月別アーカイブ: 2016年3月

私の今日のスケジュール

歯医者さんて面白いですよ。

結構に遠方からの患者さんって、

歯医者さんからのご紹介が多いですから。

近くでは、

見せたくないんでしょうか?

但し、

所謂、難症例ばかりですけど。

大学からもお越しになります。

より審美的な要求が強い患者さんが送られてくるみたいです。

小さな小さな開業医です。

自分のキャパの範囲で、

一生懸命に歯に向かいあっています。

今日は午前にお二人ほど。

お一方は、噛み合わせの調整。

もうお一方は、インプラントの人工歯の型採りです。

お昼からは、

少しばかり大掛かりなインプラントの手術がお一人。

で、夕方に

噛み合わせの調整の患者さんがお一方。

これが今日の私のスケジュールです。

ゆっくりと、丁寧にと。

皆さん、遠方からの患者さんです。

ですから、其れなりの配慮は気遣っています。

当たり前ですよ。

私の診療所ですから。

 

美しさ

私は料理が好きなんですが、

これは造るのも、

食べるのも両方です。

好んで出向くのは、

鮨屋、天婦羅屋です。

一点モノを好んでいます。

カウンター越しに、

職人さんの仕事を然り気無く

眺めるのが好きです。

一点モノこそ、

美しさの表現が顕れます。

良い鮨には、良い形があり、

良い天婦羅には、良い姿が在ります。

寒い時期の鍋物の旨いですが、

美しさと云う点ではイマイチでしょう。

小さな土鍋に1枚の昆布をひいて、

で、豆腐を4つ程の大きさに切っての湯豆腐。

グツグツと煮て、

で、

少しの生姜に醤油と胡麻油で。

こういうのは、好きです。

カレーライスやシチュー、ボルシチやごっちゃ煮も

出されたら頂きますが、

単に白い皿に盛られたのを観れば

思わず、

造り手の顔を覗きこんでしまいます。

料理は器との相性も。

ごっちゃ煮こそ、器くらいはと、

私ら歯医者稼業って嫌デスネ!

常に【美しさ】と同居の仕事ですから。

患者さんから、常に【センス】を観られてるんで。

環境か、はたまた性格か、

それとも生まれ育ちのためか、

【美しさ】を忘れてはなりませんよね。

朝、宝塚音楽学校の合格発表の光景が

テレビで流されていました。

キャー!と両手を挙げて飛び上がり、

正に大泣きの嬉しさイッパイのお嬢さん方に

私までもが、目頭が熱くなりました。

ズット頑張って、不安に堪えてきたのでしょうね。

頑張った人が報われての

嬉し涙って良いですね!

こういう涙を流せる若い人を美しいと感じます。

私にも、嬉しい機会はあったように思います。

が、

男って駄目ですね。

内心では飛び上がらんばかりに嬉しいんですが、

スーと、

黙って、その場から立ち去り、

ホンワカな気持ちで過ごすくらいにしか出来ません。

涙と言えば、

嬉しい時ばかりではありません。

何年か前の暮れに、

独り、先祖の墓石をタオルで拭きながら

涙が止まらなかったことがありました。

情けない、辛い時期でした。

涙をながしただけに、

強くなれると、

唄の文句ではありませんが、

私は、そのように感じています。

 

魔法使い

大学での今年の仕事は、4月25日からの様です。

【素晴らしい仕事.歯科治療】というタイトルでの、

1年生への特別講義を担当して、早いもので8年目となりました。

その他、4年生や大学院生への指導に、

自身の研究などを楽しんでいます。

私は学生や若い先生方へ、よく、

【歯医者の魔法の力】と云う台詞を使います。

私らの右の5本の指から織り成される【技術】は、

素人目には【魔法使い】の技に見えるに違いありません。

特に1年生などは、

まだ高校生と言っても良い程に素人の目と知識しかありません。

私のダイレクトボンディング修復や手術に、

食いついてくる臨場感の中で、

話をしています。

2時間程度ですが、

学生に居眠りささない話って、難しいのです。

この辺りもマジックが要るんです。

人に関わる仕事一切に、

魔法の力が要るのかもしれません。

 

