月別アーカイブ: 2017年3月

私の本音

他の歯医者では、

こんなに時間をかけて丁寧に診てくれません、

と云う言葉を、

患者さんから頂くからこそ、

報われるのですが、

実際に治療を受けられて居られない方からすれば、

私の診療所なんぞ、

得体の知れないモノだと思います。

これは素人の方に限らず、

歯科医師にしても同じこと。

健康保険診療主体の歯科医師からすれば、

要領の良い奴だと、

私は思われていることでしょう。

が、

私からすれば、

これも真逆で、

健康保険主体の歯科医師ほど、

気楽な稼業はないもんだと。

手順も、

考え方も、

診断の根拠も、

すべて同じで在るにも拘わらず、

材料が違うと云うだけで、

高い治療費用を頂こう等とは、

そんな甘い考えはないもんだ。

インプラント治療などは、

健康保険治療との境目がハッキリしているから、

このご時世、不景気な歯科業界の救世主になっているのが

本音の処でしょう。

しかし、

その様な甘い話しは夢物語。

素人の方も、

そろそろ其の辺りに気がつかなければ、

治す積もりが、

破壊者に壊されたと云う事態に陥りかねないのが、

ほぼ現状だろうと。

かく云う私も、

神業の持ち主ではない事を自覚しているからこそ、

時間をかけて丁寧に丁寧にと云う、

恐がりの典型的見本のような私の、

結果結末的治療方法となった次第です。

歯科医師は決してホワイトカラーではありません。

どちらかと言えば、

ブルーカラーで在る事は明白で、

能力の無さを、

手間隙と時間と誠意で補いながら、

辻褄を合わせるので精一杯なのです。

それでも、

私は歯が好きで堪らないので、

余計に始末に負えません。

あと今日はお一人。

スタッフの宮田君のご主人です。

セラミッククラウンの歯型採りです。

形成の最後の手当てを、

マイクロスコープを覗いて仕上げて、

で、

歯型採りに取り掛かります。

さぁ、一踏ん張り気合いを入れますか!

 

歯ぎしりについて

人は日常の暮らしのなかで、

自覚がなくても、

ストレスに曝されているのです。

例えば、

親が幼い我が子と楽しい時間を共にしようと、

遊園地へと出かけたり、

ショッピングモールへと足を運んだり。

其れは快感、不快感と云う分類で振り分ければ、

快感の範疇に入ります。

その様な正の作用であっても、

良い意味での正常ではない訳で、

ある意味、

其れは良いストレスと申せましょう。

ですから、

悪い意味でのストレス状態では、

心と身体に大きな負荷がかかるのです。

人は高度な感情を持つ生物です。

ストレスを自分自身で軽減する手当てが、

歯ぎしりなのです。

お金を遣わなくても、

何処かで発散するのでもなく、

自分自身で手軽にストレスを発散する手立てが、

歯ぎしりなのです。

クドイようですが、

ストレスとは、

悪い意味での負荷だけではなく、

快感を覚えることも良い負荷だと、

認識して下さい。

ストレス発散の手立てである歯ぎしりを防止するなど

自然の営みを阻害する愚かな行為です。

歯ぎしりを防止する手立てを行ったならば、

他の何処かに、

障害を惹き起こすでしょう。

しかし、

歯ぎしりは、

歯にとっては、

大変な迷惑な負荷でもあります。

歯科医学の最後の仕事は、

歯ぎしりとの関わりになるでしょう。

マウスピースは、

あくまでも砂上の楼閣でしかありませんが、

場合によっては、

診断の大きな助けにもなりますし、

治療の一助にもなります。

しかし、

万能ではありません。

私自身も、

歯ぎしりと上手く付き合う歯科治療を行っているのが

今の能力の限界です。

私の現役の間には解決できないかもしれません。

それが歯ぎしりです。

 

 

