日別アーカイブ: 2013年9月12日

インプラント専門医?

 我が国に於いては勿論の事ながら、
歯科先進国であるアメリカ合衆国に於いても
公的に【インプラント専門医】と云う者は
存在しない。

 アメリカ合衆国に於いては
インプラント治療は
一般歯科医は当然の事ながら
専門医では
歯周病専門医と
口腔外科専門医が
其の治療を行う。

 一般歯科医のインプラント治療と
専門医のインプラント治療の何が違うのかと云うと
一般歯科医は手術から歯を入れる処までの
全ての行程を行う。

 対して専門医はと云うと、
歯周病専門医や口腔外科専門医は
手術のみを担当する。
歯を入れるのは補錣専門医である。

別に一般歯科医が歯を入れても良いが
高額な治療費用が必要な
専門医の治療を受ける事の出来る患者さんは
殆どが補錣専門医の方を選択する。

 アメリカ合衆国に於いて、
一般歯科医と専門医の違いは
明白である。

 専門医は学問的知識と技量が
一般歯科医と比較して
断然、優れている。
試験も免許も
一般歯科医とは別物である。
但し、
治療費用も一般歯科医とは
比較にならない位に
高額である。

 アメリカ合衆国の人間は
此の辺りを充分に認識しているので、
自身の経済と責任で
通う歯科医を選択する。

 我が国に於いては
公的な専門医は存在しない。
学会の認定する処の認定医である。
此れは、国家資格でもなし、
技術的スキルは
全く関係しない。

 我が国に於ける
インプラント治療の導入者なり
功績者の大半は
欧米から其の技術を学んだ為に
日本の学会ではなく
海外の学会に所属しているのが
現状である。

 インプラント治療専門医と云う制度が
公的な国家資格として無い以上、
其れを語るは
まやかしである。

 又、インプラント治療を
得意なり専門としていると
唱う診療所であるならば、
其の診療所の仕事の殆どを
インプラント治療に
関わっていなければ
此も、
まやかしである。

 私の知る限り、
その様な診療所は
指で数える位である。
又、その様な歯科医は
日本全国、
昔からの顔馴染みである。

五感

 私は医師の能力に於いて
一番大切なものは
五感であると
言い切れる。

 CT画像の3D化等の
医療検査機器の発達により
昔より便利になった事実は
此の私でさえも
充分に認識しているし、
事実、
私もその恩恵を
享受している。

 が、機械から表示される
データーは
ぼんやりとした概形と位に
認識する方が無難である。
データーは単にデーターでしかなく
データー以外の
何物も存在しない。

 人体は神秘に満ちた
生き物であり、
其の個体差は大きい。
そして、
何よりも尊いものである。

 日常、この人体に関わる
医師たる者、
日頃からデーター以外の
行間が読み量れる様に
患者さんと相対する
臨床を、
獣の鋭い眼でもって望み、
自身の感性に
或感覚を宿さねばならぬ。

 この感覚こそが
医師の能力である。

私の診療所の近況

 私の診療所で使用しているインプラントは
スウェーデンのアストラと、
スイスのストローマン.インプラントである。

 これ等を使用したインプラント.ワークは
私なりには確立出来ている。

 最近、若い歯科医との交流が増えた。
若さとは尊いものである。
又、彼等のエネルギーを
恨めしく思う時もある。

 若い内に
壁にぶち当たるが良い。
若さとは
未熟であって良いのだと思う。

 が、治療ともなれば
そういう訳にはいかぬ。
何より、患者さんの予後を
確りと佳き状態にするのが
我々の仕事であるからだ。

 私の使用している
インプラント.システムは
複雑な手順を必要とする。
少しの詰めの甘さが
予後に影響するが、
上手く乗りこなせば
万全の成績を保証する。
で、高額である。

 今、私の診療所では
国内の某メーカーと伴に
安価で簡便な手法で
インプラント治療を行えるべく、
研究の最中にある。

 歯科医になってから
ずっと私は
インプラントで食べてきた。

 初老となった今、
安全で安価かつ
複雑な手順を必要としない
インプラント治療の構築により
業界と患者さんへ
恩返しする積もりである。