

人生の選択という機会は、誰しもあることです。
就職先であったり、結婚であったり。

但し、私が今に申し上げる大きな二度だけの選択は、こう言った意味での選択ではありません。
男が、一生をかけての妥協無しで、勝ち負け、損得抜きで、壁を破った決意での選択です。

二度目の大きな選択は、今の家人と所帯を持つときでした。
当時の私には、先の家人と三人の子供が居りました。

世では私の事は許されない行いと批判を受けるでしょう。
それは甘んじて受けます。
背負った十字架を片時も忘れる事はありません。

私は今の家人との間に三人の娘を授かりました。

先程の作文の娘は、一番上の娘です。

眉や顔の彫りは、沖縄生まれの家人そっくりです。
年老いた父の手を引っ張って、どちらかと云えばネクラな私の背中を推すのも、明るい家人の性格を引き継いでいるのを実感します。

が、この娘は、しっかりと父の働く姿を観てくれていたようでした。

この娘を生んでくれた家人に感謝します。

この娘が、いつ日か患者さんの助けになれる様に、私は日々を大切に過ごすつもりです。

父息子

ー テメェなんか勘当だ! ー

電話口で倅を怒鳴り付けた私です。

論理的話をと、アドバイスされる時もありますが、私は職人です。

そんな真似は出来ません。
特に愚息の事となれば。

冷静になって観ると、彼は彼で成長しているのでしょう。

但し、裏づけのない、実体験のない理論で挑んでくる倅を、説得する方法はありません。
何故なら、実体験しなければ、とうてい判らないからです。

池波正太郎の小説の台詞に

ー 人は良い事をしながら悪い事をする。悪い事をしながら、良い事をする。 ー

このような事は、正論で責めてくるのを得意とする女、子供には到底理解出来ないでしょう。

なんとも若者と云うものは、面倒で困ったものです。

父娘

私には先妻との間に三人、現家人との間に三人の子供がいます。

昨今には珍しく大勢の子宝に恵まれました。

上から二番目が男で、後は全て女の子です。

今の家人との間の娘たちには、孫の様な感で接してしまいがちになります。

上の小学4年の娘と5歳の末娘は、性格的に私と似ているようです。

真ん中の小学2年の娘は、絶対に家人の性格を引き継いでおり、私にとっては可愛いのですが
得体のしれない生き物だと、不思議な娘です。

上の娘は大きくなって、今では私の良い連れとなりました。

夏休みの今は、毎日、私の診療所へついて来て、
私の書斎で1日を過ごしています。

大人の私が今では、この娘に引っ張られている感じです。

この娘が歯科医になるまで私も頑張らねばと、自己を鼓舞して生活を一新させました。

父にとっての娘は、なのものにも代えがたい一番影響力のある存在と言えましょう。

歯磨きについて その2.

最近、テレビを眺めていましたら、歯磨きをいつした方が良いのか?と云う特集をしていました。

食事の直後は、口の中が酸性になっているので、歯をゴシゴシ磨くと歯が磨り減るので良くないと云う内容だったと記憶しています。

物事は、一面からだけ観る事は慎まなければなりません。

食事の直後は、確かに酸性の環境に偏ります。

その原因は?

人の口の中には沢山の微生物が暮らしています。

その微生物の栄養源は?

人が食べる食材です。

ですから、人が口の中に食材を入れると、それは微生物の栄養源にもなります。

人の代謝機構は複雑ですから、食後に食べ物が排泄されるのに凡そ2日ほど要しますが、
微生物の代謝機構は単純で、食べた直後に排泄します。

人の排泄物の臭いを御存知ですね?
あの臭いのもとはメタン、スカトールと云う物質です。

対して、微生物のウンチは酸です。

ですから、食後ただちに人の口の中は酸性になるのです。

人は慌ただしい毎日を送っています。

歯磨き中心の生活を送っている訳ではありません。

理屈上での歯磨きの時期をウンヌンするよりも、先程のメカニズムを理解する事の方が重要でしょう!

また、歯ブラシでゴシゴシ歯を磨くなんてナンセンス!

丁寧でジェントルなブラッシング方法に変えるべきでしょう。

私はできれば、食事の後には丁寧に歯磨きをします。

但し、外出などで直ちに歯磨きが出来なければ、緑茶を飲むときに口全体に行き渡らせる様にしたり、
うがいをしたりで、口の酸性度合いを希釈するように努めます。

食後は歯に食べ物の残査がくっついています。

これは確実に取り除かなければ、プラーク、歯石となり、歯周病や虫歯の原因となります。

食後は、できるだけ早めに、忘れないうちに歯磨きをして下さい。

歯磨きについて その1.

おもしろい患者さんがいらっしゃいます。

私の診療所へ来られる様になって2年ほど経過されました70代前半の女性です。

部分入れ歯とブリッジ、そしてお口じゅうに冠が入っておられました。

他の医院にて毎月かならずクリーニングに通っていたそうです。

が、冠の境目には大きな虫歯だらけ。
歯周ポケットも、とても深くて、冠がつながっているので、歯のグラグラはさほど気にならない様でした。

何故に私の診療所へ転院されたかと云うと、その医院でインプラントを勧められた事がきっかけの様でした。

私はブラッシングをとても重要視します。

また、歯周ポケットと虫歯を徹底的に叩いてからでないと、インプラントや冠の治療はしません。

ですから当然、この患者さんに対してもブラッシング指導を行いました。

定期的に歯科衛生士からクリーニングを受けていたとしても、毎日のブラッシングが的を得ていなければ意味がありません。

この患者さん、色々な歯みがき粉をお持ちになっておられました。
なた豆配合!なすびの皮配合!‥‥。
歯ブラシも、やはり様々!ソニッケアから‥‥。

ー 〇〇さん、あれこれ使ってこの状態でしょ?もう止めようよ! ー

と説得して、三枝ブラッシングにチェンジして頂きました。

今ではスッカリ良くなった事は云うまでもありません。

入れ歯について その6.

