日別アーカイブ: 2016年6月16日

歯の番人

最近、新患の方が多いんですがね。

インプラントをご希望されてお越しになるんですが。

私の診断では、抜かなくても済むんです。

だから、そう言う患者さんにはインプラントはしません。

歯を残す【歯科保存学】の治療を行っています。

ただ、

仮にも歯医者が抜くとまで言い切った歯です。

抜く方が簡単ですから。

だから残す手当てはキツいですよ。

マイクロスコープ覗きっぱなし。

何時間もですから。

息子から聞かれたことがありました。

「父ちゃんは、儲からない方を何故選ぶん?」

そう言う考え方は新鮮でした。

私が何と答えたのかって?

「父ちゃんは歯医者に成りたかったんや。悔いない治療したいのや」

 

香川県は名医の産地

ソレコソ休日なんかは、ほぼ自宅から出ません。

時代劇と、犬と遊ぶ。

仕事帰りの外食も殆んどしません。

真っ直ぐ、家に帰ります。

が、

そんな私でも、

時には気分転換で街へと。

或いはホームセンターへ花の苗を買い求めにへと。

で、

私の顔を観て、

ペコンと頭を下げる方が居られたり、

或いは、

何故か避けて逃げるようにと去って行かれる方が在り。

女性はいません。

皆、男性です。

私は余り頓着しない質です。

直ぐ様に忘れて過ごしていたら、

翌日とか、近日中に、

診療所へ来られた技工所作や歯科商店の方から

「先生、この間、何処其処の居られましたでしょ?」

????

「狭いんですよ~ん讃岐は!」

どうも同業の歯医者さんらしかったようです。

声を掛けてくれれば良いのにと、

「 イヤイヤ其れは無理と云うもんでしょう!」

何でよ?

「 だって先生ですもん!みんな肩身が狭いんです」

ふーん?

私は香川県と云う処は【名医の産地】かと思ってました。

ホームページに書いていること、全部信用するじゃないですか?

 

 

オンパレード

私は毎日をインプラント治療、マイクロスコープ治療で費やしています。

新しい患者さんも、

常々に私が申し上げている

【本当に歯で困った方】ばかりです。

私ひとりの体で診察できるキャパなどシレタものです。

其れでも頑張らねば!と、

自分を鼓舞して過ごしています。

時々、妙な電話を頂きます。

初診の受付ではありません。

「チョコッと診てくれて、先生が上手だと思う歯医者を教えて!」

コイツは阿呆か!と思いつつ、

大人気ない所作は採れませんので、

「 チョコッと歯をキチンと治せるのは魔法使い位でしょうかね」

「それでも先生が上手な先生と思う処は?」

と、食い下がる先さま。

「健康保険が利かなくても良いですか?」

「いやいや、歯なんかにお金なんか掛けられませんよ!」

おっと!それを俺に言うんかい!

で、

「 お役にたちたいけど、私は情報不足でね」

本当にそうかもしれません。

下手くそはイッパイ知っています。

余りの下手くそ振りに驚いて、

ソコのホームページを観てみたら、

【世界的レベル】の治療であるとか、

【患者さんを救う】だとか

【法螺吹き】か【勘違い】のオンパレード!

歯医者も悪いけど、

歯なんかって歯医者の私に言う人も

どうかしてると思うんですが。

 

歩く

高校1年の夏休みに、

私は【一人旅】に初めて行きました。

リュックサックでの【一人旅】です。

在来線に乗車しての、

目的のない【一人旅】です。

途中、琵琶湖の湖畔の街に下車し、

照り返す畔の道を

アイスキャンディーを食べながら、

歩いていたのを覚えています。

小高い安土の山は荒れていました。

現在のように整備されてはなく、

ただただ荒れ放題のままで、

大手門が在ったであろう処から続く崩れた山道を

上へ上へと天守台目指して、

足を進めながら考えていた事も鮮明に覚えています。

遥か昔に華麗な天守の在った場所は、

見事に崩れ去っていましたが、

其処から彼方の琵琶湖を仰ぎ、

清々しい気持ちであった私は、

当時は未だ、

歯科の道に入る事さえ知り得ませんでした。

成るがままにが、

青春期の特権だろうと。

あの日から今日までの時間は、

既に私には残されてはいないでしょう。

人の一生とは儚いモノと言われます。

後には残骸も残りません。

が、

人の記憶に残る見せ方を意識しながら生きることが

精一杯の反抗心かもしれません。

息子も既に、

当時の私よりも年長にまで育ちました。

さて、

どの様な歩き方するものやら。