進化

昔に私の診療所で働いていたスタッフが大勢、活躍されているようです。

それは良かった!と、安堵しています。

と共に、

私はスタッフの交代の時期に併せて、

以前から心の内に温めていた構想を実現化する時と考えて、

一気呵成に材料から器具、治療手順をチェンジするのです。

ですから10年も経てば、

その頃の治療など、私の診療所には跡形も在りません。

私の診療所は、

インプラントやセラミックなどがメニューではありません。

私自身が【商品】だと考えています。

患者さんから【私自身】を評価して貰うために、

仕事の工夫に日々を過ごしています。

また、俗に云う処の【ホスピタラティ】についても、

私の永遠のテーマのひとつでも在りましたが、

コレは他所の歯科医院では真似は出来んでしょう。

私の育った時代、家庭環境、交遊関係などなど、

場数の違い!だと。また血もアルかもしれません。

何れにしても、

三枝デンタルオフィスの【ホスピタラティ】も、

進化しています。

本当の様でウソの話し

【治療の途中では軟らかい食物を】

モットモらしく聞こえますよね。

【片方噛みをすると、反対側の歯が痛むので止めなさい!】

ホウホウ!

治療期間ズット、お粥を奨められたと云う患者さんも居られました。

私の処ですか?

仮の歯の状態でも、

仮の入れ歯であっても、

ガンガン!

好きに食べて貰ってます。

食べる時の力なんぞ、たかがシレテます。

上下の歯が接触する【のべ時間】なんぞ短いのです。

厄介なのが就寝中に起きる不意の【喰いしばり】

コレは、私ではコントロールできません。

治療中では、

私は仮の歯を大切に、考えて、造っています。

他所の歯科の仮の歯とは、

違うと思います。

仮の歯に、

食べる時の歯の接触状態、

就寝中に起きる不意の喰いしばりの痕跡、

様々な情報が、

記録されるシカケをしています。

ですから、

治療中でも、何でも好きなモノを食べて貰ってます。

また、

【片方噛み】云々について、

食品を口腔に入れて、さぁ!咀嚼と云う状況を

コンピューター解析すると、

ほぼ全ての人は、片方の側で噛んでいます。

これは私自身も実験的に観察しましたし、

国内外の著名な論文に多く掲載されています。

また、片方噛みになる原因についても、

多くの研究結果が報告されています。

治療途中での片方噛みで、

反対側の歯が痛むのは、

明らかに稚拙な診断と治療計画、治療技術に因るものです。

歯の治療の間に、

どんどん噛める!よく噛めるようになる!

が、当たり前。

歯の根の治療の際でも、

私はシッカリと噛んで貰います。

噛めないンじゃ、歯の役目がないじゃない!

私の診療所

どうして他所の歯科みたいに

大勢の患者さんの診察をしないのですか?

と、度々、聞かれます。

他所と同じようにしたら、

私の特徴が出ません。

歯科の学生さんや若い先生方に対して

よく話をする内容なんですが。

別段、私が回転寿司を否定する訳ではありません。

私自身も、子供を連れてなら、回転寿司を利用しています。

その際に気を付けて店を選ぶのは、

停めやすい駐車場があるか。

店員がハキハキ、手際が良いか。

店の中が綺麗であるか。

解凍されて間のないネタであるかどうか。

そんな処でしょう?

別段、職人技とか、特殊な芸など

全く期待もなにも。

回転寿司を握る時に、

手袋着用に違和感を持っていません。

対して、

私がこの店の親父の腕前は流石である!と、

感じる店へ出向く際には、

独りで参ります。

子供を連れて行く店ではありません。

女連れでも、

私は抵抗が在ります。

カウンターの向こうの職人の仕事を

真っ向から受け止める心構えが要るからです。

良い仕事をする人には、

コチラも、

良い受けとめ方で応じる。

こういうモンだと思います。

ドチラも、寿司を握る仕事に就く人です。

私は後者でありたいと思います。

で、

後者の握る寿司を、

私は【鮨】と区別しています。

歯科の治療をする人間においても同じこと。

歯科医師国家試験に合格した人間を歯科医師と言います。

歯科医師と【歯医者】を、

私は区別しています。

本来の職人仕事をする歯の人を、

【歯医者】と私は考えています。

そのような訳で、

三枝デンタルオフィスは、私の仕事の舞台でもあります。

【科学的根拠】と云う言葉の怪しさ

先程、奥歯のダイレクトボンディング修復をしていました。

アホらしい話しですが、

俺って器用やな!

