月別アーカイブ: 2017年1月

科学

自然科学の発達は、

工学の進歩に随分と助けられている、

嫌、

工学の進歩に依存しているような気がします。

ただ残念なのは、

自然界の真理に至る道を通らずに、

より細かく、

より鮮明にと、

テクノロジーの助けによって、

物事を細切れに観ているだけのような気がします。

それはそれで、

病気の治療や予防に

少しばかり役立っているのですから、

良いことなのでしょうが。

眼で観察していた時代の

解剖学、組織学などは、

DNA,RNAの世界まで細切れにされたら

立場を失いかねませんが、

実際は、

解剖学、組織学の習得は、

患者さんの診察には必須です。

街乗りにスーパーカーの馬力は不要です。

安全性と経済性、収容力が大切ですが、

そればかりですと、

車好きの私からしてみればツマラナイ、

エコカーのようになってしまいます。

車は五感を震わせられるセクシーさが大切だと、

私は思っているからです。

何事においても、

バランスが大切かと。

私が患者さんに説明する際には、

学生さんに歯学を語る機会には、

若い歯科医師の先生方に伝える際には、

階段から降りて、

聞き学問や、

読み学問ではなく、

実体験に基づいた詳細を、

感性からの言葉で、

話しをするように心がけています。

私は科学に生きる人間ですが、

それよりも、

人で在りたいと、

其処は譲れない肝心処です。

ですから、

科学を語る際には、

プライドなど微塵もありません。

 

ごく普通のことに

寝つけなかったので夜中にテレビのスイッチを入れました。

髭面のアルパチーノが視界に入りました。

カリートへの道でしたっけ?

アルパチーノの映画は全部観ています。

筋もあらかた覚えているのですが、

この映画は私の好きなベスト5には入っておらず、

何度も何度もは観ていませんでした。

ですから映画の展開に

あぁ、そうだったなと、

頷きながら観ていました。

やはり名優だと思います。

上手い役者だと。

決してハンサムではありませんが、

良い顔をしているなと。

寝つけないなど、

若い時分には考えられませんでした。

革の鞄の指先が触れる部分は、

指の皮脂で変質する程に、

湿った若い指先を持っていた私ですが、

近年、指先のひび割れに苦心するようになりました。

ハンドクリームは離せません。

この頃は、

ごく普通のことに、

感動したり、

感謝するようになりました。

古くからの患者から、しばしば言われます。

先生は、まーるくなったと。

私自身は、その点は全く自覚ありません。

歯の病気を前に、

闘志満々は全く変わりませんし、

治療最中の集中力は、

今の方が鋭いと思っていますので。

ただ1つ自覚できるのは、

何につけ、

ありがたい、ありがたいと、

掌を合わす自分がいます。

朝のお日様に掌を合わし、

窓からのお月様を仰いで掌の合わすのが常となりました。

飛行機の窓から富士のお山が見えた時などは、

周囲も気にせず掌を合わす私。

もう!格好悪いから止めて!パパ!

と、注意されるのです。

歯の仕事を通して、

多くのことを学ばせて頂きました。

商人の跡継ぎ一人息子であった私が、

歯の仕事に就く機会に恵まれましたことを

神様と仏様に感謝しています。

全く私の生まれた世界とは違う処ですから。

私の拙いこのブログは、

とても大勢の方が読んで下さっていると聞いています。

ですから、

患者さんの合間合間で、

細切れで綴っています。

人は誰かの役にたっているときに

力を発揮すると聞いたことがありました。

私が歯の仕事で力を発揮できるように、

私は見えない方々へ、

こうして徒然なるままに、

前後意味不明な文を綴りながら、

恥をかいているのです。

今日も私の決めた数だけの患者さんを

診察できていますことに、

ありがとうと。

限界を自覚すること

私は何につけ【限界】を設けています。

例えば総入れ歯の患者さん。

手持ち患者さんを5人と決めています。

総入れ歯造りは、とても繊細な作業です。

合わないと患者さんは拒否権を発動します。

痛い。

噛み辛い。

すぐ外れる。

窮屈。

皺が目だつ。

等々。

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セメントでくっつけるクラウンやインプラントみたいな様にはいきません。

