月別アーカイブ: 2014年12月

小言

ケーブルテレビのチャンネルを何気に変えたら、
何年かまえの映画が放映されていました。

途中からの視聴でしたので、最初の過程はよく判りませんが、
そういえば以前に、実話として新聞記事で見たことがあるゾ!と、思いだし、
娘と一緒に、アレヤコレヤと好きな事を言い合いながら最後まで観てしまいました。

何処かの小学校の6年生のクラス全員で、校庭でブタを飼育した物語です。

卒業までに、このブタをどうするか?

下の学年に飼育を引き継いで貰うor食肉センターに引き取って貰う。

最後は、娘と一緒に涙する始末!

歳をとったんでしょうか?

最近はヤタラと、テレビを観ながらの野次が口から出るようになりました。

命の重さを考えるキッカケ?食べる食べられる重さ?

私は教育者でないので判りませんが、

クラスの子達が、それぞれ意見を出しあって、最後は多数決する訳です。

想わず、

ー ばか野郎! ー

と、口から。

これは私の考え方であって、大勢は判りませんが。

ブタを食肉センターに引き取って貰うこと、即ち、このブタは殺されると云うことは
この子達は、少なくても判っているわけですよ。
これは単純に、頭のなかで、理屈の上ではです。

私だって、毎日のように、ブタや牛や鳥を食べています。
食べる以上は、この肉がどういう事になって精肉になったのかは判っています。

が、あえて小学6年生の子達に、ワザワザその選択をさせる経験がいるんですかね?

この子達は、子役の演技ですけど、白熱した議論でしたよ!

但し、この教師は、ここまでの選択を強いるのであれば、
食肉にされる過程もキチンと子達に見せてから、多数決を採らせるべきです!

私の理解では、ブタと云うのは、キレイ好きで知能の高い動物であると。

最初から食べるために飼育されているブタには、大変申し訳なさを感じつつありがたいと感謝しつつ、

でも、子供たちと少なくても一緒に過ごしている訳ですよ、このブタは!

喰う可能性があるのなら、飼い慣らせるな!

私は新米歯科医の頃に、毎週決まって、食肉センターへ通っていました。

研究に使う牛やブタの歯や顎の骨を、食肉センターのご厚意にて頂くためです。

湯気が立つばかりの、その塊を、現場から有りがたくいただいて持ち帰る訳です。

生きていく以上、他の動物のお世話にならんとアカンのは判っています。

でも、ワザワザ飼い慣らした自分達のペットみたいなブタを教材にする必要があるンですかね?

それだったら、名前をつけて、可愛がるな!と、想うんですけど。

だいたい私は、こういう時の多数決ってのが嫌いです。

民主主義の決まり文句みたいに言いますが。

ー パパならどうするの? ー

娘に問われて、

ブタの首に縄つけて、引っ張り連れて帰って俺が庭で飼うわぃ!

だいたい、最初に学校でブタを飼育すること自体が間違っとると、
ブツブツ言いながら、

娘に、だから食い物を残すなって!またブツブツ八つ当たりしたのでした。

歯科医のホスピタリティ

朝の一番の患者さんは、入れ歯の歯型採り。

次の患者さんは、死んだ歯の神経を採る治療。

で、昼の休憩に入ります。

? 歯医者にしては患者さんを診る数が少ないのでは?

その様に、お感じになられるかもしれません。

が、これでも私にしてみれば、精一杯です。

歯型を採る行程は、入れ歯造りのメーン.イベントです。

1時間や其処らでは絶対に、シッカリ噛める入れ歯は出来ません!
入れ歯を入れてから、歯茎や骨が痩せる!なんてナサケナイ結果にならない!ように
気合いでもって、歯型を採ると随分と時間がかかるものです。
歯型採り材料を練り合わせて、口の中で固まらせてなんてでは、良い入れ歯は出来ません。
すること沢山あるのですよ。

歯の神経を採る治療においても、ラバーダム防湿を施して、
手作業のみで神経の残骸を隈無くマイクロスコープを視ながらの作業は、
術中は、視界は私の心臓の拍動にあわせて揺れているのです。

よーく歯の中を洗いながら神経の欠片を採っては洗いの繰り返しです。

患者さんの望む結果を出すためには、お一人お一人、手間をかけねばなりません。

患者さんに使う機具の滅菌や、診療台の準備も手間がかかります。

患者さんが終わって機具を片づけて、拭いて新しい機具を置いて、次の患者さんをお通しする!
拭いただけで診療台のバイ菌が居なくなるんですかね?

