歯科医療のアイデンティティー


入れ歯造りに関しては、

特にそうですが、

考えて、

考え抜いて、

無い処から、

在る処を築いて行く楽しさが在ります。

本来、歯科保存学が専門である私は、

歯科補綴学の専門範疇にある入れ歯については、

一言語る資格など無いと思っていました。

しかし、

好きこそモノの上手なれと云う言葉も在りますから、

歯全般を三度の飯よりも好きな私ですから、

ついつい食べるのを忘れて時を過ごし、

痩せ体型が未だに改善される兆しはありません。

インプラント治療なども、

歯の無い処に施す治療ですから、

無い処から築き上げると云う点では、

入れ歯造りと全く異なる処はありません。

ですから、

入れ歯造りの下手さをカモフラージュする手立てとして

インプラント治療を推奨する傾向に反発しています。

入れ歯には入れ歯の適応症が、

インプラント治療にはインプラント治療の適応症が、

その壁が明確に存在すると、

私は断言する歯科医師です。

インプラントなら取り外す不便さがありませんなどと云う

その気にさせるコマーシャルトークを軽蔑しています。

入れ歯にしたら、

骨が痩せて、

遂には悲惨な状況に早晩遭遇すると云う、

脅しに近いコマーシャルトークを、

私は心から軽蔑しています。

痩せて行くのは、

その歯科医師の技量の程度と医療倫理だと、

私は葉巻の煙りの向こう側としてしか、

観ていません。

歯科医療を生業とする者は、

技術の王道を歩くべきです。

歯科医療が、

技術と、

人の身体を与る仕事である以上、

道の真ん中を、

道なき処は、

木を倒し、

草を刈り、

道を造ってでも、

その真ん中を歩いてこそ、

歯科医療のアイデンティティーを

衆目の認められるモノに成り得るのだと思います。