月別アーカイブ: 2016年6月

紙1枚の差

明日の夕方から上京し、日曜日の夜に帰宅します。

麹町でご開業の岡口守雄先生に指導を受けられる運びとなりました。

師匠の内藤政裕先生のお口添えの賜物です。

抜歯した歯を持ち込んで、

どうしても【つかめないコツ】を

岡口守男先生に見せて頂きたいと思います。

手先の瞬の加減が、紙1枚の差となるのです。

この瞬間を、

是非に先生に御教授頂きたいと思います。

貴重なお休みを、

わざわざ私のために割いてくださり、

感謝の念に堪えません。

夜は、

京橋のステーキレストランの【都】へと、

内藤政裕先生も合流して下さり、

【歯】の話で大いに盛り上げることとなるでしょう。

 

普通の治療

朝の最初の患者さんは、

と、言っても午前の診察はこの患者さんだけですけど。

マイクロスコープを使った【根管治療】です。

私の診療所へお越しになって未だ間もない新しい患者さんです。

メタルボンドクラウンを外して、

メタルポストも外して。

で、

ラバーダム防湿を行います。

前医の施した根管充填材を取り除いていきます。

勿論【マイクロスコープ】が、

患者さんのお顔に覆い被さるように

セットアップされての精密治療です。

時間は刻々と過ぎてゆきます。

で、

綺麗になりました。

根の先端に開いたミクロの孔の向こう側の

根尖歯周組織がキラキラと、

星のように輝いて見えます。

前医が根の先端的まで触ってくれていなかったのが、

私と患者さんには幸運でした。

下手に触られいたら、

手直しに苦労するからです。

綺麗になった処で、

私の眼も気力も限界です。

患者さんも、

この様な根管治療は初体験。

疲れるやら、

ビックリするやら、

でも、

安心されたようでした。

この歯は【長持ち】するでしょう。

で、

お昼になりました。

お互いにお疲れさまでしたと。

これが【三枝デンタルオフィス】の普通の治療です。

頑張れ!

昨夜は診療後に来客があり、

帰宅した際には既に時計は10時を回っていました。

普段であれば夢の最中の時刻です。

腹を空かせたマリリンに

大急ぎで餌を食べさて、

チョッと一服と云う時に、

携帯電話の着信音が。

大学時代の同級生の女医からの電話で、

やけに今日は女医に縁がある日だな?と。

そこから延々と話しに華が咲き、

遂には私は降参し眠らせて貰ったのです。

山形県開業の友人です。

皆、色々な人生を歩いているんだなと。

振り返って観てみれば、

本当に色々なことがありました。

頑張れ!頑張れ!

 

ポートレート

9月に大阪市のハービスプラザを会場とした

歯科医師と歯科衛生士対象のセミナーの講師を依頼されました。

審美美容関連のセミナーであるそうです。

講師を御一緒させて頂きますのは、

私の母校の後輩である群馬県高崎市ご開業の

笹沢先生と云う新進気鋭の美容歯科の女医さんです。

セレブの風格漂う気品のある女医さんとのジョイントに

私はとても躊躇っています。

私よりも随分と年少の先生です。

で、

片や【美容歯科】が御専門。

私は【歯科保存学】が専門の、既にオジイチャンに近い年齢ですから。

パンフレットのポートレートが必要となり、

急遽、撮影の運びとなったのです。

カメラマンの方から

【笑って!笑って!】

と、言われても、

コレが精一杯の私です。

歳をとりました。

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最近の私は白衣を纏うようになりました。

汚れなき心で、患者さんと接するための

強い意思表示からです。

シワ1つないピシッとした白衣は、

シッカリとした歯科医療を実践する気持ちを

より意識させてくれるように思います。

夢の途中

通常、私の朝は早い。

世間では夢の中と云った処でしょうか。

今の時刻は午前の3時半。

既にマリリンと小雨の降るなか散歩を済ませ、

小さな土鍋で根深汁を作り、

散歩の前に炊いた熱々のご飯を

仏様にお供えし、

白菜の漬物と納豆で、

朝食をとっています。

横でマリリンは、無調整のミルクに浸したドックフードの器に

顔を突っ込んでいます。

で、

これからが私の自分の時間です。

文献に眼を通したり、

依頼された原稿を書いたり、

講演の写真を選んだり、

買ってしまった面白くない書籍を

勿体ないからと。

細切れで読んでいるのが常です。

出勤前に、もう1度の食事。

根深汁の残り物と辛子明太子と梅干し。

マリリンですか?

仕事する私のリビングテーブルの私の足元で

二度寝の最中です。

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今日の診療は超多忙です。

手術あり。

セラミック修復あり。

マイクロスコープ治療あり。

で、

実験資料作りのための抜歯保存歯での作業。

最後は午後の7時半から

若い歯科医がお越しになられるようです。

今夜は眠いに違いありません。

色々な事象が、私に襲いかかってくる日常でした。

昔の唄の題目ではありませんが、

正に【夢の途中】にある私です。

 

診察の合間に

午前の診察が終わりました。

午後直ぐにダイレクトボンディング修復の患者さんです。

今、一服しながら【山本五十六元帥】の肖像写真を眺めています。

元帥は越後長岡の人です。

小柄で豪快な海軍紳士であったと思われている元帥ですが、

実際は、慎重で気の小さい越後の人の質であったそうです。

立場から、

戦況から、

やむを得なかった無念さが、

それでも無理してでも、

凛として艦橋に立つ元帥の姿に、

大勢の軍人が元気を貰ったのだと。

其れを知っているからこそ、

元帥は、

心とは全く逆の姿や表情を

意識して観せていたんだと思います。

南方のジャングルの中での元帥最後の姿は、

搭乗椅子に腰掛け、

白い手袋の両の手で、

シッカリと軍刀を支えて

瞳を閉じていたと記録が残っています。

マリリンと一緒

昨日の仕事帰り、

マリリンを予防注射のために獣医さんへと連れて行きました。

建物を前に、

玄関戸の前で、

脚を踏ん張って入らない!

