月別アーカイブ: 2016年1月

子供心

朝から前歯のダイレクトボンディング修復に夢中で臨んでいました。

こういう時の私は、猿と同じです。

無心で、色を重ね重ね、

無心で、歯を彫刻し、

時の経過も忘れ、物音何一つ聞こえない。

で、院長室に戻り、

昨日の私のブログへの多くの様々なご意見を頂いたのを確認し、

誠にありがとうございますと云う感謝の気持ちと共に、

成る程、成る程と。

本当に色々なご意見がありました。

私の仕事は、仕事の性格上、様々な材質の素材を扱わねばなりません。

それらは、酸アルカリに曝され、大きな咬む力を受け、

熱い冷たいと云う温度変化の中で、

しかも骨、筋肉、靭帯、歯周組織、

で、エナメル質、象牙質、セメント質と云う複合体と、

歯髄循環と云う状況下に、

長期間、共存せねばなりません。

昔、法隆寺の宮大工の棟梁が、

次の何百年か後の修復時の棟梁と競い合う心持ちで

仕事に臨むと云う台詞、

長い風雪に耐え得る素材を探し求めて、

適材適所に用いると云う台詞を、

私は忘れた時はありません。

仕方のない事と思うも、

もっと知恵を絞るとモガクのも、

これは私が決めねばなりません。

但し、

私は歯科医に成りたくて成りたくて、

この門を叩いた以上、

私は、

砂の粒ほどの小さなヒントであっても、

見逃すことは出来ません。

ここには社会貢献と云う考えはなく、

歯をもっと知りたいと云う、

ただただ子供心のような、

決して他人には理解できない私の性格上のモンがあるのだと思います。

 

 

 

歯科に取りつかれて

新年早々に、生命体の不思議な営みの一抹も判っていない未熟さを味わい、

正にノックアウトされ、

ボロボロになって帰宅し、

直ぐに床に就いた私です。

余程、堪えたんだと思います。

12時間以上、爆睡していたようです。

が、スッキリしました。

また、大きな壁に挑もう!と、

振り返れば今までも、その繰り返しでした。

綺麗な仕上がりの治療は、

私は自由自在に器具や材料を操れ、可能であると思っています。

老いていく生命体の中で、

無機的な材質が共存できるヒントが、

昨日の私の目の前にあった症例であり、

これは正に、

神様佛様が、次への課題を呈示して下さったのだと、

挑む気持ちが強くなりました。

本当に、歯科とは難しく、魅力ある世界です。

 

鼻垂れ小僧

若い時分から、ヤッパリ私は成長できていないのを実感するのです。

歯科医としての壁にぶち当たった時に、

相も変わらず、

師匠の内藤正裕先生に泣きつく私です。

こういうスタイルでの診療所は、

この高松市のような田舎街では勿論のこと、

大東京に於いても稀であり、

こういう物好きな変わり者は

私らくらいなものでしょう。

私の診療台のド真ん前には内藤先生の写真を掲げており、

コレが私の良心の指標であります。

この師匠との出会いが正に今日の私の座標であるのは事実ですが、

時たまに、この出会いを後悔することも反面、事実でもあります。

今日の私の悩み、苦悩は、

全て先生は過去に経験済みであるので、

これも私にとってはシャクに障るのも本音で、

何時まで経っても、

私は鼻垂れ小僧の域から逸して居ないと

我ながらナサケナイ心持ちになるのです。

 

私が料理人に憧れる訳

先のブログに認めた通り、

私らの仕事は、

治療の最中から治療終了の時は勿論のこと、

5年、10年、それ以上のズットの間に渡って、

自分自身で否応でも、

結果を突き付けられて思い知るのです。

自身の無力を味わうのです。

料理は食した瞬間に評価が出て、

その時の感動はズット脳裏に刻まれます。

良いも悪しきも、

食した瞬間の評価で決まり、

時系列的な再評価を受けることはありません。

瞬間に全てをかける芸術と言って良いでしょう。

だから私は、料理人に憧れるのです。

あぁ!歯科治療の限界を実感する

治療終了から12年ほどに経過した患者さんを

前回のメンテナンスから凡そ2年半ブリに拝見しました。

一見、見た目には全く変わっていませんし、

ご本人も全く自覚されずにお過ごしのようでした。

上下左右の奥歯には、

私自身の手によってセラミック修復を行いました。

上下の奥歯の噛み合わせは、咬合紙での印記では変化ありません。

が、!!!

前歯と奥歯の間に、微妙な隙間が出来ているのを発見!

人工の歯の摩耗と天然歯の摩耗には微妙な差が在ります。

長い期間の間に少しずつ、

歯と人工歯が磨り減っていくので、

骨が微妙な差を調整してくれるので一見、

何が生じるのか、判りませんが。

精密に造っているから故に

私らの為せる技術の限界が露見します!

辛いですよ。

こういう時に、私は患者さんに対しては正直に現状をお話ししています。

昨年の事です。

凡そ25年ぶりに、当時の上司と再会しました。

海軍士官を彷彿させるスマートなスラッとした上司の背が

丸くなって居られるのに驚きました。

かく云う私の背も、猫背になったと指摘されます。

此れは歯科医の名誉の老化だと強がりましたが、

其れなりに誠実な歯科医人生を過ごすと

確実にノートルダムのせむし男風の風貌に至ります。

私らの仕事は、伝統工芸品を造る仕事ではありません。

生涯、快適な咀嚼を営んで頂くためのお手伝いをさせて頂く仕事です。

セラミックの冠を新しく造り直すことではなく、

老化と調和した調整と、

最小の侵襲で済むように、

持てる知識をフル作動させて、

でも、こういう時にこの仕事の限界を感じるのです。

新春初治療

ドッグシッターの様な休暇を過ごしました。

其れは其れで、心穏やかな数日ではありましたが、

やはり私は、仕事に追いまくられる方が

落ち着けるのかもしれません。

今朝は早めに起床したので、

犬たちの体内時計は未だ睡眠の最中にあったのでしょうか。

神棚、お仏壇のお供えの間にも、

ベッドにて爆睡中の犬たちでした。

スーツに着替える私の所作に、

マリリンは瞬時に出勤モードのスイッチが入ったようです。

何時ものように、車へと駆け走り、

で、今は机の脇にて爆睡しています。

朝一番に、年末に緊急治療した患者さんがお越しになられるのが

私の今年の幕開けです。

大変、難しい症例です。

が、却って

その方が遣り甲斐ある1年であるような

引き締まった心持ちとなり、

いよいよと、

本来の自分に立ち返った気分です。

新春の風 に

普段は1日の大半を、

院長室にて私を待って過ごすマリリンを気の毒に思い、

こんな時くらいは、

思い切り駆け走らせてやりたいと、

ドッグランへと連れて行ったのですが。

新春の風を浴びて、

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私から離れないマリリンでした。

で、私も犬になった気持ちで、

折角なので、

一緒にドッグランを駆け廻る

平和な正月でありました。

長閑なる新年

新年、明けましておめでとうございます。

大晦日から、良く眠っています。

今年の幕開けも【平蔵】

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かくの如く、

ナニモノにも怖じけづかずドッシリと、

我関知せずでと。