日別アーカイブ: 2014年9月10日

この頃の私

この不景気な時代にありがたい事に、また新しい患者さんがお越しになられました。

これまで通っていた歯医者さんに随分とご不満をお持ちのようでしたが。

こう言う場合には、私は悪いお話しは遮る様に心がけています。

ー もう良いじゃないですか!これから善くしましょうね! ー

と、お話しを中断させて頂いて、検査をお願いしています。

そんな私に患者さんは、拍子抜けする様です。

よく患者さんと雑談に興じる私ですが、前医や他の歯科医の批判は慎む姿勢は紳士のタシナミであると思っています。

このブログを書いている間に、お一人インプラントの手術を終えました。

数ヵ月前に、オトガイから骨を移植した症例です。

確りと十分に分厚い骨が形成されていました。

あまりにも綺麗な骨の形と色艶に、嬉しさ堪らずに、
手術中の患者さんに手鏡で見て頂きました!

ビックリ眼でご覧になっておられましたが、大事に使おうね!の私の一言に
頷き眼で返事を返され、心暖まる気持ちとなりました。

私は、例えば私生活においても、不愉快な出来事があっても、不思議と仕事には全く影響がなくなりました。

ですから寧ろ、患者さんを診察できない、休日なり祭日が忌々しくてなりません。

やはり歳ですから、自分の身体を休める事も必要ですが、ヤッパリ仕事をしている時が一番ですね!

お医者の悩み

新潟市でご開業の高橋弘尚博士と長い間、電話で話し込んでいました。

高橋先生は、私と同門です。

日本歯科大学の4年先輩で、大学卒業の後、大学院へ進まれ歯科保存学を専攻されました。

御専門は、象牙質を傷めることなく削った歯の表面から如何にして感染細菌を取り除くのか!という繊細なテーマで、
コツコツと研究室で深夜までご研究されておられた事を今でも鮮明に覚えています。

先生はその後、保存学講座の講師へと昇進され、その頃に私も保存学の大学院へと進みましたので、
私は先生の後を追いかけたと言って良いと思います。

先生とは海外出張も御一緒させて頂きました。

ですから先生は、私の18の歳から現在までを知る貴重な私の戦友であります。

先生とは、現在に於いても同じ保存学講座の非常勤講師として御一緒させて頂いています。

私の診療所の現状をよく理解されて居られる先生から、興味深い言葉を頂きました。

ー 歯科の治療に不満を持たれて居られる患者さんの共通点って何なの? ー 

???

ー 君んとこは、そう言う患者さんがイヨイヨとなって行くところなんだから! ー

歯科の治療に不満を持たれて居られる患者さんは、とても多いと感じています。

但し、不満と言われても様々で‥。

治療費用が高いとか、でもこれは私ではどうにも出来ないことですし、安い歯医者が良い歯医者なら、私は恐らく悪い歯医者でしょう!

結局の処、ヤッパリ歯医者は確かな技術だと思います。

そうは言っても、私にも上手くいかない症例もあります。

だってそうでしょう!

する症例全てが成功!って医者が居ると思いますか?

上手くいかない症例は、どうするの?って聞かれたら、
私は患者さんに正直に現状を伝えています。

だって私は神様ではありませんから。

それで、上手く現状を改善するためには、どの様に考えているのか!何が必要か!を明確に伝えます。

ですから私は、対患者さんに対しては難しく考えていません。

私たち医者が考えて考え抜かなくてはならない事は、あくまでも治療に関してだと思っています。

更に良い結果を得るにはどうするか!

私は毎日これにつきます。

人の身体は千差万別!

知恵を尽くしても尽くし足りない!のが現状です。

歯科不信の気持ちが強すぎて、凄まじいほどの患者さんもお越しになられますが、
私は特に意識していません。

あくまでも普通に接して、心を開いて下さる患者さんなら、アア良かった!で。

どの様にしても疑うばかりでダメな方は治療になりませんから、私は無理強いはしないアッサリした対応を採っています。

患者さんを悪い様にしたいと思っている医者など絶対におりませんし、
確かに医者によっての診断なり技術の差は大きいですが、少なくても私は変に思われるような不満の対象として観られたくないので、
本当にアッサリと、転医をお奨めしています。

お互い人間の生きた営みですから。

その様な話を、高橋先生にお伝えしたら、

ー そうなんだよねぇ! ー

と、妙に納得されて居られたのが可笑しかったです。

医者もみんな、悩んでるんですよ!

素晴らしい仕事.歯科治療

私は数年前から、母校である日本歯科大学一年生の特別講義を担当しています。

私が学生であった頃とは随分とカリキュラムが変わってしまい、時代の流れを実感せざるを得ません。

通常、教養過程である一年生の授業項目の中に今はプロフェッションと云う目新しい物があります。

これは歯科医と云う仕事の意義を、改めて学生諸君に見いだして貰い、これからの学生生活を有意義なものにと云う狙いが在るのかもしれません。

本当に時代は変わったものです。

毎年、私は【素晴らしい仕事.歯科治療】と云うタイトルでお話しさせて頂いています。

私が歯科の世界を志した頃から、ヤンチャの限りを尽くした学生時代、新人歯科医時代から今に到るまでの私の半生を
そのまま正直に学生諸君にお話しさせて頂いています。

歯科に取りつかれての30数年でした。

無我夢中に走り続けて来たように思います。

青春坂を掛け登るように、今も未だその最中です。

私は自分を職人だと思って過ごして来ました。

生涯、歯の職人でありたいと願っています。

良い治療を患者さんへ!だけで今に至っています。

ですから、難しい理屈は判りません。

但し、歯のオタクであり続けていたいの気持ちだけで今に至っています。

歯科を志して同門に学ぶ若い人たちが、どうか良い歯科医になってくれます様にと
本当に心から願っています。