とても緊張感溢れる治療、

それが総入れ歯造りです。

ですから、

お一人終了してから、

お待ち頂いている患者さんにお電話します。

大変お待たせして申し訳ありませんでした。

どうぞご準備が出来ましたのでお越し下さい。

根管治療は1日にお一人です。

これも治療の最中に疲労が蓄積しますので。

眼も、

指先も

神経も磨り減ります。

根管治療の次の患者さんはメンテナンスの患者さんを。

そんな感じで、

1日の患者さんの予約に、

メリハリをつけています。

1日の患者さんの数は、

7人から8人までです。

私の限界、

器材の滅菌の限界から、

私はそのように決めています。

一生懸命励んでも、

全ての症例が合格の連続という訳ではありません。

難しい症例。

身体が上手く反応してくれない症例も在ります。

その分、私はとても苦しみます。

苦しみを味わうのも私の仕事です。

手当ての甲斐もなく苦しむのも、

私の仕事です。

歯の番人ですから。

魂を注入

長いことお待たせしました。

総入れ歯、出来ましたよ。

と、70代後半の女性患者さんに申し上げました処、

私の掌の上の出来立ての総入れ歯を手に取り、

即座に口の中へと入れるその方へ、

慌てて、

まだダメですよ!

調整しないとシッカリとは噛めません!

と、制止する私。

DSC_0355

へぇ~!そうなんですか!

と、不思議がるその方。

ほんの微調整ですが、

何回か口の中と私の掌を往復した総入れ歯に、

最後に、

ググッ!と、

気合いをいれて一瞬!

他人目には

チョコッとだけに見えるでしょう、

一削除。

この時、

総入れ歯の中に、

私は魂を注入します。

で、

総入れ歯は患者さんの口の中へ。

どうですか?

痛くないですか?

眼の玉を上向きにしながら思案顔で

ゴソゴソ試し噛みする患者さん。

出た~!

亀田製菓の柿の種。

召し上がってみて下さい。

良いんですか?

ピーナッツなんか良いでしょうか?

私はニコニコして頷くだけです。

合格のようです。

また出た~!

新潟瑞花の煎餅。

本当に?

バリッバリッバリッ!

今日は此処までにしておきましょう。

では1週後にお越し下さいね。

会釈し患者さんを後にする私を呼び止めるその方が、

先生はお酒はお召し上がりになられる?

と。

酒は嗜む程度ですが。

私へのご配慮は無用です。

その代わりと言っちゃなんですが、

どうか大切に入れ歯をお使い下さい。

 

