月別アーカイブ: 2017年5月

大人の涙

今朝、師匠である内藤正裕先生からお電話を頂き、

未明、先生が長年ご一緒に過ごされいた猫ちゃんが亡くなられたとのこと。

電話をはさんで、

大の大人の男がオンオン泣いたのです。

こう言うのを私は恥ずかしいとは思いません。

喜怒哀楽。

良いじゃないですか。

歯の仕事は情熱を蓄積、蓄積。

で、

治療に際しては、

手先に蓄積されたエネルギーを伝導させ、

指先から【気】を病気に対して放出するものだと

常々私は、そう思っています。

情熱は強い感情がなくては到底、

長期間、維持出来ませんから。

今朝も1番から初診の患者さんです。

初対面ですから、

泣き顔を悟られないようにしなきゃ。

MTAセメントと虫歯治療

70を間近に控えましたと、

笑みを浮かべながら語るご婦人の奥歯の虫歯治療を終えた処です。

この歯の治療に着手したのは、

既に昨年の年も暮れようとする頃でした。

古い修復物を外して、

冠の中に進行した虫歯を取り除くと、

薄い紙ていどの歯質を残した向こう側に、

淡いピンク色を帯びた歯の神経が透けて見えています。

虫歯検知液にて削った部分の虫歯の取り残しはありません。

しかし、

虫歯検知液の赤い色と、

活きた神経の色が似通っていることから、

このような場合には、

私はとても神経質になるのです。

で、

ラバーダム防湿環境下にて、

歯面の清掃を行うのですが、

私はアスコルビン酸を好んで使用しています。

次いで、

MTAセメントと私独自の処方のモノを練和して、

深く進行した神経に近接した部分に付与しています。

その後に仮の歯を被せて経過観察に移行しています。

このような症例に使うMTAセメントはGC社の製品が

成績が良いと、

私のデーターでは結論付けされています。

今日、

仮歯を外して、

エアーをかけて、

歯の反応を観察すると共に、

レントゲン所見においては、

神経のある部屋と、MTA三枝メソッドの間には、

鮮明なバリアーが形成されていました。

で、

歯の型採りとなった訳です。

このような症例が、

外からのストレスに強い歯質を持った歯である事は間違いありません。

今日の治療は、

無麻酔下での治療です。

これが本当の【無痛治療】【歯に優しい治療】だと、

歯が好きでが高じて、

今日の治療に至っています。

 

歯の治療で1番大切なこと

患者さんの歯科治療に従事して、

早いものです。

もう30年が経ちました。

つくづく感じますのは、

当たり前なんですが、

人は誰しも【老いる】と云うこと。

生活環境の整備や医療の進歩によって、

今の高齢の方々って、

見た目も身体もお元気ですよね。

私が幼い頃の年齢から、

20歳位お若いんじゃないでしょうか?

しかし、

其れでも年齢は1年づつ経てゆく訳ですから、

絶対に【老い】は訪れます。

私らが患者さんとお付き合いする上で、

想像できない位に、

長いお付き合いになるのです。

生涯、

快適な食生活を営んで頂けるような歯科治療をと。

唾液の分泌状況や質、

骨格と筋肉の状況、

いろんな要素が治療成績に影響を与えます。

今までのように、

あっ!虫歯だ!

早く詰めよう!

歯茎が腫れた!

ポケットの手当てだ!

歯を抜いた!

インプラントかブリッジか?

そんな単純な選択ではありません。

患者さんの体質に沿った治療を考えねばなりませんね。

 

【電話野郎】ってですって

【スカッドナンとか】って云うテレビ番組を、

ついつい毎週のように観てしまうのです。

で、

不謹慎極まりない再現フィルムって云うんですか?

テレビに向かって、

アレコレと、

ついつい、

文句を言う私は、

ホトホト馬鹿だと思います。

でも、

誰しも似たような状況を経験した筈でしょう。

だから、

この番組に共感出来るんだと思います。

クレーム処理の仕事に従事する方が仰られていたのを思いだします。

一体、道徳観って何処に行ったのだと。

そんな頃、

知人から初めて耳にする単語を教えて貰ったのです。

知らなかったのは私だけかもしれません。

時代おくれの私ですから。

【電話野郎】ですって。

知人であったも、

いきなり携帯電話にかけるのはマナー違反なのだとか。

先ずはさきに、

ラインにて、

今から電話して良いですか?

