日別アーカイブ: 2017年11月29日

奥歯のインプラント修復

この頃、

15年降りくらいに、

奥歯のインプラント修復の一部を

スクリュー固定式に変えています。

特に、

インプラントにての1本だけの単独で修復する症例です。

修復対象歯以外の歯の噛み合い面を見て下さい。

人体の中でも最も硬いエナメル質が摩り減って

歯の外形は損なっています。

よく観ると、

摩り減り方に規則性が在るようです。

所謂、

噛み癖ってヤツですね。

このような患者さんに

セラミックやジルコニアなどの

使用は控えるべきでしょう。

延性のある金属が最適応だと思います。

噛み方は色々です。

咀嚼する時の噛み方。

睡眠時の食いしばりの際の上下の歯の接触の仕方。

全く違います。

金属と云う延性材料の方が

身体に併せてくれることは、

私ら治療サイドからすればありがたいのです。

人工歯のど真ん中に煙突のような孔があるでしょう?

ここに太いスクリューが入り込んで、

インプラント体と人工歯を連結します。

メンテナンスの際には、

スクリューの固定具合を確認するのです。

大きな負荷が人工歯に懸かれば、

スクリューは緩みます。

その際には、

噛み合わせの調整が必要だと云う合図です。

また、

インプラント周囲の歯肉を厳密に清掃したい時には、

人工歯のスクリューを緩めて、

人工歯を外し、

清掃器具を直接インプラント周辺まで

行き綿ら去ることができます。

金属の歯がグレーであるのは、

鋳造しての、

研磨前のそのままの状態だからです。

試適して、

噛み合わせ面の微調整を

これから行って、

最終研磨のあと、

マイクロ粒子のガラスビーズを噴射して、

せっかくの研磨面を曇らせます。

噛み合う面と向き合う歯が接触する部分が、

研磨されて光沢を帯びます。

私が当たって欲しい処だけが光るのは稀です。

顎の骨は大きくたわみます。

当たって欲しくない部分が光る場合って多いんですよ。

そこは大きなストレス箇所ですから、

調整削除します。

時代の先端は、

審美、審美に一辺倒!

でも、

私は安定して経過の方を選びますね。

今こそ大学の存在価値が問われると

究極のところ、

歯科治療の長期成功は

【炎症と力のコントロール】に

尽きることを実感しています。

で、

炎症のコントロールには、

患者さんの全身状態と密接な関係にある唾液との関わり。

力のコントロールには、

個々の歯の並びの連続性を保つこと。

しかしながら、

これらを満たすことは

とてもとても大変な作業です。

全体状態の把握については、

医師の眼を持たねばなりません。

患者さんの健康への関心度合いも

避けては通れません。

健康維持には、

生活の質の向上が必須ですから。

睡眠の質、

食生活、

ストレスとの上手な付き合い方、

色々な要素が絡み合うことを

我々、

患者さんともに、

大きな意識改革が必要です。

力のコントロールにおいても、

生活の質の向上は、

大きな要素になります。

複雑化した社会生活を営まねばならない昨今、

ストレスのない生活などできないでしょう。

ストレスの発散の1手段としての、

睡眠時の【噛み締め・食いしばり】を

私は否定しません。

この自然行為を防止すると、

ストレス発散の手当てを失うからです。

が、

歯の番人たる歯科医師にとっては、

厄介な行為であることは間違いありません。

その矛盾に対する手当てを

その患者さん個人個人に対応することが、

歯科医師の腕の見せ所と思います。

とは言え、

50半ばになった私も、

日々、

難問に直面し四苦八苦しているのが現状です。

歯科大学の使命が、

これらの研究にあると、

私は実感しています。

私の母校である日本歯科大学は、

我が国における最初で最大の歯科大学です。

今こそ、

母校であるからこそ、

それらの問題解決のために

研究者全体が気づいて欲しい、

そのように思います。

超高齢化社会の現実に

市井の歯科開業医である私は、

患者さんに寄り添うことが使命だと、

肝に命じて来ました。

ですから、

流れ作業的な効率的な歯科治療だけは

避けて、

患者さんに入り込む姿勢での歯科治療を行ってきた積もりです。

その結果、

患者さんの置かれた家族環境なり、

精神状況を、

私の診療所で吐き出すことで、

患者さん側は気持ちが楽になられ、

私の側としては、

諸般の事情を鑑み、

口腔の健康維持に努める手当てを模索して来ました。

最近では若い世代の患者さんが大勢いらっしゃいます。

勢いあるエネルギーに満ちた人たちを

羨ましく感じることもあります。

しかしながら、

彼らもいつか歳老いることを

忘れてはなりません。

長い期間の主治医として大勢の患者さんと関わり、

老いることを

肌身に痛いほどに感じています。

親の介護する60代の多いこと。

配偶者の介護に四苦八苦する80代の多いこと。

当然、

介護する側の方も、

若い頃には想像もしなかった

体力の低下、

持病との付き合いであったり戦いに、

過ごし方に工夫を強いられいます。

私は歳をとって老いることが

恐ろしくて、

恐ろしくてならなくなりました。

将来の自分を観るようで、

どうしたモノかと、

秘かに心を悩ませています。

歯科治療を行うに際して、

老いることと共存できる修復する。

それが私の大きな関心事になったのは

自然発生的な事です。

法隆寺や東大寺などの古い建造物は、

人間の寿命を遥かに越えた

長い風雪に堪えて、

今日の私たちに、

その姿を見せてくれます。

若い歯科医師たちに、

【考える修復】と云う言葉を発して来ました。

私自身も、

常に、

どうやって治すのか?

と共に、

どうしてこのような状態になったのか?

なぜ?なぜ?

考えながらの診療生活を過ごして来ました。

しかし、

考えを、

もう一歩、

前へ進める必要があるようです。

老いとの共存できる歯科治療。

超高齢化社会に歯科医学が貢献できる手立てが、

そこに在ることは間違いないでしょう。