日別アーカイブ: 2014年12月6日

よくブログを観て下さっているウチの学生諸君へ

患者さんの治療の合間に、あるいは診察が終わってからの寸間の細切れを繋ぎあわせて
ブログを認めています。

頻繁にお越しになられている患者さんでも、気づいていないかもしれません。

私の診療台の横の窓辺には、【戦艦 三笠】のミニチュア.模型を置いています。
倅が小学6年の夏に、横須賀の三笠公園へと連れて行った時に買い求めたものです。

その年に、今の診療所を新築していたのです。

【戦艦 三笠】は、言わずと知れた日本海海戦において、ロシア.バルチック艦隊を撃ち破った
東郷平八郎 連合艦隊司令長官が登座する船です。

患者さんの身体に触れる医師たるモノに必要不可欠なのは、【運の強さ】だと感じています。

紙一重の差で、物事の結果は大きく変わると思っています。

馬鹿げた話をと、笑って下さい。

私は歯科医としての必要な努力、辛抱はヤり通す自信はあります。

が、それだけでは、不安で不安で堪りません!

【運の強い提督】の【運の強い戦艦】にアヤカリタイ!が、その訳です。

刹那の判断に迷った時に私は、チラッと、【戦艦 三笠】を視界に入れているのを感じています。

艦橋に立つ提督の心で、(それでもしばしばフラフラ揺れ動きます)

道具を手に!と、自身に言い聞かせています。

この歳になっても、この有り様ですから、どうぞ、ウチの学生諸君が
不安で不安で堪らないと云うのは当たり前です。

歯科は完璧に遅れている!

昨夜は寝つきが悪くて、遅くまでテレビを観ていました。

と云うよりも、観いってしまった!と云うのが本音です。

フォードのトラックの製造過程を放映していました。

スポーツカーよりもトラックが私は好きなんです。

いつかはフォードのF-150と云うトラックに乗りたいと思っています。

ですから、つい熱が入って観てしまいました。

テレビの画面には、懐かしいミシガンの光景が。

ですが、当時とはうって違って、活気ある街の息吹を感じました。

オートメーション化されたラインの上を、流れるように車が造られる光景は、驚きには値するモノではありません。

私を驚かされたのは、製造にあたる作業員の健康に配慮された様々な工夫です。

作業員は毎日、1日の10時間を、全く同じ作業を繰り返すのだそうです。

作業員が仕事の間、肩から膝の高さまで、全く身体に無理な姿勢や力がかからないように、
床の高さやトラックの台座の高さが変化しながら、ラインは動いていました。

アメ車は雑で、日本車品質には敵わない!は大きな勘違いです。

求める処が、日本人とアメリカ人とでは違いますから。

フォードのトラック品質を日本のメーカーでは絶対に造れないと思います。
見映えもカッコいいじゃないですか。

いずれにしても、全ての局面に於いて、歯科は立ち遅れていると感じました。

どの歯医者が治療しても、同じクオリティで患者さんに満足して頂けるようにと、
工夫する必要を強く感じました。

毎日、無理な姿勢での仕事で、身体の手当てに苦心しています。

フォードのラインのような治療椅子があったら!ともうらやましく思いました。

ちなみにフォードの作業員の座る椅子の名前は【ハッピー.チェア】と云うンだそうです。

ウ~ン!

歳から云えば、私は最も熟した年齢にさしかかった、云わば脂ののった臨床医なのでしょう。

ですが、私の自分の仕事の出来に満足していません。
もっと平たく云えば、まだまだ未熟モノと毎日を反省しながら過ごしています。

いったい何時になったら、自分で満足できる治療ができるのだろうと、日々を苦しんでいます。

30にさしかかる頃に、カリフォルニアで開業されていた歯周病専門医であるポール.ソケット先生の鮮やかな手術の数々に接しました。
20年以上経った今でも、先生を凌ぐ手術を観たことはありません。

同じ頃、テキサスのメローニック先生のインプラント手術も素晴らしい芸術でした。

何年か前のニューヨーク大学のターナー先生のインプラント手術も、とてもイイ仕事をされておられましたが、
やはりソケット先生やメローニック先生の手術を凌駕できる歯科医を観たことはありません。

若い時代に、素晴らしい芸術的な仕事に接する機会を得ることは大切である、と云う話をよく耳にします。

本当でしょうか?

却って、苦しむのでは?と、実感しています。

下手くそとしか、何処から観ても、それ以外の表現を見いだせない症例を
多くホームページで観る機会があります。

そのような歯科医を、とてもウラヤマシイと思います。

口の中の環境は、とても苛酷です。

唾液で常に湿っています。

多くの微生物が住み着いています。

酸、アルカリ性と云う正反対の状況変化に対応しなければなりません。

熱い、冷たいに晒されます。

噛む強い力を多方向から受けます。

顎の骨の形は、口の開け方によって微妙に変形します。

まだまだキリがありません。

その口の中で、何十年もの間、十分に耐える仕事の成果を確実に出さねばなりません。

歯科医の仕事は、キツい仕事です。

変な仕事に惚れた私は、阿呆とも言えるでしょう。