日別アーカイブ: 2017年5月16日

歯科医の仕事の現実は

今も手術が終わった処です。

先ほどの手術は緊張しました。

出血が多かったのです。

歯周病のコントロールは完璧な患者さんなので、

普通であれば、

ほとんど出血などありません。

その証拠に、

手術に際して私のゴム手袋には血で汚れませもの。

が、

先ほどの患者さんの場合には、

歯の根の先に溜まった炎症が大きく、

骨の広範囲に渡って拡がっていたのです。

炎症性の病変を丁寧に丁寧に取り除くながら、

溢れんばかりの血液を止め、止め、

エレクトリックメスにて凝固止血。

で、

また炎症性病変を丁寧に丁寧に。

新鮮で綺麗な骨が診えたら、

止血は止まります。

ここでマイクロスコープの出番です。

拡大された視野にて、

微量の炎症性病変が無いかのチェック。

で、

チョッとでも診えたら、

また丁寧に丁寧に。

人工骨を補填して骨の形態を整えます。

で、

縫合。

背中に汗だくってのが現実です。

写真で視れば派手な治療に観えるんでしょうが、

楽な稼業ではありません。

 

まだまだ若い人には負けませんよ

この日曜日は浜松市へ日帰り出張。

水曜日は朝一番のフライトにて羽田へと。

東京からの上越新幹線にて昼過ぎに新潟市着。

午後1時から大学にて第4学生への保存学実習指導。

6時半まで、

実習室内を歩きまわり、

恐わ~い教官と、

学生諸君から恐れられ、

実習終了後、

藤井学部長を中心とした研究打ち合わせ、

で、

終了後直ちに、

折り返し東京へと。

深夜前にメーカーの方と打ち合わせ開始。

その日は一泊し、

翌朝もメーカーと打ち合わせ。

夕刻のフライトにて高松市へと。

ですから、

水曜日、木曜日は臨時休診です。

翌朝は通常通りの診療です。

まだまだ若い人には負けませんよ。

神経をとらない歯の治療

今日の抜歯も、

歯の根が折れている患者さんです。

なぜ歯の根が折れる?

神経をとって、

歯が死んでいるからです。

歯が死ぬと、

歯は【枯れ木】になります。

ソコに大きな【噛む力】が架かるので、

いつかは折れて。

私が【三枝メソッド】にて、

虫歯が神経に達していても、

メディカルケアにて虫歯代謝し、

神経を保存できるようになって

2年。

神経をとっていません。

ドッグベストセメントや3Mixとは

全く違う考え方での治療です。

無論、

【MTAセメント】の力は補助的に利用します。

プラスαは【微生物の力】を利用すると云う

歯のオタクで過ごした私なりの蒔いた種が芽を出した

偶然からの産物でも在ります。

MTAセメントの登場には感謝しています。

ただ、

メーカーにより癖が在ります。

症例により各社を使い別けています。

特にGC社のMTAセメントは、私は好きですね。

虫歯の治療での課題は、

高齢者の根の脇に出来た根面カリエスと呼ばれる症状でしょうか?

まだまだ私の虫歯との戦いは続きそうです。

エビデンスに基づいた治療?

歯科医学は自然科学の範疇に入ります。

歯科医師である私が、

最近になって行動科学の分野に興味を抱いたのには訳が在ります。

私が【人】の身体に携わる仕事に従事しているというキーワードです。

人は【気分】と【感情】を持つ生命体です。

ですから、

患者さんの【歯に関心】を高めるキッカケを掴みたいと考えています。

自然科学の分野の研究には価値が在ります。

神秘溢れる世界が在ります。

しかし、

研究を着手するにあたって、

研究者は先ずは【仮説】をたてます。

で、

実験を進め、

統計処理を行い、

結果を導く、

と云う一連の流れで研究は進められます。

ただ、

【仮説】をたてた段階において

既に研究者の【主観】が入っていることを、

認識する必要が在ります。

既に研究者の頭の中に【起承転結】があると云う事実です。

ですから、

ある1つの研究結果に対する反証を行うことは

比較的【楽な研究】であることも事実です。

その繰り返しの中から、

事実と真実のふるい分けができて、

結果的に科学はゆっくりと進化してゆくのです。

【エビデンスに基づいた治療】と云う言葉をよく耳にします。

それは或る側面からは正しい姿勢です。

しかし、

反証するエビデンスも多数準備できることも

私らは認識しなければなりません。

良い意味、悪い意味での良い指導者に恵まれた研究者は

この処を十分に理解し消化しているようです。

私がインプラントの即時加重やノンフラップサージェリーに対して

【否定的】な姿勢であるのも、

冷めた眼で判断できている事実でも在ります。

対して、

【行動科学】においては【仮説】はありません。

人の行動から【規則】を導く手法に【客観性】を感じるのです。

更に、

私らは【人】を診る仕事です。

【人】の行動の規則の理解を深めて、

本体である歯科医学の進歩から得た治療を

より良く反映させるためには、

臨床家である歯科医師が行動科学を知ることが重要だと考えています。