月別アーカイブ: 2017年5月

歯との暮らし

夜中の3時って未だストーブが要るんですよ。

目覚めたら直ぐにジャンバーを羽織って

マリリンが用を足すのを、

ポケットに手を突っ込んで眺め、

で、

直ぐに折り返して家の中へと。

ストーブに火をいれて、

珈琲を啜りながら、

色んなこと考えていました。

仕事着のワイシャツが干したままであったと。

観れば半渇き。

空っぽになった衣装棚の一つだけ空でない半透明のボックスを

引き出してみました。

4、5枚でしょうか。

洗ったあとクシャクシャに丸められた私のワイシャツが

突っ込んでいました。

しばらく屈んで、

眺めていました。

あぁ、此れがこの家での私の真実の姿であったんだと。

一生懸命に守ってきた積もりであったのは、

一人よがり、

一人相撲であったのだと。

涙が流れましたよ。

マリリンも判るんでしょうね?

あんなに食欲旺盛であったのに、

食べません。

つくづく歯科医師で良かったと、

今日は本当に実感しています。

でなければ、

私は折れてしまうでしょう。

歯には、

また助けて貰いました。

ブリッジも良い治療です

お分かりになりますか?

下の奥歯にセラミックのブリッジでの治療痕跡が在ります。

と言っても、

ブリッジの橋桁は大臼歯だけです。

手前の第2小臼歯には歯の根はありません。

ですから、

この大きな噛む力の架かる奥歯のブリッジは

前へと倒れる力を受けています。

患者ですか?

噛めない!噛めない!

歯医者に伝えても、そんな筈はないと!

そうした経緯で私の診療所へお越しになられる患者さんは多いですね。

もったいないと思わないで下さい。

ブリッジを除去します。

これはジックリト歯を駄目にする

長期抜歯装置でしかありませんから。

この治療した先生は悩んだんでしょうね?

歯のない処の幅が狭い狭い!

インプラント入れようにも、

人工歯を並べるスペースがない!

で、

こんな素人仕事ってな結末に至ったのででょう。

歯がない処はインプラントって、

端からそう頭にインプットしているから、

こんなブサイクな長期になるんです。

この症例はブリッジの適応症です。

ただし、

クラウンを歯肉が受け入れる準備ができていません。

歯肉強化のための手術をして、

先般、

安定したブリッジをお造りしました。

大人の男

ふとテレビで【鬼平犯科張】が眼に入り、

観いってしまいました。

もうなん十回も観たにも拘わらず。

【血頭の丹兵衞】の巻です。

この巻から【小房の粂八】が鬼平の密偵となると云う

名作でも在ります。

牢の中で鬼平が粂八と茶碗酒を酌み交わしつつ、

粂八の過去を問う場面がとても良い。

あっしは二親は居りやせん。

もの心ついた時から、

おっばあに手をひかれ、

まぁありは雪、雪、雪でさぁ。

凍えるほど冷たくて、

腹もすいて、

そのおんばぁも道端で亡くなっちまって、

其処からは、

御決まりの次第ってもんでさぁ。

鬼平は黙って聞きながら茶碗酒を呑みつつ、

俺にも親は居ねぇんだよ。

母親の顔も俺は知らねぇんんだ。

人は様々な過去を背負い、

想いを封じ込めて、

それでも生きているのです。

弱音ばかりはイケマセンなぁ。

もう流す涙は、

私には枯れてしまったようです。

大人の男って辛いものですね。

 

マリリンと

昨日、急患の患者さんがお越しになって、

診療している時は楽しかったですね。

あとは、

家で眠ってばかりでした。

食欲もなく、

テレビも眼に入らず、

本も頭に入らず、

物置小屋の鍵が見つからず、

庭作業の道具がなく、

車の手入れするほど傷んではなく、

マリリンと眠ってばかり。

マリリンって面白いんです。

同じ枕の端っこに鼻の頭を乗せてくるんです。

掌で、大きな長い鼻を撫でてやりながら、

私とマリリンは

自然と眠ってるようです。

私は体温が高いんだそうです。

知らず知らずマリリンは、

足元に移動して、

大きな身体を横たわっています。

こんな休日でも、

私は決まった時刻に目が覚めます。

身体がそうなっているんでしょう。

で、

起きていつものように。

家での決まり仕事を終えてからが困っています。

することがない。

今日は少しばかり足を遠くまで延ばしてみましょう。

マリリンと。

息子の成長

息子から電話を貰いました。

父ちゃん、暇で淋しいだろ?来れば?

う~ん。そうでも無いのや。

書類の山を片付けんとな。

それに交通渋滞だろ?