こういう処は、年々、私の処は研究して進化しています。

絶対的な安定感を提供するのが、私は歯科医としてホスピタリティだと思っています。

噛み合わせ専門の治療なんてあり得ない!

歯科の治療では、

インプラントだろうが入れ歯であろうが、虫歯治療でも、

噛み合わせが最終的なツメとなるのは云うまでもありません。

待ちに待ったマイホーム!

でも、断熱材に手抜きがあったなら?

クロスの下地処理が下手くそであったなら?

配管の接続がキチンと出来ていなければ?

柱と梁の構造に問題があれば?

床が傾斜しているのは大問題!

家の建築に例えると随分と判りやすいでしょう?

歯の治療に於いても、全く同じなのです。

キチンとした噛み合わせを造るには、

基礎となる歯、歯周組織、骨、筋肉等に対して
適切な配慮の基で、キチンとした処置が施されていなければなりません。

噛み合わせの治療とは、歯科の中の色々な専門分野のハーモニーによって
はじめて成し遂げられるモノなのです!

一見キレイに見えても、時間の経過と伴に、グラッと傾くようでは、何の意味もありません!

歯科の治療をする立場の私としては、

虫歯の治療、歯周病の治療、入れ歯の治療、被せ物の治療、インプラント治療‥問わず、
各ステップを丁寧に丁寧にの繰り返しであると思っています。

よくブログを観て下さっているウチの学生諸君へ

患者さんの治療の合間に、あるいは診察が終わってからの寸間の細切れを繋ぎあわせて
ブログを認めています。

頻繁にお越しになられている患者さんでも、気づいていないかもしれません。

私の診療台の横の窓辺には、【戦艦 三笠】のミニチュア.模型を置いています。
倅が小学6年の夏に、横須賀の三笠公園へと連れて行った時に買い求めたものです。

その年に、今の診療所を新築していたのです。

【戦艦 三笠】は、言わずと知れた日本海海戦において、ロシア.バルチック艦隊を撃ち破った
東郷平八郎 連合艦隊司令長官が登座する船です。

患者さんの身体に触れる医師たるモノに必要不可欠なのは、【運の強さ】だと感じています。

紙一重の差で、物事の結果は大きく変わると思っています。

馬鹿げた話をと、笑って下さい。

私は歯科医としての必要な努力、辛抱はヤり通す自信はあります。

が、それだけでは、不安で不安で堪りません!

【運の強い提督】の【運の強い戦艦】にアヤカリタイ!が、その訳です。

刹那の判断に迷った時に私は、チラッと、【戦艦 三笠】を視界に入れているのを感じています。

艦橋に立つ提督の心で、(それでもしばしばフラフラ揺れ動きます)

道具を手に!と、自身に言い聞かせています。

この歳になっても、この有り様ですから、どうぞ、ウチの学生諸君が
不安で不安で堪らないと云うのは当たり前です。

歯科は完璧に遅れている!