青汁

自宅の玄関戸を開けると、

一面が白い世界へと変貌していました。

先週末の夜更けのことです。

越後で暮らした私にしてみれば、

雪景色をそれほど珍しく感じることはありません。

しかし、

ここは青い国.四国。

目に見えるモノを半分は先入観でとらえていることを

思い知らされた良い経験でした。

都はるみの唄の台詞ではありませんが、

寒さ堪えて、

健康管理に気をつけることを日々実感する今日この頃です。

最近私は【青汁】を飲用しています。

今回だけは本当に珍しく続いています。

それは本当に決めたからだと思います。

私は時代劇専門チャンネルしか視ないと言えるほどに、

時代劇が好きです。

これは別に私が年寄りだからではありません。

幼い頃から、そうでしたから。

でも、

やはりこのチャンネルの視聴者層が年配なことが判ります。

何故ならCMの大半が【健康食品】関係ばかりですから。

昔は、視ながしていました。

私には関係ないと。

それが、

少し前でしょうか。

昔懐かしいタレントさんが、

あぁ良い年の経り方してるなって、

イキイキと、

画面いっぱいの笑みで唄を歌ってました。

その後、

いつものパターンで、

大病を患い、

ご苦労され、

努力を重ねての現場復帰へと戦う毎日。

そんな○○さんに欠かせなかったのが【青汁】。

このパターンのCMが、

タレントさんを変えて、

毎日、毎日、視ていたら

やっぱり心に焼き付くんでしょうね。

トドメは元読売ジャイアンツの張本勲選手。

【スポーツ選手ですからヤると決めたらヤリ続けます!】

私みたいな人間が居るから、

コマーシャルが成り立つんでしょうね。

フリーダイアルで注文する私がいました。

調子はどうですかって?

そんなモン判りません。

健康食品って、そんなモンでしょう?

悪くならないように用心してるってだけでしょう。

でも、

飲み干した後の安心感は在りますね。

なんか身体じゅうに多くの栄養豊富な野菜成分が

行き渡ってるような感じがするんです。

単純なんですよ、私は。

青汁の袋の封を切る時に、

張本勲選手が腕をワンワンと振り回す姿が

自分と重なるんです。

よし!

てな感じですね。

つまらない話し

今日は一段と寒さが厳しいような気がします。

こんな日は、

早く帰宅してストーブの前から離れないで居ようと。

あぁ、その前に、

ガソリンスタンドで灯油を容れておかなきゃ!

そんな平凡な生活を過ごしています。

ストーブの前で、

歯の彫刻の続きをしたり、

マリリンと相撲を捕ったり、

読書したり。

私はインドア派の代表格を自認しています。

作家の遠藤周作氏が大学の受験問題となった自身の小説で、

作者の心情を的確に現すのはどれ?

という4択に挑み、

全ての項目が当てはまるのに当惑し、

人の心情とは明確化できるほど

単純ではないという話しを

何かで面白く読んだことが在ります。

歯科における【診断】も同じようなもので、

内科における診断とは多少意味合いが違うとも

これまた何かの書籍で観たのです。

血液検査などでの異常値に対する対応と、

歯科疾患に対する対応は全く異なります。

歯科医学とは理系ではないような感触を

私は持っています。

インドア派の話しから、

どうしてそんな話しに跳ぶんだ?と言うと、

歯医者仕事って云うモノは

仕込みが肝要であるから、

外をほっつき歩く暇が在れば、

家で勉強せぃ!という落ちに持って行きたかったという

つまらない話しです。

 

歯科保存学の重要性

前 日本歯科大学 保存学 教授である加藤嘉郎先生は、

退官記念講義の最後を次の台詞で締めくくりました。

【歯科保存学は歯学の王道である】

昨日、新患でお越しになられた患者さんは、

とても不思議な状況下での、

新たな出会いでありました。

と言うのは、

現在、他の歯科医院において根管治療中であること。

次回、根管充填のあとファイバーポストの処置を受ける予定であること。

それならば、

何故、私に?

私は現状の治療の良否は行う評論家ではありません。

困ってしまいました。

一応、1枚だけレントゲンを撮影させて頂き、

ジーとフィルムを観察。

現状を正直に説明することが出来にくい場合も多いのです。

本当に、

こういう時は困ってしまいます。

レントゲンだけでは不明な処もありますから、

直に直接、

歯を診てみましょうと。

で、

ラバーダム防湿して、

マイクロスコープを使う以前に、

歯の中は虫歯で軟化した感染歯質の宝庫でした。

歯が折れない方法を考えることと、

本当にこの歯は残るの?

という状況。

根管を触る以前の状況でした。

なんて説明すれば?

戸惑う私が愚かであったことを

その後に判らされたのです。

患者さんは仰られました。

次から先生にお願いできますか?