でも、ありがとうな。

この息子も、

ご多分に漏れず、

大変な反抗期でした。

息子の口から出る言葉は、

私をボロボロにしました。

しかし、

何時かは判ってくれると信じて、

私は馬鹿に成りきって

息子への信号を送り続けました。

愛情の信号です。

私は馬鹿ですから、

家族全員に対して、

愛情の信号を送り続けて来ました。

息子は、その辺の処は消化できていないようです。

歳を考えれば、

未だ青春期真っ只中。

大人の男には育っていません。

泣いた数だけ、

男は大人へと変わって行くものです。

私の心情が少しは判ってくれる年齢になった処でしょう。

息子に聞きました。

アレホド嫌った父ちゃんを何故、心配する?

父ちゃんだけが最後まで俺を信用もし、

評価してくれるから。

あと、甘ったれだからね、父ちゃんは。

今、鬼に成らねば成らんと決意している私ですが、

息子曰く、

父ちゃんのことを知っているのさ。

ただ、それが父ちゃんの寿命を縮めていることの

愚かさに気づいていないのさ。

父ちゃんが死んだら、

罪悪感で苛まれりると思うよ。

俺の母ちゃんは、

頭は良いが、

人の愛情って知らないで育ったんだと思うね。

森の石松から

今朝は急患にて診療所へ出て来ています。

徳島県ご開業の医師の患者さんです。

インプラントの上に繋ぐキャップのような部品が

緩んで取れたとのこと。

どちらもが休診日であるので、

却って都合が良く、

今朝、お出で頂く事に相成りました。

お約束の時刻よりも2時間ほど早く出勤し、

診療所の全ての窓を全開にして籠った空気を入れ替えし、

石階段の雑巾掛け、

フロアーカーペットの掃除機掛け、

序でに、

掃除機の吸い口の掃除などと、

ジッと出来ない質なのです。

マリリンは同伴です。

院長室のソファーで寝そべりながら、

向かい側の私のデスクのほうをチラホラと。

穏やかな朝を過ごしています。

通常、診療所では院長室の中に居ても

落ち着きません。

診療所のドアを開けた瞬間から、

私の気持ちは高揚しているからです。

飄々と観せているのは、仕事の顔であるからです。

患者の一挙一動を見逃すまいと、

医師の眼で診ています。

長い緊張感の持続を必要とします。

ですから、

自宅では辛かったですよ。

自宅は私の欠点をジッと探されている場所でしたから。

今は今で辛いですね。

自分たちの大切、必要な品だけ持ち出して、

生活感が残っていますから。

日本の男を本当に怒らせたら恐いよ。

私が幼い娘たちに教えていなかったことが、

この言葉です。

浪花節が好きで、

森の石松最後の巻のクライマックスに

なんど咽び泣いたか判りません。

喧嘩っ早い石松は、

次朗長親分との硬い約束にて、

金比羅様の参詣の道中に喧嘩しないと

刀の鞘と刀の鍔に封をしていたのです。

ヅタヅタに切り刻まれても、

石松は、

親分との約束を守ったまま死出の旅へと。

その結末を知るや、

清水の次朗長親分は怒りました。

怒りは富士のお山の高さを凌いだものでしょう。

大勢の子分衆を率いて、

石松の仇を打つその続きも圧巻です。

人は我慢の時も必要です。

耐えて、堪えて、

ジッと屈み、

自己を反省し、

自己を見つめ直す時も必要です。

が、

我慢にも限界ってものが在るってことを、

人は知らなくてはなりません。

男の生き甲斐

家の掃除と云っても、

散らかさないので、

床の拭き掃除くらいなもので、

芝生を刈ろうにも、

何処に置き忘れたのか、

物置小屋の鍵が見当たらず、

結局、眠ってばかりです。

疲労が身体の隅々にまで及んで、

傷みきっているんだと思います。

仕事での辛さや苦しさと云う意味合いのものではありませんでしたから。

横になってズッと考えていました。

何か対応策が在ったろうか?

手立ては無かったか?

私が全ての感情と人格を棄てることくらいしか

無理だわなと。

それは出来ぬ相談ですから。

もう懲り懲りと云う言葉しか感情がありません。

男にとって仕事は、

戦いであり、

生き甲斐です。

ゴールデンウィーク明けから再び、

ダッシュするためのエンジンを全開にしなければなりません。

この数日間の間に、

心を整える事に精をだそうと、

目覚めの珈琲を飲みながら、

決意しています。

おもしろい人

昨夜、久しぶりに友人と逢いました。

新潟県三条市のご出身です。

71歳。

東京音楽大学教授である武田真理先生の夫君です。

ザックバランな方です。

デザイン関係の仕事で活躍されておられたのに、

そんな事をおくびにも出さない、

で、

芸術には一言語るだけの眼を持っておられるのが

要所要所で判ります。

面白い方で、

私は氏とは妙にウマが合うのです。

短気でせっかちの結晶のような方です。

教授先生の奥方は、

まるで我が子を慈しむような眼で、

大いに語る夫の顔を

笑みを浮かべて観ています。

良い夫婦だなと。

奥方先生に聞いてみました。

こんなに短気で怒りっぽい夫と喧嘩になりませんか?