昨夜は寝つきが悪くて、遅くまでテレビを観ていました。

と云うよりも、観いってしまった!と云うのが本音です。

フォードのトラックの製造過程を放映していました。

スポーツカーよりもトラックが私は好きなんです。

いつかはフォードのF-150と云うトラックに乗りたいと思っています。

ですから、つい熱が入って観てしまいました。

テレビの画面には、懐かしいミシガンの光景が。

ですが、当時とはうって違って、活気ある街の息吹を感じました。

オートメーション化されたラインの上を、流れるように車が造られる光景は、驚きには値するモノではありません。

私を驚かされたのは、製造にあたる作業員の健康に配慮された様々な工夫です。

作業員は毎日、1日の10時間を、全く同じ作業を繰り返すのだそうです。

作業員が仕事の間、肩から膝の高さまで、全く身体に無理な姿勢や力がかからないように、
床の高さやトラックの台座の高さが変化しながら、ラインは動いていました。

アメ車は雑で、日本車品質には敵わない!は大きな勘違いです。

求める処が、日本人とアメリカ人とでは違いますから。

フォードのトラック品質を日本のメーカーでは絶対に造れないと思います。
見映えもカッコいいじゃないですか。

いずれにしても、全ての局面に於いて、歯科は立ち遅れていると感じました。

どの歯医者が治療しても、同じクオリティで患者さんに満足して頂けるようにと、
工夫する必要を強く感じました。

毎日、無理な姿勢での仕事で、身体の手当てに苦心しています。

フォードのラインのような治療椅子があったら!ともうらやましく思いました。

ちなみにフォードの作業員の座る椅子の名前は【ハッピー.チェア】と云うンだそうです。

ウ~ン!

歳から云えば、私は最も熟した年齢にさしかかった、云わば脂ののった臨床医なのでしょう。

ですが、私の自分の仕事の出来に満足していません。
もっと平たく云えば、まだまだ未熟モノと毎日を反省しながら過ごしています。

いったい何時になったら、自分で満足できる治療ができるのだろうと、日々を苦しんでいます。

30にさしかかる頃に、カリフォルニアで開業されていた歯周病専門医であるポール.ソケット先生の鮮やかな手術の数々に接しました。
20年以上経った今でも、先生を凌ぐ手術を観たことはありません。

同じ頃、テキサスのメローニック先生のインプラント手術も素晴らしい芸術でした。

何年か前のニューヨーク大学のターナー先生のインプラント手術も、とてもイイ仕事をされておられましたが、
やはりソケット先生やメローニック先生の手術を凌駕できる歯科医を観たことはありません。

若い時代に、素晴らしい芸術的な仕事に接する機会を得ることは大切である、と云う話をよく耳にします。

本当でしょうか?

却って、苦しむのでは?と、実感しています。

下手くそとしか、何処から観ても、それ以外の表現を見いだせない症例を
多くホームページで観る機会があります。

そのような歯科医を、とてもウラヤマシイと思います。

口の中の環境は、とても苛酷です。

唾液で常に湿っています。

多くの微生物が住み着いています。

酸、アルカリ性と云う正反対の状況変化に対応しなければなりません。

熱い、冷たいに晒されます。

噛む強い力を多方向から受けます。

顎の骨の形は、口の開け方によって微妙に変形します。

まだまだキリがありません。

その口の中で、何十年もの間、十分に耐える仕事の成果を確実に出さねばなりません。

歯科医の仕事は、キツい仕事です。

変な仕事に惚れた私は、阿呆とも言えるでしょう。

【歯の定期的なクリーニング】に対する私の考え

毎日、ご自身で行う歯磨きで、すべての歯の汚れを採ることは出来ません。

といって、定期的に歯科医院で歯の手入れをしているのに歯が櫛の歯が抜けるが如く、
次々と無くなって!と嘆かれておられませんか?

下手くそな歯の掃除では、かえって歯に傷がつく!
と、私は思っています。

下手くそなゴルフのショットでは、芝生が泣いている!のと同じです。

私達の世界も、ゴルフや野球の世界も同じです。

ゴルフ大学、野球大学があったとして、国家試験があったとしても、
それは最低条件を満たしただけと同じですよ。

私の患者さんでも、大勢居られますよ!

下手な歯科衛生士の掃除よりも、ズット、ズット、ブラッシングの上手な方々が。

だからこそ、歯科衛生士の技量がより大事なんです!

私のスタッフの宮田君はスゴいですよ!

私の患者さんのお口の中を診ているんですから。

なかなか居ませんよ!

私の眼の前で、実際に作業できる歯科衛生士は!!