人間だもの

心底、歯で困って居られない方には

理解できないかもしれません。

が、

私の日常は、

本当に歯で困って居られる患者さんに、

支えられて、

過ごしてきました。

私が生きる意味を、

歯に見いだせたのも、

本当に歯で困って居られる患者さんが

居られるからです。

若い時分には、

功名心に流されることも、

正直に申し上げて在りました。

が、

その様な気持ちがすっ飛んでしまったと云うよりも、

そんな余裕が無くなったと云うのが、

本音だと思います。

本当に歯で困って居られる患者さんが、

次から次へと、

お越しになられるのに、

その苦しさを

少しでも解決する一助となろうと、

無我夢中であったと云うのが本音です。

患者さんとは、

苦しいモノですよ。

苦しい時は、

苦しいと言って良いのだと、

私は思います。

受けとめるのが、私の仕事。

光を見つけるのが、私の仕事。

そう素直に感じています。

其れは私も、

ひとかどの苦しさを味わった人間であるからです。

苦しい時は人間だもの。

歯科医師は、

単に歯の大工ではありません。

歯科医師は、

歯を通じて、

患者さんの健康を取り戻す手当てをする専門職だと、

私の今の歯科医師の定義を、

そう思っています。

旧帝国海軍最後の連合艦隊司令長官であった小沢治三郎大将は、

たしか、

泣きたい時もあるだろう、

苦しい時もあるだろう、

淋しい時もあるだろう、

其れを耐えるのが、

男の修行である、

と云うような言葉を残されていたと、

正確ではありませんが、

そう記憶しています。

男の修行は、それで良いのですが、

患者さんは、

医者に救いを求めて

何の不思議さも、

違和感もありません。

人間だもの。

 

手術の後に

午後4時に手術の患者さんがお出でになられ、

今は午後の5時40分ですが、

無事に9本のインプラントの埋入手術が終了しました。

私はレントゲンの現像待ちの間に、

こうしてブログを認めています。

言うまでもなく、

手術は正確さと安全が1番です。

が、

スピードも大切です。

露出して空気に触れた骨は、

痩せるからです。

インプラント治療のように、

骨を大切に、

骨に優しい手当てを必要とする手術では、

骨と空気との接触時間は短い方が良いからです。

しかし、

毎日の手術は疲れました。

年を感じます。

昔は1日に3症例ほどの手術を連日のように執刀しても、

夜は飲みに出られてましたもの。

明日も、

来週も、

また手術ラッシュです。

スタッフの宮田君には敬服します。

よく私の治療のアシスタントが務まるものだと。

なんせアドリブの連続ですからね。

先を読むアシスタント降りには、

もうベテランの歯科衛生士になったモノだと。

手術を受ける患者さんも大変でしょうが、

手術する側の私やスタッフも、

誠心誠意、頑張っていますので、

御容赦下さいと。

好きでなければ出来ない仕事だと、

自分でも、

そう思います。

男なら

男が女心が判ったらダメでしょ。

私見ですが。

女遊びは既に卒業しましたが、

男特有の狩人精神は、

歯科医学の追求にのみと相成りました。

モテるには、

ソレナリの技術が必要です。

それはヤッパリ、

女心が判らないとダメですよ。

でもそれは、あくまでも表面上のモノですよ。

真理の追求は

自然科学の世界に生きる者の定めです。

で、

結局は、

男と女は違う生き物だと認識したのです。

違うから、

反発するのではなく、

違うから、

尊重するってことでしょうか。

モテる男は女性と上手く協調できますし、

モテる女性は男に好かれる秘訣を体得しているモノです。

私の息子は現在、放蕩の最中です。

父たる私に、

息子をとやかく言える資格はありません。

何故なら、

モテる息子に安堵しているのも反面事実ですし、

無駄やヤンチャから学ぶ処大いに在りと、

私自身がそう思っているからです。

男には男の社会が在り、

男には男の定めってモノが在るんですよ。

その縄張りに、

ずけずけと入り込むのを野暮天って云うんじゃないですかね。

男の方も、

其れを忘れたか、

気づいていないのか、

知らないのか、

草食系って云うんですか?