こわかぁないですか?

この親父、怒らしたら恐いぞ!

そんな夫君ですから。

で、

答えは、

う~ん?

怒る壺が解ってるの。

そこさえ、ねっ!

ただ1回だけは震えあがったわ。

普段の些細なことからではないの。

私の講義の準備を観て、

もう凄まじい爆弾が炸裂したの。

お前らは、こんな程度のエネルギーで、

お金を貰って学生さんに教えてるのか!って。

脚が震えあがったわ。

この人、ハチャメチャだけど、

何事にも真面目だから。

私は氏がますます好きになりました。

 

1日を大切に

嫌なことが在っても淡々と受け流せるようになりました。

これは慣れによる成果だと確信しています。

次から次へと嫌なことが沢山在りました。

心が穏やかになる日は滅多にありませんでした。

私の普通が異常であると云う台詞から始まる地獄は、

無視をバイパスとして準備され、

相手の気の向くままに、

次々と襲いかかってくるのです。

人生において、

これ程の罵声と嘲笑い、軽蔑に富んだ言葉と態度を

私は経験したことがありませんでした。

私に原因が在って、

不快感や迷惑をかけているのならば、

それは大変だと、

鬱状態になったこともあります。

今、私が正常に過ごせるのは、

書物と歯科医師としての自覚からです。

歯科医師として、

誠実に歯科医学と患者さんに向き合って来ました。

それには自負が在ります。

また、

自身の【いたらなさ】の去勢を書物に求めて、

また、

【折れそう】な心のつっかえ棒を

書物に求めていたのが事実です。

【柳に風】のように人目からは観えるのだそうです。

飄々と、飄々と。

が、

そんな筈ある訳ないでしょう?

私は情熱の歯科医師です。

大きな喜怒哀楽の感性を持つ者です。

自身を抑えて、抑えて、

封じ込めて、

初老の紳士たれと、

やせ我慢の無理をしているのです。

思い返せば、

腸がひっくり返るでは済まないこと度々。

元来、喧嘩っ早く短気な質ですので、

先の家人をぶん殴ったことも在ります。

今で云うDVって奴でしょうね。

馬鹿らしいから止めました。

爆発するほどのエネルギーは身体を傷めます。

また、手は神聖なる私の仕事道具です。

で、

歯科医師は紳士たれと、

そう自覚してから怒りの爆発は起きなくなりました。

ただ、

自然とですね。

心が自然と準備に入っていたんでしょう。

相手への愛情は、

私は馬鹿ですから知り合ってからと変わらず在りました。

でも、

心が限界に来ていたんだと思います。

子どもにも距離を置く自分を感じていました。

後で親として最大級の苦しさがくることを

一度の離婚から経験していましたから。

一度目の離婚の原因は全て私に在ります。

申し開き出来ません。

若気の至りだと、

息子に語ったことが在りました。

夫婦の問題は半と半と言いますが、

私は息子には、父が若かったのだと。

それだけ語りました。

縁が在って再婚しました。

娘が生まれ私生児扱いだったからです。

私が世間が恐かったのです。

この時は最初の家人とは別居中でしたから。

しかし、

娘と家人の顔を観る度に胸が潰れる想いに、

耐えられなかったのです。

最初の家人と離婚し、

再婚した経緯は世間では色々と言われました。

その後で、

泣く人を作ってまで手に入れた家庭は、

家庭と呼べる代物ではなかったのです。

激動の15年近くだったでしょうか?

先生、丸くなりましたねぇ!