可哀想ですが引っ張りこんで、

今度は受付カウンターの下で【伏せ】の姿勢です。

イヤー大変でした。

診察台の上へ先生と二人で抱き上げて、

採血さ際には、

鼻先を、抱きしめる私の脇の中へと隠して。

ワクチンも無事に終わり、

獣医さんの建物を後に、

車へと駆け込みました。

帰ってからですか?

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ヤッパリ甘えん坊のマリリンでした。

 

酒の味

元来、私は酒は嗜みませんでした。

と云うよりは、

父親遺伝のアルコールに弱い体質であったからです。

家人と知り合い、

当時私の横でワインを空ける姿に驚愕し、

そんなに旨いモノならばと、

私も少しずつ味わうようになりました。

が、

やはり酒は私には合わないのでしょう。

盃を重ねる度に、

昔の哀しい、辛い記憶が蘇り、

で、

眠くなってと云う涙酒でした。

といって酒の味を覚えると、

甘いジュースなど好まなくなり、

たまたまコンビニのコーヒーが意外と旨かったのを期に、

私は酒を止めました。

が、

昨夜はバーボンをボトルに半分ほど空けました。

旨いとは思いません。

酔いたいと思ったからでもありません。

こういう時、

意思の弱い人間と想われるかもしれません。

私は鉄人や機械でできたロボットではありません。

糸のように、

硝子のように

繊細な部類の人間だと思っています。

【医師と云う立場でなければ、私など誰も相手にしない】程度の

私は【歯】だけで生きてきた人間です。

【歯】の仕事が、私を支えていました。

後継ぐべき家業を棄てて、

私はこの道に入りました。

歯科医の多くは群を成す習性があると感じています。

が、

私は、あくまでも孤高を貫いて来ました。

歯科医学を愛しても、

私は歯科業界に抵抗感を持っているからです。

私が、

【歯科医療は愛の仕事である】と云う

内村鑑三氏の書を診療台の横に掲げているのは、

私には私の医療哲学が在るからです。

歯の職人でしか食べてゆく手段を私は持っていません。

これしかなかったと、

だからこそ私は【歯】にしがみついたのです。

私は知識を振り回す専門家にだけは

成りたくありません。

私は歯科医師と云う国家免許保有を立派だとは思いません。

が、

歯科医療は愛の仕事だと信じています。

自分の身体を、

太い縄で、

硬い縄で、

グルグル巻きにして、

そうでもしなければ、

元来の私は意思の弱い人間であることを

誰よりも知っているからです。

この縄は、

生涯外す訳には参りません。

それは生涯歯の職人を貫くためです。

苦い酒の味など旨くはありません。

が、

何から何まで、

自分との約束を守れるほど、

私は強くはないのです。

そうこうしてでも、

自分で自分に、

頑張れ!と。

歯を噛み締めて、酒を喉に流し込むのは

私だけかもしれません。

歯で駆け走って終わる人生にと、

青春期に、

萬代橋から信濃川を仰いで決めた私ですから。

その残された時間も少なくなりました。

精一杯、

駆け走って。

【縁】

医師の御母堂様の治療に着手し始めました。

歯科と医師の間には大きな壁が在ります。

此れは歯科医の勉強不足と認識の甘さに原因が在るのが半分、

残りの半分は、医師が歯科医学の教育を受けていないことに

大きな原因が在ります。

ご子息様としては大切な母上であることから、

さぞかしご心配であろうと察しています。

歯科医学の特性上、

自然科学と工学とに跨がり、

しかも美的問題、

発音など、

様々な特殊性が在ります。

また、人は加齢と共に、

諸器官が老化してゆく定めに在ります。

この様ななか、

人工物が生体と調和し長期間機能してくれるようにと。

ご子息様のお顔を私は存じあげませんが、

大切に手当てさせて頂きたいと思います。

次の患者さんは女医さんです。

御母堂様も医師で、私の患者さんでもあります。

私はこの女医さんと妙にウマが合うのです。

【なんか良いことあった?】が、

彼女の顔を拝見しての最初の台詞です。

非常に利発で勘のよい先生です。

良い臨床医ですが、

もっともっと凄い先生に育つ姿を

長い間、観ていたいと願っています。

私は開業医ですから、

患者さんとの【縁】を大切に思っています。

歯科医の若き後継者たちへ

毎日のように若手の歯医者さんからのメールやお電話を頂きます。

私のような初代は稀で、

三代、四代と続いた歯科医院の後継者の先生方です。

私は初代ですから、

私の前に道はありませんでした。

歯を食い縛って、

歯を噛み締めて、

人生を味わって過ごしています。

苦く、しょっぱく、辛い道です。

が、

精一杯に歯の宇宙空間を泳いで来ました。

後を引き継ぐことの責務を

私は彼らとの会話から知らされました。

大変なのは皆同じなんだな、と。

私は頑張っています。

堪えて堪えて頑張っています。

死ぬまでやり抜きます。

だから、

みんな!頑張れ!

負けるな!