って、

お伺いするのがマナーなんですって。

私なんぞは、

【電話野郎】そのものです。

メールが嫌いなので。

そりゃ、書類の送付には使いますよ。

でも、

人と人との【つながり】って、

声のニュアンスを耳にして、

感じて、

これが大切なんじゃないかなと。

マナー重視と、

非常識とが、

ドチラも【極端】すぎるって思うのは私だけでしょうか?

 

 

患者さんからの笑顔

患者さんからの笑顔が1番嬉しいのは当然です。

日頃の疲れも吹っ飛んで、

もっと、もっと精進しようと。

毎日の生活を正して、

文献とにらめっこ、

其れが出来るのも、

患者さんからの笑顔が在るからです。

 

噛み合わせと表情筋

新しい患者さんとの初めての面談の際にはいつも【緊張】しています。

昨日の患者さんの際にも、そうでした。

私は患者さんの表情を然り気無く、

でも実際には【凝視】しています。

表情筋と人の【感情】の間には大きな【相関性】があることを、

ポール.エクマン博士が実証しています。

表情筋と咀嚼筋の間にも相関性が在ります。

上下の歯の噛み合わせは、

咀嚼筋によってコントロールされています。

筋肉が伸びたり、縮んだりすることで、

上下の歯は、

噛んだり、

擦ったり、

様々な噛み合わせ状況を形成できるのです。

上の歯は頭蓋骨に固定されていますから、

実際には、

頭蓋骨から咀嚼筋によってぶら下がった下顎が、

咀嚼筋が伸びたり、縮んだり、

そうなることにより動いて、

噛み合わせってのが変わっているのです。

顎が動くと、

連鎖的に表情筋も伸びたり、縮んだりします。

私は患者さんの顎の位置や表情筋の緊張具合と、

噛み合わせとの関連に、

【ハンターの眼】のように。

大概の場合、

リラックスできるような下顎の位置ってのを

見つけることに気をつけているのです。

総入れ歯や噛み合わせ治療などに際しては、

下顎の位置が決め手となりますから。

この時に表情筋とのバランスを重視しています。

私の読書法 詳細

先のブログにて、

何気なしに認めた私の読書法について、

多くの方からの問い合わせがあり驚いたのです。

読書は私にとっては三度の食事のような、

私の脳ミソと心の栄養補給源です。

食材にコダワリが在るように、

書物にも私なりの嗜好が在ります。

ストーリー展開を楽しむ娯楽、推理物は全く関心なく、

評論、歴史、随筆、宗教、哲学、心理学を好みます。

で、

国語辞典と漢和辞典を横に、

先ずはサッと流し読むのですが、

心に引っ掛かった箇所を黄色の蛍光ペンにてマークしています。

途中、

漢字の読み仮名、

意味の曖昧な単語は素通りしないで、

辞典で再チェック。

これは特に重要なトレーニングです。

母国語でありますから、

何となく解ってはいるのだがって

読みの漢字や、意味の単語を自己解釈する癖が身につくと、

仕事においては足を引っ張る事になります。

曖昧にしないという癖の形成に役立つと思っています。

2度目はジックリと活字を拾っていきます。

で、

関心ある箇所はピンクの蛍光ペンにてマークします。

1度目の黄色のマーク箇所と重なる部分は、

ズッと後になって、

あれ?あの本に確か載っていたっけ?と、

再び頁を開いて探し物をする気分の際に、

必ずって云う位、

一致しています。

大概、3度繰り返し読むことにしています。

2度目の読者は詳細に読んでいますので、

全体像が掴み難いからです。

3度目はサッと流し、

気になった箇所は大概の場合は行ではありません。

ですから、既にマークしている箇所は含まれた部分的な箇所です。

「」にて囲んでいます。

シツコイとお感じになられるかもしれません。

私が大学院に入った際に当時の講師である教官から頂いたアドバイスを

私なりの長い間の読書から身につけた方法です。

歯科保存学の大学院生ですから、

先ずは20年前からの学会論文に遡って読みなさい。

そう言われた素直な私は、

直ぐに実践し驚愕したのを覚えています。

全く理解不能だったのです。