笑っちゃいますね。

男ならシッカリしろよ!

って、

言いたいですね。

裏方作業

今は午後の1時半です。

これから2人の患者さんの診察です。

最初の患者さんは、

下顎のオーバーレイインプラント義歯と云う治療の患者さんです。

最近のブログにて、

技工の手順の1過程をお見せした、あの患者さんです。

今日は、インプラントの上に被わる総入れ歯の

人工歯の配列のチェックです。

裁縫で云う仮縫いのような手順です。

噛み合わせや観た目のチェックです。

私の治療では、

このような途中チェックを頻繁に設けています。

患者さんの意向、

私サイドの専門的配慮、

その接点を定めるためです。

この手順を踏むか否かで、

治療した後の安定度合いが大きく変わってきます。

その次の患者さんはインプラントの埋入手術です。

上顎に1本も歯の無い患者さんです。

仮の入れ歯にて、

インプラントを埋入する位置は決まっています。

骨の幅の薄い部分の骨造成の手術も既に終わっています。

で、

今日いよいよインプラントを埋め込む手術の日を迎えました。

9本のインプラントを埋入する予定です。

1時半程度でしょうね。

今日の診察は、これで終了です。

その後、

機材の洗浄、滅菌など、

裏方作業は続きます。

診察と同じくらい、

裏方作業は大切なのです。

 

