月別アーカイブ: 2013年9月

幸先の良い1日

 冷凍庫の中を
彼是覗いていたら、
既に食いつくしてしまったと
思い込んでいた
或ものが
顔を出した。

 新潟の塩引き鮭である。

 当地、讃岐では
塩鮭と云えば
誰しも北海道と
迷わず思い浮かぶであろう。

 私のなかでは
鮭は断然、新潟の村上産である。

 鮭漁が解禁となる11月末を
毎年待ちわびる私である。

 師走に入ると
本町市場の石山魚店を訪れ、
1年分の鮭を買い込むのを
恒例行事とするが、
余りにも旨いので
歳の半ばともなれば
既に食いつくしてしまう。

 其れならば、
今年は昨年の倍量を
購入しようと
手当てをすれば、
安心感から
ついつい食べ過ぎてしまい
やはり、
歳の半ばには
底をついてしまうのが
恒となってしまった。

 かように越後の鮭は旨い。
底をつくまで
毎朝、私はひたすら鮭を食す。

 幸せな心持ちで
鮭を食べつつ
テレビを点けていたら、
朝のワイドショーで
森高千里が
唄っていた。

 味覚善し、視覚佳しの
幸先の良い1日を予感した。

束の間の幸せ

 大阪からの患者さんの手術が
思いの外、早く終わったので
外へ出掛けて気分転換を。

 と云っても
何時もの裏の漫画喫茶へではあるが。

 朝早くから論文調の読み物に
接していたので、
こういう時の
漫画は格別である。

 昼間から
この様な真似をして
幸せな心持ちとなった。

 安上がりな幸せである。

即時加重インプラントの術後について

 私はブローネマルク学派の人間である。
従って、骨に埋入したインプラントに対しては、
下顎で約3ヶ月、
上顎で約6ヶ月の間は
安静にする為に
負荷はかけない。

 最近流行りの様々なインプラントは
メーカー曰く、
骨との結合期間が短縮されている相である。

 が、幾ら速く
骨とクッツイたとしても
インプラント周辺の骨が
確りと成長していなければ
間抜けな転帰を迎えるであろう。

 骨は太古の昔より同じである。
メーカーや患者さんの、
そして何より
患者さんに迎合するを旨とする
阿呆な歯科医の
都合に合わせてはくれぬ。

 が、保守的?な私でさえも
1年に数症例程は
インプラントに即時加重を
加える時がある。

 但し、
下顎のが全く無い症例で、
オトガイ孔の間に5本のインプラントを
埋め込む場合である。

 私が即時負荷を加えるのは
ただ此のようなシチュエーションのみである。

 術後は積極的に
何でも食べて頂いている。

 流動食等の食事制限は無用である。
咀嚼圧は案外と大きく無いもの。
我々が、注意せねば成らぬのは
特に、
睡眠中の噛み締め時の圧力である。

 此方に対する配慮は必要であるが、
術者たる者、
即時負荷のインプラントを行えると診断したならば、
食事を流動食にせよとは
大笑いの阿呆の卑怯者であろう。

 埋め込まれたインプラントに対して
機能的圧力が加わると
骨がどの様な挙動を示すのか
解っているなら、
ビビる事はない。
 自身の技量の自信の無さが
その様な消極的行動につながるなら、
患者さんが気の毒であろう。

 理屈は結構。
歯医者は、
最後は腕で勝負である。

包括的医療

 医師である友人の奥方からの電話であった。

 普段は大層穏やかとお見受けの
奥方であるのだが、
この時の憤りは
圧倒されるものがあった。

 此の友人は
闘病の最中にある。
近くであれば、
見舞いがてらに
頻繁に顔を
見に行きたいのだが。

 友人は、
逸れでも未だ、
外来の患者さんの診察は
続けている。

 臨床家の鑑である。

 奥方の怒りの原因は
夫の通院している病院であった。

 病院のスタッフから
出入り業者へと、
夫の病状が漏れたようである。

 其れでは
此の奥方の怒りは
当たり前の話である。

 一応、
先方の病院を訴えると息巻く奥方を
なだめておいたのだが、
無駄かもしれぬ。

 私も同じような経験を持つ。
私が紹介した医療機関のスタッフが
患者さんの情報を漏らし、
紹介者である私の体面は
大きく傷つけられたのである。

 此れは医師の能力とは
無縁のものであるが、
スタッフを医師の手足と考えるならば、
やはり、
口の軽いスタッフの勤務する
医療機関とは
縁を切らねば成らぬ羽目となる。

 技量とは
プライバシーをも含めての
包括的なものである。

チップス

 とりたてて珈琲好きと云う訳ではなかったが、
毎日、数杯の珈琲の薫りが
私の緊張感を癒してくれていた。

 思うところ在って
珈琲を止めた。

 禁断症状はなかったが、
紅茶の味わいが
判るに至っていないのが
残念である。

 私は何事にも
コダワル質である。

 アルコールは強い口ではないが、
コダワリは持っている。
ジントニック、ジャックダニエル
そして、
新潟の酒しか呑まぬ。

 甘いものも好む。
そう言えば、
昔、新潟の万代に
私好みの珈琲とチョコレートケーキを出す
喫茶店が在った。

 此の店の隣のイタリアンレストランから
家人の店の名を頂いた。
キッズ.プティの名の由縁である。

 退屈しのぎに
此の喫茶店の名をインターネットで
検索したら、
在った!

