本当に歯のお仕事がお好きなんですね!
歯のお仕事が天職なのですね!
患者さんや若い歯科医師の先生方々から
しばしば耳にする言葉です。
しかし当の私は、
その様な事など考えたことはありません。
むしろ、
歯の仕事の厳しさに、
もがいて、
もがいて、
それでも何処かに緒が無いものか?と、
闇夜を手探りでさ迷っているのです。
確かに17の歳に私は歯科医師になる決意をしました。
商家の生まれです。
歯科医師に時たま通院する程度の知識しかありませんでした。
血の争いの絶えぬ家でした。
私にとっての落ち着く処が、
たまたま小さな寺のお堂だったのです。
余りにも頻繁に教本片手の下手な読経でしたのでしょう。
寺のお婆さんが手解きして下さるようになりました。
ある時、
大きな音で太鼓を叩き、
盤若心経をお唱えするお婆さんが、
ふと、
振り返り、
坊!歯医者になれ!
当時、私は文学部志望でした。
あり得ない文系から理系への転向です。
しかし、
私は妙にお婆さんの言葉が引っ掛かり、
歯科大受験へと秘かに転向したのです。
親にバレれば大変な騒動になりますから。
私は商家の一人息子。
跡取り息子だからです。
其処からは、
私は人間の中身が在るのならば、
入れ替わったと思います。
数ある歯科大から日本歯科大学を志望した訳は
以前のブログにて告白した通りです。
私が歯科に向いていようが、
いまいが、
私には関係ありません。
兎に角、
私には歯科しかありませんでしたから。
私の方を、
歯科へ合わせる努力を積んでいったと云うのが事実です。
そうやって何十年生きて来ました。
後悔や反省も余多在ります。
多くのご批判も耳にする機会も在ります。
でも、
私は断言します。
私の一生は真剣勝負でした。
竹刀、木刀での試合ではありません。
仏さまのご縁で頂いた仕事です。
捨てる命など惜しくはありません。
道半ばで、
祈願を放棄する事だけは出来ません。
それが歯科の仕事であれ、
他の事で在れ。
唄の文句ではありませんが、
何時かは、
私は、
風に、
空に、
大地に、
海の水に
帰ってゆくでしょう。
その際に、
私は自分の関わった人たちが幸せであって欲しいのです。
歯科医師として学んだものが、
私の今の考えです。