なんて台詞を頻繁に耳にします。

そりゃそうです。

辛い辛い日々でしたから。

ただ随分と勉強にはなりましたね。

自分の性格は努力すれば変えることが出来るけど、

他人の性格は、

他人では変えることが出来ない。

これは私の生活から学んだ答えです。

私は思っています。

他人を悪く言ってはならないと。

ただ、

注意に過敏に反応する人は、

また、

聞く耳持たない人は、

関わらないべきだと。

本当に大変な経験をさせて頂きました。

このような時代が在ったことは、

将来と言っても、

沢山残ってはおりませんが、

必ず役にたつでしょう。

随分と遠回りもし、

時間とエネルギーを無駄遣いしました。

私は、あぁ云う人には成りたくない。

素直さが在れば。

感謝の気持ちが在れば。

我の強さを少しだけ弱めれば。

何度そのように思いながら、

相手の顔を観ていたか判りません。

【1日を大切に】と云う言葉の本当の意味を

感じて欲しいと、

毎日、毎日、

お仏壇の前に座り読経していました。

が、

私らしくない。

ある日を境に、

私は読経を止めました。

お茶とお花の水を変えて、

燈を灯し、お線香を炊く。

お輪をならして合掌で。

お経をあげるのが辛いからです。

砂上の楼閣のような家族の家長でしかない私が

自分が情けなかったからです。

歯科治療においては私は一言語れる修行は積みました。

芸の道に限りはありません。

死ぬまで歯科治療の真髄を追い求めて歩くでしょう。

群馬県の浅見博士から、

三枝、お前は剣客として勝ったと言われました。

私はこう返したのです。

人生においては俺は全般、お前に負けたよ。

【1日を大切に】の言葉が脳裏から離れません。

柳に風で良いでしょう?

飄々とで良いでしょう?

それでも1本筋の通った人生を

確実に歩もうと思います。

 

 

 

手術

以前、大阪市にて大学関係の大切な会議がリーガロイヤルで在りました。

丁度良い機会だと、

当時新潟市に暮らす息子に私の乗り古しの自動車をやろうと、

大阪市まで息子を呼んだのです。

大学の先生方も息子をよく知って可愛がって下さるからです。

ただこの時の会議は特に大切な会議でしたので、

会場のホテルは目立ちすぎて色々と不都合な話しも幾つか在りましたので、

私個人の裁量にて、

近くにゆっくり話しの出来るホテルを予め準備していたのです。

こういう処を、

流石、三枝先生は仕事人とお誉め頂きます。

偉い先生方との話しも進み、

で、

息子も紹介でき、

私は大満足で家路に就いたのです。

不幸は忘れた頃にやってくる。

先に家人の様相が怒り爆発寸前の火山の如く。

どうやら私が寝ている最中に、

鞄の中を探索して、

タブレットを覗き見したようです。

とは、本人は絶対に言いませんが。

で、

宿泊はリーガロイヤルだった筈。

なんでお洒落なホテルをツインでとってるんだ!

男同士でツインはおかしい!

女だ!

何処の女だ!

汚らわしい!

性キチガイ!

寄るな!

近寄るな!

嘘つき!

私ですか?

ビックリしますよ。

脳ミソのなかの神経繊維が思考を次々に伝導するのですが、

脱線しているシナプスの修復作業を私は知りませんし、

暴風雨のなかは命懸けでしょう?

このようなクダラナイ妄想で大切な命を落とせません。

組織においては私よりも年少者でも、

上位の人が居ることは良く在ることです。

私が非常勤講師ですから、

言いやすいこと、

聞いて欲しいことも在るのでしょう。

また人生経験からかキャラクターからか、

この先生は私になついてくれています。

ゆっくり酒でも飲んでじっくり聞きましょうって、

そんな感じでした。

ましてや私らは自身の立場を認識しています。

皆さんが頭を下げて下さるからこそ、

私らシャン!として観せねばなりません。

そういう立場ですし、

そういう歳ですよ。

大いなる冤罪はマスコミが晴らして下さいますが、

私の浮気の冤罪を助けて下さるマスコミは皆無です。

で、

その先生の父上に泣き付きましたよ。

先生、助けて下さいと。

天下の三枝先生でも恐いものが在るんですねぇ?

何を呑気な事をと内心で思いつつ、

家人の携帯電話の番号をお知らせしたのです。

結果ですか?

ダメです。

なんで?

男通しは庇い合うものだと。

以降の私は家ではゴキブリ以下の扱いを受けています。

辛抱しました。

同じ土俵へはと。

が、

自分のなかで音がしたんです。

私は男として、

夫として、

親として、

グッと辛抱しながら真面目に仕事して、

真っ直ぐに家に帰っていました。

何か気に入らないことが在れば、

古い引き出しを開いて、

責める、責める、責める。

いつの間に娘たちも私に近づきません。

何か欲しい物を買って欲しい時だけです。

完全に、

私の中身が変化したのだと思います。

と言っても、

盛り場へゆき、

其処の女性と会話するのは私は好みません。

私なりの紳士のたしなみと云うものが在るのです。

犬と遊ぶ、

車の修繕くらいしか、

思い浮かぶ身の処せどころが判りません。

しかし、

家に入れば手荷物席以下の扱いに、

私が家族のためにと頑張っていたのは、

私自身の自己満足でしかないと悟ったのです。

私は私のためだけに頑張ろうと。

頑張ることしかできない私の世代ですから。

出て行け。

自然と言葉になったのも、

白髪が増えた代償と、

砕け散るくらいに苦しんだ日々の積み重ねからのことです。

いつか良い出会いの報告が出来ることを祈っててください。

今、私は人生で最大の怒りを2つ抱えています。

手術が必要だったと云うことです。