最近、関東地方にある某国立大学付属病院において、
内視鏡下での腎臓手術で、事故が続出しているとの報道を見かけます。
患者さんの心理としては、低侵襲な、大きく切開しない手術を選びたいと云うのは当然でしょう。
これに対して、著名な心臓外科医が興味深いコメントを述べていました。
視野の狭い限られた処での外科処置は、視野から外れた見えていない部分のトラブルには対処できないと‥。
至極当たり前の話をと、お感じになるかもしれません。
私はメスを手にして四半世紀になります。
症例も優に2000は越えています。
インプラント治療の世界に於いても、最近では粘膜を切開.剥離しない【ノンフラップ手術】をもてはやす風潮があります。
私がこの方法を採用する機会は極々マレであると、正直に申し上げます。
【近代歯周病学の父】と唱われたスウェーデンのリンデ先生は次の様に、この手術方法への警告を述べられていました。
ー 私は自分の眼で直接確かめた骨の状況以外は信用に価しない! ー
多くの症例に際して、CT画像と実際の骨の形の微妙なズレを、経験しています。
レントゲンやCT画像は、あくまでも参考に留めておくだけで、
細かな手術の味つけは、実際の骨の状況によってアレンジを加える必要があります。
患者さんの大切な身体に対する手術でもっとも必要なことは、
【絶対的な安定感】だと思います。
見えませんでした!では済まされません。
考え方としては【ノンフラップ手術】は悪くはありませんが、
あくまでも話の上での話であって、この方法を主とする考えには、全面的に否定的な立場を採るものです。
こんなアブナカシイ手法をしていたら、
私は毎日インプラント治療に携わっています。
心配で生きた心地がしません。
キチンと手術野を確保して、ゆとりをもった治療を是非にとお奨めします。
家庭生活に例えるならば、親が収入重視で子供をホッタラカシテ、
経済的なユトリは出来たが、子供がロクデモナイ阿呆になった!のと同じです。
傷口を小さく、小さくはヨーク判ります。
でも、もしもの場合には自分は当てはまらない!と断言できますか?
オーソドックスな治療を日常、キチンと続けることが一番の安全策だと断言します。