クラウン、ブリッジ、インプラント、審美、部分義歯、

機能回復の方法は沢山ありますが、

その前に、

絶対に避けては通れない処置が在ります。

地味で、地道な手順ではありますが、

保存治療なくして、

次の治療段階へ進むと、

治療が却って身体を傷める手段に変貌します。

根管治療においてラバーダムなくして、

無菌的な治療は出来ません。

歯周病のコントロールなくして、

機能回復など無駄な砂上の楼閣でしかありません。

多くの説明の言葉より、

実際の手当てに勝るモノはないと、

この時、つくづくと感じたのです。

しかし、

虫歯も見分けのつかないベテラン歯科医師が居ようとは、

私は、この点だけは納得いきませんでした。

虫歯検知液を使う以前の状況で、

この目を疑うばかりでした。

歯科医師からの説明は殆んど無かったようです。

だから、

無資格、にわか知識の歯科コンシェルジュ?って業種に

私は批判的なのです。

本当に考えさせられること多い1日でした。

許す心

特定の人に何度も裏切られた経験が在ります。

その時、

全身の筋肉は硬直するほどにまで固まるのです。

悔しさからでしょうか?

怒りからでしょうか?

そのあと急激な無力感を味わい、

ポロポロと涙を流すのです。

その時は家人の支えで、

頭を垂れた私でも、

ポツポツと足を前に一歩出して、

再び歩き始めたのです。

そんなことが、

私には幼少期から在りました。

私が家族にでさえも、

幼い頃から少年期の話をしないのは、

言いたくないという気持ちが強いからだと判っています。

そんな相手でさえも

数年経って、

助けを求めて来られた時には、

私は黙って受け入れてきました。

当時のことは鮮明に覚えています。

それでも私は黙って受け入れてきました。

皆は私に呆れ、怒り、やってられないと。

私の我慢処の勝負処は、

自分の夢や目標実現のために

直向きな辛抱、忍耐、奮発する処であって、

人を恨むことではありません。

私と親しい関係の人ほど、

そんな私を怒ります。

私は阿呆なんだと思います。

私自身が大勢の方に迷惑もいっぱい懸けました。

その反面、大勢の方に助けて頂いて、

今日に至っています。

穴が在れば入って隠れたい経験も沢山です。

ですから、

私は人を信じていたいと思います。

そして信じることの第1歩が許す心だと思います。

心でどんなに泣いていても、

満面の笑みで、

私は患者さんを迎える気持ちでいますし、

1歩外へ出ても、

身体こそ小柄な私ですが、

優しい空気のような人で在りたいと思います。

私の気持ち

私は患者さんの歯の病気や悩みを治す仕事をしていますから、

いつも優しい心で、

笑みを絶やさず、

穏やかな人で居たいと思います。

決して怒らず、

決して焦らず、

患者さんの病気だけではなく、

患者さんを包み込む心で居たいと思います。

もう若者のような体力はありません。

でも、

歯への情熱、

歯への思いは、

若い時代と変わりません。

人生の中での様々なつまずきを経験して、

もがき、

苦しみ、

泣いて、

悩んで、

反省して、

今の私が在ります。

私には未々、未熟で足りない欠点が在ります。

その欠点から目を反らす気持ちはありません。

真摯に欠点と向かい合い、

上へ上へと、

登って行きたいと思います。

歯科臨床は、

嫌でも自分と向き合う性質を持った仕事です。

新しい年を迎える度に、

私は歯の仕事に就けた喜びと、

続けてこられたことに感謝しています。

私の診療所

今年も新しい患者さんとの出会いに恵まれています。

初めて診療所へお越しになられる患者さん、

皆さんが、歯医者らしくない診療所のたたずまいに

緊張されて居られるのが伝わります。

診療所は私の仕事の【舞台】です。

治療しやすい環境、

衛生面での配慮、

プライバシー重視の配慮、

患者さんの全身状態から心理面への配慮、

そして、

私の好み、

これが私の診療所です。

緊張されておられた方も、

お帰りになられる時には笑顔で、

それで、

私は安心するのです。