日別アーカイブ: 2015年2月21日

育ち

一般の方からして観れば、私立の歯学部はアホウで、国立の歯学部は学業優秀であるから、

腕も其れに比例しているのだろうとお考えなのでしょう。

遠い昔は歯学部は理系の花形であった頃もありましたが、

今では悲しいかな!理系の学生からは敬遠される程に人気がなくなりました。

なんでも巷には歯医者が溢れかえっていて、歯科医は不採算であるというのが、その原因だそうです。

そもそも、稼ぎが良いから歯医者になろうかなどと不謹慎な考えで此の道を志されたら

診て貰う患者さんの側からしたら堪ったモノではありません。

身近な処は欠点が目について、隣の芝生は青く見えるとは上手く言い当てた言葉だと思います。

歯学部、歯科医の教育に於いては、手前味噌ではありませんが、

ウチの大学は良い処だと、この頃が実感するのです。

歯学は私学によって創られたという言葉があります。

やはりウチの大学には、長きに渡っての歯科医教育のノウハウがあるのでしょう。

今日の新患の患者さんは、インプラント治療を希望されてお越しになられました。

数件の決まった歯科医院からの転院の方でしたが、

インプラントを入れるという歯の隣の歯はユラユラ動いて、

反対側の奥歯のブリッジに至ってはグラグラ状態!

歯周病に対する手当の痕跡もまったくありません。

膝をつめて、腹を割って患者さんに向かい合いました。

今はインプラント治療の段階ではなく、その前に残った歯を長く残すための手当てが必要であると。

インプラントの設計は、歯の保存状況を鑑みて決定すべきだと。

いやはや、18歳と時を振り返って観れば、

偏差値に於いて私は、この前医には負けました。

が、私はウチの大学で教育を受けれたことに感謝します。

学.術.道の充実を唄うウチの大学の水を飲んで育ったからでしょう。

私は他人との勝ち負けには全く興味はありませんが、

どうせ歯医者になるのならば、

ウチの大学は良い処だと実感します。

なんでもかんでもインプラントを入れたがって、どうしたもんだろう!

国立出身の処からばかりに、ヒガミよりも、哀れみを覚えます。

育ちって大事ですね!

早業取得の極意

昨日は診療が終わってから、知人の頼みでトアル処を一緒に訪問し

とにかく用事を済ませてから食事をして犬の散歩へと。

風呂へもユックリとは入れません。

洗い場で、バスタブの縁に顎を載せて大きな舌を出し、

まだ出ないのかと、ズット顔をマリリンに見つめられているからです。

9時には床に入ると決めている私です。

帰宅してからは、早々ユックリとはできません。

朝、目覚めてから診療までの間に、日常的な義務を片づけて、

患者さんと患者さんの合間の瞬時にブログなりメールを認めています。

この様な早業は、恐らく医局にいる時に身に付いたものでしょう。

複数の研究と論文を並行してヤらねばならない環境でした。

というのは、学会にて発表する演者であれば大学から交通費と宿泊費が支給され、

学会に参加し勉強するだけでは、全てが自前であったからです。

となれば、春と秋の2回は必ず1つの学会には大会があり、

幾つかの学会の会員になっているので、研究する立場の大学院生としてみれば、

学会参加は義務のような目で総医局員の厳しい眼に曝されています。

といって此れを自前でとなると、若い私のアルバイト代では到底及びません。

学会発表が自分の仕事と思わざるを得ない環境でした。

診療も当然しなければなりません。

教授の行う授業の鞄持ちから学生実習にも時間を割かれます。

論文を書く机を4つ並べて、ひとつに行き詰まったら隣の机へ、

また行き詰まったら隣の机へと。

患者さんの合間や実習、講義の合間で時間を遣り繰りせざるを得なかったのです。

加えて、夜間診療のアルバイトも生活のためには必須で、

大学病院から白衣を着たままでアルバイト先へと車を走らせて、

で、またアルバイト先から、そのまま大学病院へと。

ですから、今の若い先生方を見るにつけ、

羨ましいやら、恵まれていると感じたり、アマイ!と思ってみたり。

患者さんからしてみれば、歯科の開業医などは、セレブな優雅な時を過ごしているのだろうと思っておられるのでしょうが、

何十年経った現在に於いても、まったく進歩のない生活をしている自分を阿呆と思います。

溜め息が出ます。

ため息

今年に入ってから、どうしたモノか?県内の患者さんが多くお越しになられます。

それも数件の決まった歯科医院からの転院です。

元々、私の診療所では大勢の患者さんを1日に診察できるシステムをとっていないモノですから、

不況の昨今では、誠にありがたいことですから感謝しながら対応させて頂いていますが、

お昼の休憩はとれていないのが現実です。

それにしても、患者さんのお口の中を診察しながら、

???の連続です。

患者さんが悩んで、来られるのも当然で、

しかし治療したる当のご本人はどの様にお考えなのだろうか?と、

口にこそ出しませんが、

新しい患者さんの口からは、受けたる治療の不満爆発というのが現実です。

自分を庇う訳ではありませんが、私の行った仕事ではないのにと黙って患者さんのお声を聴いています。

一通り、心の汚泥を吐き出された後は、決まって

ー 先生、ゴメンね!先生のせいではないのに‥ー

あまりにも数件の決まった歯科医院からの転院であるために、

其処のホームページを、つい確認し、いったいどんな処なのだろう?と。

患者さんと並んで撮った写真があって、

時には Vサインなどのポーズで。

治療したる当のご本人は、それはそれで満足なのでしょう。

良い、汚いの判断がつかないのでしょうから。

お気の毒なのは、患者さんの側で、

歯医者か破壊者か判らない人に、ドンドン悪くされて。

こういう時に思わず私は、越後弁が口から出てしまうのです。

ー いんや、いんや、どーいんかねー?なじらね? ー

( いやはや、いったい、どうしたもんだろう? )

今日も、インプラント治療を希望されて新しい患者さんが来られます。