私は医師の能力に於いて
一番大切なものは
五感であると
言い切れる。
CT画像の3D化等の
医療検査機器の発達により
昔より便利になった事実は
此の私でさえも
充分に認識しているし、
事実、
私もその恩恵を
享受している。
が、機械から表示される
データーは
ぼんやりとした概形と位に
認識する方が無難である。
データーは単にデーターでしかなく
データー以外の
何物も存在しない。
人体は神秘に満ちた
生き物であり、
其の個体差は大きい。
そして、
何よりも尊いものである。
日常、この人体に関わる
医師たる者、
日頃からデーター以外の
行間が読み量れる様に
患者さんと相対する
臨床を、
獣の鋭い眼でもって望み、
自身の感性に
或感覚を宿さねばならぬ。
この感覚こそが
医師の能力である。