シンガポールから帰ってから娘は、確かに変わったように思います。
私は毎朝、お仏壇にお経を唱えるのを日課にしています。
ご先祖様にお守りして頂いているのを実感して日々を過ごしていますので、せめてもの感謝のしるしとして、おつとめをしています。
お経を唱える私の横に座った娘は、おもむろに経本を手にして、
私の声に倣ってお経を唱え始めました。
毎日、その様な時間を過ごすようになりました。
一心不乱に経を唱える娘。
親たる私には、娘の様々な想いが伝わって来ます。
夜、テレビを観る私の横で、娘は私の母親に電話をかけていました。
ー お婆ちゃん、いつもありがとうね。お婆ちゃんが死んだら何をお供えして欲しい? ー
愚かにも80をとうに回った私の母親は、年端もいかぬ孫娘に激怒したとの事。
気持ちが判らない訳ではありません。
苦笑いするやら、吹き出しそうになるやらで‥‥。
ただ、私は両の掌をあわせ、先祖に祈る娘を愛しいと感じ、日々の安息を伴に願っています。