と、我ながら余りに上手な出来映えに

ホレボレして。

患者さんの方は、さぞかし大変であったでしょう!

長い時間、

口を開けさせられてるンですから。

歯科の治療って、

色々、理屈っぽで、

患者さんへの説明に命をかけてるンだ!

みたいな処も見掛けますが、

口の上手さや説明上手さよりも、

手先の器用不器用で決まってくるんでと。

科学的根拠も勿論、大切なんですが、

その基の研究なり論文の根拠を観てみなければ。

昔の異常値が、

最近になって正常範囲内に修正されたって話も

内科で、最近に在った話ですから。

 

再開

何かにつけて【普通に】と周りから言われ続けられてきたせいか、

【私の個性】を殺してきたような気がします。

ヤンチャ坊主過ぎたからでしょうか?

しかし私も、もう年です。

馬鹿な真似できる体力などありません。

但し、【歯の治療】に関しては、チャレンジャーで居ようと!

しかし大人しくし過ぎも、不自然な自分を再認識させれて。

昔は手術の際には、音楽を欠けながら、

真剣に!

楽しんで!

臨んでいました。

曲ですか?

六甲おろし。

石川さゆり。

森高千里。

曲にあわせて、

ピシッ、スー、ピタッ!

綺麗な手術でしたね。

自分で言うのもなんですが?

患者さんにお許しを得て、

また、再開しましょうか?

強く、しなやかに から

この頃は、怪我のせいにして、

早めに仕事を終わらせています。

帰宅の道すがら、

書店へと立ち寄り、

何冊かを買い求めたのです。

【強く、しなやかにー回想.渡辺和子】

一気呵成に読み終えました。

良い余韻が残りました。

今では社会人となり海外に暮らす一番上の娘が、

中学二年の頃だったと思います。

夏休みを丸々以上利用してイギリスの田舎町にある

寄宿舎へ送り出しました。

幼い頃から、初めての娘と云うこともあり、

随分と可愛がり、

学会で海外へ行く時は勿論のこと、

幼稚園、小学校などは、

ショッチュウ休ませて、

海外へと連れ出していました。

親としては、

感性豊かな時に世界に触れさしてヤりたいと

思ったのです。

が、

このイギリスでのひとり旅が、

私にとっては仇となりました。

洗礼を受ける!と言い出したのです。

私は骨の髄まで、仏教徒。

朝のお勤めも欠かしません。

ですから、大いに仰け反り、

動揺しまくった!のです。

親子喧嘩ですよ。

怒る私を横に、

この娘はキリスト教風に両の手を合わせ、

頭を垂れて、瞳を閉じて、唇をギュッ!と。

この姿に、私の血圧は200を越えていたと思います。

この話を友人である歯科医の○○先生にしたところ、

「オレも昔、洗礼を受けたことがアル!」

???

この友人は、

私の知る限りキリスト教信者からは、ほど遠いお人柄。

悪口じゃないですよ。

人の良いお人柄ですよ。

が、

女大好きのスケベ丸出しだし、

煩悩の塊のような、

人間味ある情の深い人でしたので。

「子供の頃な、教会で菓子をくれるのや!」

「それで良い印象を持って、洗礼って訳や」

「今?先祖代々のお経やがな!」

「キリスト教辞めるのに、許可はイランがな!ヤクザやあるまいし」

「お嬢ちゃんの好きにさしとき!」

呆気にとられ、

心も随分と楽になり、

結局は、娘の洗礼式に立ち会ったのです。

昔話で、

娘に特別な信心があるとは思えません。

私は昔気質の人間故に、

キリスト教云々には、実感がありません。

が、

信仰心のない人より、

神仏の存在を信じない人よりも、

信仰を日々の暮らしの支えにする人を、

私は信用します。

この著作から、

俗に誉め称えられる人格者ではない人柄を感じて、

よけいに著者の人柄の正直さに、

尊敬の念を抱いたのです。

読書から思い出した昔の記憶とともに、

人の生きる時間などなど、

考えさせられた一時でした。