歯科医学は自然科学の範疇に入ります。
歯科医師である私が、
最近になって行動科学の分野に興味を抱いたのには訳が在ります。
私が【人】の身体に携わる仕事に従事しているというキーワードです。
人は【気分】と【感情】を持つ生命体です。
ですから、
患者さんの【歯に関心】を高めるキッカケを掴みたいと考えています。
自然科学の分野の研究には価値が在ります。
神秘溢れる世界が在ります。
しかし、
研究を着手するにあたって、
研究者は先ずは【仮説】をたてます。
で、
実験を進め、
統計処理を行い、
結果を導く、
と云う一連の流れで研究は進められます。
ただ、
【仮説】をたてた段階において
既に研究者の【主観】が入っていることを、
認識する必要が在ります。
既に研究者の頭の中に【起承転結】があると云う事実です。
ですから、
ある1つの研究結果に対する反証を行うことは
比較的【楽な研究】であることも事実です。
その繰り返しの中から、
事実と真実のふるい分けができて、
結果的に科学はゆっくりと進化してゆくのです。
【エビデンスに基づいた治療】と云う言葉をよく耳にします。
それは或る側面からは正しい姿勢です。
しかし、
反証するエビデンスも多数準備できることも
私らは認識しなければなりません。
良い意味、悪い意味での良い指導者に恵まれた研究者は
この処を十分に理解し消化しているようです。
私がインプラントの即時加重やノンフラップサージェリーに対して
【否定的】な姿勢であるのも、
冷めた眼で判断できている事実でも在ります。
対して、
【行動科学】においては【仮説】はありません。
人の行動から【規則】を導く手法に【客観性】を感じるのです。
更に、
私らは【人】を診る仕事です。
【人】の行動の規則の理解を深めて、
本体である歯科医学の進歩から得た治療を
より良く反映させるためには、
臨床家である歯科医師が行動科学を知ることが重要だと考えています。