日別アーカイブ: 2017年5月8日

私は歯科医師

本当に歯のお仕事がお好きなんですね!

歯のお仕事が天職なのですね!

患者さんや若い歯科医師の先生方々から

しばしば耳にする言葉です。

しかし当の私は、

その様な事など考えたことはありません。

むしろ、

歯の仕事の厳しさに、

もがいて、

もがいて、

それでも何処かに緒が無いものか?と、

闇夜を手探りでさ迷っているのです。

確かに17の歳に私は歯科医師になる決意をしました。

商家の生まれです。

歯科医師に時たま通院する程度の知識しかありませんでした。

血の争いの絶えぬ家でした。

私にとっての落ち着く処が、

たまたま小さな寺のお堂だったのです。

余りにも頻繁に教本片手の下手な読経でしたのでしょう。

寺のお婆さんが手解きして下さるようになりました。

ある時、

大きな音で太鼓を叩き、

盤若心経をお唱えするお婆さんが、

ふと、

振り返り、

坊!歯医者になれ!

当時、私は文学部志望でした。

あり得ない文系から理系への転向です。

しかし、

私は妙にお婆さんの言葉が引っ掛かり、

歯科大受験へと秘かに転向したのです。

親にバレれば大変な騒動になりますから。

私は商家の一人息子。

跡取り息子だからです。

其処からは、

私は人間の中身が在るのならば、

入れ替わったと思います。

数ある歯科大から日本歯科大学を志望した訳は

以前のブログにて告白した通りです。

私が歯科に向いていようが、

いまいが、

私には関係ありません。

兎に角、

私には歯科しかありませんでしたから。

私の方を、

歯科へ合わせる努力を積んでいったと云うのが事実です。

そうやって何十年生きて来ました。

後悔や反省も余多在ります。

多くのご批判も耳にする機会も在ります。

でも、

私は断言します。

私の一生は真剣勝負でした。

竹刀、木刀での試合ではありません。

仏さまのご縁で頂いた仕事です。

捨てる命など惜しくはありません。

道半ばで、

祈願を放棄する事だけは出来ません。

それが歯科の仕事であれ、

他の事で在れ。

唄の文句ではありませんが、

何時かは、

私は、

風に、

空に、

大地に、

海の水に

帰ってゆくでしょう。

その際に、

私は自分の関わった人たちが幸せであって欲しいのです。

歯科医師として学んだものが、

私の今の考えです。

人生の終わりかた

時代劇などで、

山のお寺の雑用をして余生を過ごすご老体って

ご覧んになった機会もあるでしょう?

私は歯科医師ですから、

生涯、現役で患者さんのお役にたちたいと思います。

が、

身体の自由が利かなくなったら、

私は寺の雑用男として、

自然界と神さま、仏さまのお側で、

生涯を終えたいものだと。

 

マリリンと一緒

私の心が平静でない時に、

マリリンは自然と察知するようです。

自宅で留守番はしません。

玄関戸をすり抜けでも、

助手席に飛び込みます。

院長室の階段を、

私の方を振り返りつつ、

院長室のソファーへと。

でも、

私のデスク脇の小さな机に

寝そべって、

顔は、あくまでも私の方へと。

私もショッチュウ、

左手でマリリンの頭を撫でています。

落ち着いて、

仕事に精を出せるのも、

このマリリンのお蔭です。

花形役者

一番誰を尊敬していますか?

誰のような人物に憧れていますか?

そう問われら、

答えは明白です。

【藤山寛美】に決まってるじゃあないですか?

もうこの時代、

あれほどの役者のなかの役者は居りませんよ。

寛美の舞台、

それはそれは見事でした。

舞台から降りたプライベートでの寛美も、

それはそれはスターの風格が在りましたよ。

で、

楽屋の窓にもたれて煙草を燻らす際に、

淋しがり屋で気に小さい男の顔に戻るんです。

が、

楽屋のドアを誰かがノックして入った瞬間、

再び、

藤山寛美の顔に態度に変えるんです。

寛美七変化は舞台だけではなかったのです。

コレが花形役者なんだ!

と、青春期に鮮明に洗礼を受けましたよ。

歯との暮らし

夜中の3時って未だストーブが要るんですよ。

目覚めたら直ぐにジャンバーを羽織って

マリリンが用を足すのを、

ポケットに手を突っ込んで眺め、

で、

直ぐに折り返して家の中へと。

ストーブに火をいれて、

珈琲を啜りながら、

色んなこと考えていました。

仕事着のワイシャツが干したままであったと。

観れば半渇き。

空っぽになった衣装棚の一つだけ空でない半透明のボックスを

引き出してみました。

4、5枚でしょうか。

洗ったあとクシャクシャに丸められた私のワイシャツが

突っ込んでいました。

しばらく屈んで、

眺めていました。

あぁ、此れがこの家での私の真実の姿であったんだと。

一生懸命に守ってきた積もりであったのは、

一人よがり、

一人相撲であったのだと。

涙が流れましたよ。

マリリンも判るんでしょうね?

あんなに食欲旺盛であったのに、

食べません。

つくづく歯科医師で良かったと、

今日は本当に実感しています。

でなければ、

私は折れてしまうでしょう。

歯には、

また助けて貰いました。