日別アーカイブ: 2013年9月6日

私の診療所が外注歯科技工である理由

 私の診療所に於いては、
歯科技工物は全て外注である。 

 其のために
毎日、宅配業者が出入りする。

 外注先は、
県外と海外、即ちスイスである。

 開業してから、
ずっと院内に歯科技工士を雇用していたが、
結局の処、
カリスマ技工士に
仕事を任せた方が
結果オーライであった。

 有名に成るには
其れなりの理由がある訳である。

 カメラ画像と、メールでの
やり取りの方が、
直に患者さんの口の中を見せて
説明した近くの技工士よりも
良い仕事をする事に
当初は、
憤りを感じたものである。

 が、出来ない技術屋に
腹をたてても致し方無いので、
今は穏やかな気持ちで
仕事をするために
確かに不便ではあるが
外注となった。

 良い歯科技工士は
矢張、頭も良い。

 何故此のような良い高校を
卒業しながら?と
不思議になるくらい
学歴も申し分無いのだが、
気の毒な事に
馬鹿な歯科医の下で仕事をされている。

 勉強、其れも
歯科の商業誌や耳学問では無く
きっちりと論文を
熟読されている。

 此のような良い歯科技工士と
一緒に仕事が出来る機会は
誠に幸運である。

歯科に於けるCAD/CAMの現状

 何事もトラディショナルを旨とすべしが
信条の私である。
 
 歯科治療に於いても
従来型の鋳造修復を
普遍的と確信している。

 しかしながら時代は
私の意とは別の方向へと
走りだし、
確実にCADの道を辿るであろう。

 いっぱしの歯科医や
歯科技工士に成るには
苦労を味わう
辛苦の修行時代を
経なければならぬ。

 3Kと云われる歯科の業界に
入ってくる若者は
確実に減少するだろう。

 又、近頃の金属の価格の
上昇には、ほとほとまいってしまう。

 かような訳で、
時代はCADを求めているのだ。

 某メーカーのCADの開発の
手助けの最中の
私の診療所である。

 私見だが、
香川県の歯科技工士の
トップレベルを凌ぐ位までは
こぎ着けた。

 が、日本のトッププロの仕事は
未々、道遠しである。

 歯科技工に於ける
CAD/CAM臨床は国策である。

 今はカタログだけ眺めて、
数年後の完成まで
待つが良かろう。

歯科保存学

 私の専門は歯科保存学である。

 私の行う歯科治療は、
全てが歯科保存学が根幹となっている。

 今は全盛のインプラント治療である。
骨結合タイプのインプラント治療は
ブローネマルク.システムインプラントが
代表であり、
現在に於いては
ストローマン.インプラント、
アストラテック.インプラントが
北米、欧州のシェアを占める。

 私の講演活動を鑑み、
私のインプラント治療に対して
正面切って
理屈を述べる歯科医は
四国には居ないと自負する者である。

 ノーベル.バイオケア社が
ノーベル.ファルマ社と名乗っていた時代から
私はインプラント治療の講演活動を行ってきた。

 当時はブローネマルク博士の理念に
裏打ちされた良き時代でもあった。

 スウェーデンの
イエテボリ大学とブローネマルク.クリニックに於ける
インプラント治療の中心が、
アストラ.テック.インプラントに重きを置いたに伴い、
私の臨床と講演活動は、
アストラテック.インプラントへと
代わっていった。

 インプラント治療は、外科治療ではない。
確かに、インプラントを埋入するには
外科処置は必要ではあるが。

 最も大切な事は
基本理念である。

 私のインプラント治療の成績は
歯科保存学に裏打ちされたものである。

 何が尊い、大切な勘所であるのか
歯科医も、
治療を受ける患者さんも
再考する時であろう。

インプラント治療再考

 私は既に初老である。
 
 インプラントの臨床を始めて、
既に四半世紀が過ぎ去った。

 オッセオインテグレーション.インプラントの
夜明けの時代であった。

 当時はノーベルファルマ社と云う社名であった
現在のノーベルバイオケア社は、
いよいよ我が国に於いても
本格的にインプラント治療を普及すべく
のり出した時代であった。

 机上だけの講習会では
なかなか、インプラントの勘所が
歯科医師の先生方には
伝わりにくいと云う事であったと認識している。

 実際の患者さんの協力を得た形の
実践トレーニング.コースが開始された。

 本邦に於いて初めての此の企画は
ステップ.バイ.ステップ.コースと
名付けられた。

 担当は、
東京が寺西邦彦先生、
大阪が伊藤雄策先生である。

 翌年から、私も担当となり、
主に地方都市から
オッセオインテグレーション.インプラントの普及活動を
開始した。

 私共は供に、
ブローネマルク博士の精神を守る医療の学徒である。

 人という生体組織を貴としむ者である。

 昨今のインプラント治療の現状を憂いている。

 私はインプラント治療に於いては
純チタン製のインプラントしか用いない。

 最近流行りの
チタン合金のインプラントは使用しない。

 確かに合金は、機的物性に於いて優れた数値を有している。
が、細胞毒性がある事を忘れてはならぬ。

 生体の中に埋め込んでしまう異物である。

 若い歯科医は、
もう一度、
ブローネマルク博士とアルブレックソン博士の
研究論文を熟読されるがよかろう。