キチンと造られた入れ歯なら、歯茎も骨も痩せません。

何故なら、私の患者さんは同じ入れ歯を、何10年も使い続けているからです。

時たま、歯科技工士さんが私の入れ歯造りを、見学にお越しになります。

成る程!とウナって貰うのを観るのが楽しみになりました。

造られる方の患者さんも、今回は何をするんだろう?次は何をするんだろう?と、
興味深々の様が伝わって来ます。

入れ歯は合わなくなるものと、勘違いして貰いたくないと私は思っています。

私の診療所の患者さんの大半がインプラント治療の患者さんですが、
色々な事情でインプラントを断念しなければならない患者さんにも、
快適な暮らしと心で居て頂くために、
私の入れ歯追求の旅は続くと断言します。

女は恐い

私には80になる母親がいます。

親が段々と老いていく姿を観て、加減して付き合うようになりました。

昔は人が老いていくに従って、丸ーくなるに相違ないと思っていましたが、
それが大きな間違いである事に最近になって気づいた私です。

動きは、確かに緩慢になったと思います。
その様な姿に、つい色々と手をかしてあげようとするのですが。

思い込みが激しく、電話を切っても、即座にまた掛けてきて、再度の念の押しようの上から目線に
流石の私でさえ、カチンとくる事、しばしばです。

私は犬が好きで、都合4匹も飼っていますが、
どうやら雌犬の方が、雄に比べて気儘で気が強いと感じます。

私も男ですから、綺麗な女性に鼻の下を伸ばすくちですが、
かように女性の性の結晶たる年老いた母親の挙動や犬たちに、
あぁ、女は恐いと痛切に溜め息が出て、
やっぱり歯の世界が一番だと、安心して没頭できる歯科の仕事に就いて良かったと感じるのです。

私の治療の方法

御紹介でお越しになる患者さんが殆んどであります私の診療所では、私の治療の仕方をあらかじめお聞きになられておられるのでしょう。

あまり治療の仕方について、聞かれる事はありません。

ただただ、歯みがきを確りと上手に出来るように、頑張ってついて来て頂いていると私は実感しています。

ホームページなどをご覧になって、私の診療所へお越しになられる患者さんは、私にとっては大変興味深い挙動をお示しになられます。

恐らく、今まで受診されておられた歯医者さんとは、何から何まで違ってお感じになられるのでしょう。

恐らく、何をされるんだろうか?

幾らとられるんだろうか?

傍目に見ていても、患者さんの心のうちがジーンと伝わって来ます。

治療の環境や治療の方法は、よそと全く違って当たり前だと自負しています。

同じだったら、結果が変わる筈はありませんから。

治療の御費用については、私が他の歯科医院のホームページで確認した結果、よそは高いな!と感じています。

私にとって一番に大切な事は、患者さんがいつまでも快適な状態で暮らして頂きたいと云う事だけです。

娘の祈り

シンガポールから帰ってから娘は、確かに変わったように思います。

私は毎朝、お仏壇にお経を唱えるのを日課にしています。
ご先祖様にお守りして頂いているのを実感して日々を過ごしていますので、せめてもの感謝のしるしとして、おつとめをしています。

お経を唱える私の横に座った娘は、おもむろに経本を手にして、
私の声に倣ってお経を唱え始めました。

毎日、その様な時間を過ごすようになりました。

一心不乱に経を唱える娘。

親たる私には、娘の様々な想いが伝わって来ます。

夜、テレビを観る私の横で、娘は私の母親に電話をかけていました。

ー お婆ちゃん、いつもありがとうね。お婆ちゃんが死んだら何をお供えして欲しい? ー

愚かにも80をとうに回った私の母親は、年端もいかぬ孫娘に激怒したとの事。

気持ちが判らない訳ではありません。

苦笑いするやら、吹き出しそうになるやらで‥‥。

ただ、私は両の掌をあわせ、先祖に祈る娘を愛しいと感じ、日々の安息を伴に願っています。

患者さんに恵まれた私

同業の患者さんがお越しになられていた際に、お疲れ気味の様でしたので、つい声をかけてしまいました。

ー 嫌な仕事ですよね!一生懸命してるのに逆に受け取る患者さんがいらっしゃる。そんな時は何日も重い気持ちを引っ張りますよね。
   と思えば、逆に患者さんから救われる気持ちになる時もある。 ー

そんな風に、その患者さんは仰られていましたので、つい私も、

ー 私が診療椅子の脇に、内村鑑三の言葉を掛けているのも似たようなもんです。皆さんが病でいらっしゃる方ばかりですから。
  我が儘言われていいんですよ。我々は、それを受けとめて差し上げないと! ー

【Dentistry is a work of Love 歯科医療は愛の仕事である】

大阪在住の某患者さんも、私が日頃から感謝している方です。

お忙しいなか、私のブログに目を通して、私の近況を彼是と思いを巡らしてくださっているのが判ります。

機械音痴を知ってのことか、時々にショートメールって云う奴ですか?それで
励ましの言葉を掛けて下さったり。

それがどれ程に私の様な人の身体を預かる人間にとっての栄養源となることか。

その様な大勢の患者さんがいらっしゃるから、私は臨床生活が続けられるのだと思います。