三枝メソッド

もう随分と昔のこと、

20年は遡った頃の話しです。

が、

時々に、その事を思い出すのです。

好奇心の塊と自ら認める私は、

占い、八卦の類いが好きです。

高名な占い師などと聞くと、

遠方であっても、

疑いの心半分、

でも、

好奇心の方が勝って出かけてしまうと云う、

懲りない性分なのです。

で、

その占い師から、

貴方は年々、変わり者の傾向が強まりますね。

群れない性格が益々、強くなるでしょう。

そんな予言を、

当時は一笑したのですが。

何故なら、

若い時分の私は大変な社交家だったからです。

周囲の者も、

そう思っていたに違いありません。

そんな私が、

面舵を方向変換した傾向を認識してきたのは、

私が恋焦がれて就いた歯科医療が、

私の理想像とは、

かけ離れた方向へと、

これまた歯科業界特有の護送船団方式で

漂流難破してきた!と、

身体で感知した時からだと記憶しています。

その時から、

歯科医師の挙動に背を向けるように心してきました。

研究論文と、

自らの治療からの結果しか

意識して見ないように心してきました。

ですから、

自らの治療は、

より丁寧にと心がけ、

より誠実であれと、

自らを叱咤し、

治療行為の結果検証の正当性のために、

治療環境の条件設定の一定化に苦心して、

工夫に工夫を重ねて来たのです。

そんなこんなを継続して、

観えないモノにも、

ある傾向が在ることに気づいたのです。

で、

そんな傾向を探究しながら時を経て、

私の治療方法が造られてくるのです。

其れを若い先生方は、

三枝メソッドと呼んでいるのだと思います。

歯科医療のアイデンティティー

入れ歯造りに関しては、

特にそうですが、

考えて、

考え抜いて、

無い処から、

在る処を築いて行く楽しさが在ります。

本来、歯科保存学が専門である私は、

歯科補綴学の専門範疇にある入れ歯については、

一言語る資格など無いと思っていました。

しかし、

好きこそモノの上手なれと云う言葉も在りますから、

歯全般を三度の飯よりも好きな私ですから、

ついつい食べるのを忘れて時を過ごし、

痩せ体型が未だに改善される兆しはありません。

インプラント治療なども、

歯の無い処に施す治療ですから、

無い処から築き上げると云う点では、

入れ歯造りと全く異なる処はありません。

ですから、

入れ歯造りの下手さをカモフラージュする手立てとして

インプラント治療を推奨する傾向に反発しています。

入れ歯には入れ歯の適応症が、

インプラント治療にはインプラント治療の適応症が、

その壁が明確に存在すると、

私は断言する歯科医師です。

インプラントなら取り外す不便さがありませんなどと云う

その気にさせるコマーシャルトークを軽蔑しています。

入れ歯にしたら、

骨が痩せて、

遂には悲惨な状況に早晩遭遇すると云う、

脅しに近いコマーシャルトークを、

私は心から軽蔑しています。

痩せて行くのは、

その歯科医師の技量の程度と医療倫理だと、

私は葉巻の煙りの向こう側としてしか、

観ていません。

歯科医療を生業とする者は、

技術の王道を歩くべきです。

歯科医療が、

技術と、

人の身体を与る仕事である以上、

道の真ん中を、

道なき処は、

木を倒し、

草を刈り、

道を造ってでも、

その真ん中を歩いてこそ、

歯科医療のアイデンティティーを

衆目の認められるモノに成り得るのだと思います。

考えると云うこと

百貨店の地下階食品コーナーの賑わいの中を

揉みくちゃになりながら、

行き交う人の肩越しに食材を選ぶのが好きです。

興味をひかれた商材を吟味するのに、

隙間をぬって目的の品を手に、

そんな一時が好きです。

大阪梅田の阪急百貨店地下階の盛況降りは、

幼い頃からあいも変わらず、

チョッと阪神方面へと足をのばした際には、

その雰囲気を欲し、

ついつい。

あの空気は東京では決して味わうことが出来ません。

池袋の東武百貨店の食品階を、

日本橋の老舗百貨店より高く評価しているのですが、

やはり食に関しては、

西高東低の傾向を感じてしまうのです。

地元の百貨店に全く関心が湧きません。

と云うのは、

地元のバイヤーの目利きを無視した商材選びではないか?

そんな印象をどうしても感じてしまう店創りに、

私の感性が反発するのです。

ここは大東京ではありません。

ここにしか無い自己主張ある商材を並べてこそだと、

私は感じるのです。

歯科医療においても、

私にしか出来ないことを、

私の診療所で主張してきた自負が在ります。

普遍と個性の調和の落とし処を求め続けるのが、

個人事業主の本来の姿だと思っています。

人の猿真似ほど愚かしい事はなく、

せっかくに天から頂いた生を過ごすに、

考えると云うことを続けるのが、

感謝の印だと考えています。

考えると云うこと。

それが、どんな局面においても

人の人たる所以だと、

この頃の新患の患者さんの口腔に施された

歯科医療に接して、

歯科医師は確かに手先の仕事ではありますけれども、

考えることを放棄したようにしか観えない治療傾向に、

悲しい気持ちになるのは私だけではないように思いますね。

 

スタッフのお陰で

手術が終わって、

近くのうどん屋でサッと昼を済ませて来ました。

在店時間5分程でしょうか。

診療所へ戻ると、

スタッフの宮田君は器具の洗い物や手術台の消毒を

休まず続けてくれています。

そんな処、

メンテナンスのために来られた宮田君の患者さんがお越しになりました。

私の患者さんは、その患者さんの後からです。

インプラントの歯型採りの治療です。

無論、宮田君がアシスタントに入ります。

若さって、凄いモノだと、

本当に感心します。

歯型採りが終わったら、今日の診療は終了です。

後片付けする宮田君に、

先ほど昼の序でに肉屋の親爺に声をかけておいた、

宮田宅の夕食のおかずにでもと、

鶏の唐揚げを取りに行こうと。

共働きの主婦は大変な重労働だなと、

特に患者さんの手当てに従事する医療系の仕事に従事する女性は、

本当にご苦労様だと、

頻りに感心するのです。