安全で安心なインプラント治療とは

最近、関東地方にある某国立大学付属病院において、
内視鏡下での腎臓手術で、事故が続出しているとの報道を見かけます。

患者さんの心理としては、低侵襲な、大きく切開しない手術を選びたいと云うのは当然でしょう。

これに対して、著名な心臓外科医が興味深いコメントを述べていました。

視野の狭い限られた処での外科処置は、視野から外れた見えていない部分のトラブルには対処できないと‥。

至極当たり前の話をと、お感じになるかもしれません。

私はメスを手にして四半世紀になります。
症例も優に2000は越えています。

インプラント治療の世界に於いても、最近では粘膜を切開.剥離しない【ノンフラップ手術】をもてはやす風潮があります。

私がこの方法を採用する機会は極々マレであると、正直に申し上げます。

【近代歯周病学の父】と唱われたスウェーデンのリンデ先生は次の様に、この手術方法への警告を述べられていました。

ー 私は自分の眼で直接確かめた骨の状況以外は信用に価しない! ー

多くの症例に際して、CT画像と実際の骨の形の微妙なズレを、経験しています。

レントゲンやCT画像は、あくまでも参考に留めておくだけで、
細かな手術の味つけは、実際の骨の状況によってアレンジを加える必要があります。

患者さんの大切な身体に対する手術でもっとも必要なことは、
【絶対的な安定感】だと思います。

見えませんでした!では済まされません。

考え方としては【ノンフラップ手術】は悪くはありませんが、
あくまでも話の上での話であって、この方法を主とする考えには、全面的に否定的な立場を採るものです。

こんなアブナカシイ手法をしていたら、
私は毎日インプラント治療に携わっています。
心配で生きた心地がしません。

キチンと手術野を確保して、ゆとりをもった治療を是非にとお奨めします。

家庭生活に例えるならば、親が収入重視で子供をホッタラカシテ、
経済的なユトリは出来たが、子供がロクデモナイ阿呆になった!のと同じです。

傷口を小さく、小さくはヨーク判ります。
でも、もしもの場合には自分は当てはまらない!と断言できますか?

オーソドックスな治療を日常、キチンと続けることが一番の安全策だと断言します。

私の願い

いつもは仕事に追われて、スタッフの宮田君とゆっくりと話をする機会がありません。

患者さんに向かい合って座り、歯石を取っている姿勢を観れば、その歯科衛生士の技量は直ぐに判ります。
宮田君は、確実に上手な歯科衛生士になっているのが判りますから、
私としても無駄なことは云う必要も無しと思っていました。

昨日は、在ることがきっかけとなり、宮田君と久しぶりに雑談する事となりました。

先日、他所で受けたセラミックの治療の具合が悪くて転院されて来られた患者さんに対して、
私としては、難しい症例ではなかったので、
その日のうちにダイレクト.ボンディング法で歯の治療を完了させました。

翌日、宮田君は此の患者さんへお電話をかけて、噛み心地や、痛み、違和感などご不安なことはないだろうか?とお尋ねしたようです。

私のこの様な自然の行いを、大変嬉しく思います。

ナイチンゲールの心を持って患者さんへ、向かい合って欲しいとの私の願いは、
宮田君に伝わっていることが判ります。

私は技術屋ですから、もっと上へ上へと技術の向上を願ってはいますが、
それよりももっと、もっと、患者さんに喜んで貰いたいと思っています。

縁があって歯科医になりました。

歯科医の使命とは、快適な咀嚼機能が営めるように、そして豊かな口許を創造することだと私は考えています。

あとは、人と人との関わりあいです。

私は患者さんとの関わりを、治療して、それで終わりと云う単純なモノにしたくはありません。

治療は、絶対的な安定感をもって臨み、人としては包み込む空気のような心でと、最近は心がけるようになりました。

何時まで現役生活を送れるのかは判りませんが、常に患者さんと寄り添える心で診察していたいと願っています。

真理

幸せな時間も、不幸な時も長くは続かないと云う言葉を聞いた事があります。

では、長く続くのは何でしょう?

越えられない坂はないと云う言葉を聞いた事があります。

本当でしょうか?

時間だけは確実に過ぎてゆきます。

取り返しのつかない事をした経験がありまか?

はち切れんばかりの嬉しさを感じた事がありますか?

気持ちは、どのような仕組みで、快.不快をシナプスに伝えるのでしょう?

眼では決して見えないモノの中に、物事の真理が在るのかもしれません。