 かほどに私はアナログ人間である。

 此の喫茶店は、
私の自宅の近所に移転して
今でも営業していた。

 何故だか安堵した。

 チップスと云う店である。

東京はオリンピック開催決定の報に

 東京はオリンピック開催決定の報に
祝賀の雰囲気で盛り上がっているが、
私の様な運動音痴には
もうひとつ
ピンと来ないのが
本音の処である。

 お祝い処では無い
様々な問題の解決の方が
先なのではと、
元来、根の暗い私の様なひねくれ者は
其のように思っているのではないか。

 とは言え、
此の2ヶ月位は
学会に追われる身である。

 世捨て人の様な生活を
強いられるので、
世状など気にしていられない位に
慌ただしい日に
受験生の頃が
嫌でも
思い出され、
胸を痛める私である。

気の早い私

 気が付けば早いもので
今年も2/3程、消化してしまった。

 毎年、年頭に
その年の抱負を決めて
必ず実現してきた私であったが、
此のところは、
体力の低下の為か、
はたまた、
倅や娘達も大きくなり
此方のコントロールが
効かなくなったためなのか、
まま成らぬ事が多い私である。

 気の早い私は
心はもう既に、
正月休みの予定で
一杯である。

 私は越後の正月の雰囲気を
愛する者である。

 彼の国には
未だ昭和の趣が残っているからだ。

 年末の慌ただしい雰囲気のなか、
本町市場で、
年越しの準備を済ませて、
越後蕎麦で
小腹を慰め、
映画館へでも出掛けて、
粉雪が暗夜を舞うなか
コートの襟を立てながら
鮨屋でコップ酒を片手に
紅白に耳を傾けよう。

 遠くで響く
除夜の鐘の音と供に
通りへと、
護国神社の篝火で
新年を迎える
此のところ変わらぬ
年末年頭の
有り様が
矢張、
一番無難な過ごしようで在ると
思うに至った私である。

マリリンの小物

 此の数年来、
自分のものは殆ど買う意欲が
消え失せていた私である。

 若い時分の放蕩が、
自分の器と云うものを
知らず知らずの内に
知らしめて呉れたのかもしれぬ。

 昨日、診療所へと
代金引換の或品が届いた。

 マリリンのリードである。
群馬県のトアル乗馬製品を製作している
工房へ注文した革製のリードである。

 又、他にも彼是
マリリンの首輪やら色々、
目につく様になった。

 自分を正当化する訳ではない。
しかしながら、
私の周りに居る
いい歳こいて
若いおねえちゃんに貢いでいる奴よりは
よっぽどマシだと、
通信販売のカタログを
又、請求した私である。

私の診療所が外注歯科技工である理由

 私の診療所に於いては、
歯科技工物は全て外注である。 

 其のために
毎日、宅配業者が出入りする。

 外注先は、
県外と海外、即ちスイスである。

 開業してから、
ずっと院内に歯科技工士を雇用していたが、
結局の処、
カリスマ技工士に
仕事を任せた方が
結果オーライであった。

 有名に成るには
其れなりの理由がある訳である。

 カメラ画像と、メールでの
やり取りの方が、
直に患者さんの口の中を見せて
説明した近くの技工士よりも
良い仕事をする事に
当初は、
憤りを感じたものである。

 が、出来ない技術屋に
腹をたてても致し方無いので、
今は穏やかな気持ちで
仕事をするために
確かに不便ではあるが
外注となった。

 良い歯科技工士は
矢張、頭も良い。

 何故此のような良い高校を
卒業しながら?と
不思議になるくらい
学歴も申し分無いのだが、
気の毒な事に
馬鹿な歯科医の下で仕事をされている。

 勉強、其れも
歯科の商業誌や耳学問では無く
きっちりと論文を
熟読されている。

 此のような良い歯科技工士と
一緒に仕事が出来る機会は
誠に幸運である。

歯科に於けるCAD/CAMの現状

 何事もトラディショナルを旨とすべしが
信条の私である。
 
 歯科治療に於いても
従来型の鋳造修復を
普遍的と確信している。

 しかしながら時代は
私の意とは別の方向へと
走りだし、
確実にCADの道を辿るであろう。

 いっぱしの歯科医や
歯科技工士に成るには
苦労を味わう
辛苦の修行時代を
経なければならぬ。

 3Kと云われる歯科の業界に
入ってくる若者は
確実に減少するだろう。

 又、近頃の金属の価格の
上昇には、ほとほとまいってしまう。

 かような訳で、
時代はCADを求めているのだ。

 某メーカーのCADの開発の
手助けの最中の
私の診療所である。

 私見だが、
香川県の歯科技工士の
トップレベルを凌ぐ位までは
こぎ着けた。

 が、日本のトッププロの仕事は
未々、道遠しである。

 歯科技工に於ける
CAD/CAM臨床は国策である。

 今はカタログだけ眺めて、
数年後の完成まで
待つが良かろう。