内心これはヤバいぞ!と思いました。

これから此の分野の研究など出来るのだろうか?って、

不安になったことが懐かしい。

でも、

我慢して、

参考文献も紐解きながらドンドン時計の針が進むにつれて、

突然、

解るようになるもんです。

家族で海外赴任されたビジネスマンが、

奥方は言葉の方で躓くのに反して、

小さなお子チャマが突然英語でしゃべりだしたって、

そんな感じと同じだと思います。

歯科保存学は、

歯科医学の中でも1番シツコイ学問だと思います。

平たく言えば、

地味な学問でもある訳です。

ですから、

こういうアドバイスを後輩である私に教官はしたのだと思います。

非常に役立ちました。

過去から現在に至る過程を知ることが、

行間の理解を深めることも知りました。

最近では地道な文献検索をするよりも、

サッサとインターネットの検索ってのが大流行じゃないですか。

あれは自分の頸を絞めている愚かな行為だと思います。

深みのある、

足腰の強さ、

基本が鍛えられないと思います。

こういう処があって、

今の私なりの読書法に至ったのです。

歯科医の仕事の現実は

今も手術が終わった処です。

先ほどの手術は緊張しました。

出血が多かったのです。

歯周病のコントロールは完璧な患者さんなので、

普通であれば、

ほとんど出血などありません。

その証拠に、

手術に際して私のゴム手袋には血で汚れませもの。

が、

先ほどの患者さんの場合には、

歯の根の先に溜まった炎症が大きく、

骨の広範囲に渡って拡がっていたのです。

炎症性の病変を丁寧に丁寧に取り除くながら、

溢れんばかりの血液を止め、止め、

エレクトリックメスにて凝固止血。

で、

また炎症性病変を丁寧に丁寧に。

新鮮で綺麗な骨が診えたら、

止血は止まります。

ここでマイクロスコープの出番です。

拡大された視野にて、

微量の炎症性病変が無いかのチェック。

で、

チョッとでも診えたら、

また丁寧に丁寧に。

人工骨を補填して骨の形態を整えます。

で、

縫合。

背中に汗だくってのが現実です。

写真で視れば派手な治療に観えるんでしょうが、

楽な稼業ではありません。

 

まだまだ若い人には負けませんよ

この日曜日は浜松市へ日帰り出張。

水曜日は朝一番のフライトにて羽田へと。

東京からの上越新幹線にて昼過ぎに新潟市着。

午後1時から大学にて第4学生への保存学実習指導。

6時半まで、

実習室内を歩きまわり、

恐わ~い教官と、

学生諸君から恐れられ、

実習終了後、

藤井学部長を中心とした研究打ち合わせ、

で、

終了後直ちに、

折り返し東京へと。

深夜前にメーカーの方と打ち合わせ開始。

その日は一泊し、

翌朝もメーカーと打ち合わせ。

夕刻のフライトにて高松市へと。

ですから、

水曜日、木曜日は臨時休診です。

翌朝は通常通りの診療です。

まだまだ若い人には負けませんよ。

神経をとらない歯の治療

今日の抜歯も、

歯の根が折れている患者さんです。

なぜ歯の根が折れる?

神経をとって、

歯が死んでいるからです。

歯が死ぬと、

歯は【枯れ木】になります。

ソコに大きな【噛む力】が架かるので、

いつかは折れて。

私が【三枝メソッド】にて、

虫歯が神経に達していても、

メディカルケアにて虫歯代謝し、

神経を保存できるようになって

2年。

神経をとっていません。

ドッグベストセメントや3Mixとは

全く違う考え方での治療です。

無論、

【MTAセメント】の力は補助的に利用します。

プラスαは【微生物の力】を利用すると云う

歯のオタクで過ごした私なりの蒔いた種が芽を出した

偶然からの産物でも在ります。

MTAセメントの登場には感謝しています。

ただ、

メーカーにより癖が在ります。

症例により各社を使い別けています。

特にGC社のMTAセメントは、私は好きですね。

虫歯の治療での課題は、

高齢者の根の脇に出来た根面カリエスと呼ばれる症状でしょうか?

まだまだ私の虫歯との戦いは続きそうです。