月別アーカイブ: 2016年12月

嬉しい便り

出勤し、

慌ただしくメールや書類の確認に追われていたら、

院長室をノックし、

スタッフの宮田君が緊張した趣にて入室して来ました。

???

どうしたの?

で、

彼女は一呼吸おいて、

1通の封書を両手で差しました。

???

封を開け、

おめでとうね!

宮田君の結婚式の案内状でした。

先生の祝辞を頂きたいのですが?

無論です。

先の東北大震災から帰って来た日が、

宮田君の初出勤と重なったことを思い出します。

瞼から痛々しい光景が一時も離れず、

加えて、

私の診療所の特性柄、

ほとんどの患者さんが来院を中断せざるを得ない状況となり、

患者さん皆さんの仕事上の営業にも大きな影響を受け、

必死での対応が判る故に、

私は黙って患者さんが戻って来られるのを待ちました。

診療所を開けていても患者さんが来ないのですから。

内心では、

潰れることも覚悟したものです。

宮田君も当時は、

余りの暇さに驚かれたことでしょう。

宮田君の性格なんでしょうね。

黙って、

私からの新人研修を受けていましたね。

もう一人の前から勤務していたスタッフは、

私を完全に見限っているのが肌で伝わりました。

患者さんが減ったヘボ歯医者って感じたのでしょう。

もっと効率よくとか、

健康保険の診療をしないからだとか、

先生のプライドなど棄てて治療費用のダンピングとか、

スタッフルームで勤務時間に菓子を食いながらの

半分遊び勤務にも、

私は徹底的に辛抱しました。

私はヒポクラテスの誓いをした医療人です。

私は何度も何度も、

経営の苦しさは味わって来ています。

私は一般的な歯医者にはなりたくない!と、

決意して、

歯で困った方への最後の砦で在りたいと。

歯の番人で在れ!が、

私が私自身に言い聞かせている信念です。

歯科医療が抱える諸般の問題点を、

私は国の制度のせいにしたくありません。

患者さんが、

歯を大切に考えて頂けるように

患者さんの心の扉を開いて貰うように、

時間をかけて、時間をかけて、

それが、

患者さんを治療する歯医者の仕事だと信じています。

宮田君が来てくれてからも、

三枝デンタルオフィスは、

ドンドン進化し続けています。

結婚式への案内状の綴りを眺めつつ、

そんな速かった数年のことを

思い出していました。

末永く、お幸せでありますように。

私の履歴書 3.

プロが観たら、

トテツモナイ位に悪い【姿勢】で、

私は治療しています。

DSC_0307

カールツァィスのルーペの8倍を使用中の写真です。

焦点距離が短いので、

患者さんとの距離が近くなるのです。

だから、屈み込んで仕舞う姿勢での治療になります。

他のメーカーのルーペなら、

そうなりません。

でも、

私はカールツァィスのルーペしか

ルーペとしての機能を認めていません。

仕事帰りには、

肩、頚が相当に痛みます。

それでも仕方のないことと、

私は治療精度の高さを優先します。

私が【気づいた】のは、

大学3年の秋の初め頃でした。

中途半端じゃ駄目だと。

ただ、

物事をコツコツと積み上げていった経験がありませんでしたので、

気づきを具体化する方法など全く判りませんでした。

今になって思いますのは、

結局は【近道】など無かったのだと。

遠回りする過程においても、

多くを学びました。

目の前の二者選択の岐路の選択を迫られた時には、

苦しい方を選ぶこと。

そんなこんなを学んで、

今に至っています。

が、

まだまだ半人前だと。

工夫を重ねて、

日々研鑽に努める積もりです。

私の履歴書 2.

私の育ったのは昭和の真っ只中。

商家の育ちでしたし、

会社も成長期でしたので、

仕事する家族の一員として成長したように思います。

夜も現場が遅くまで稼働していた関係上、

一人での留守番も多かったように記憶しています。

留守番といっても、

目と鼻の先程度の距離でしたので、

現場の活気は、窓越しに判っていました。

当時は時代劇全盛の時代でした。

私は時代劇に夢中になりました。

今でも、

水戸黄門から銭形平次、遠山の金さんなどの

主題歌は諳んで最後まで歌えます。

今日、28年続いた

中村吉右衛門主演の【鬼平犯仮帳】が最終話を迎えます。

明日までの2話連続放映だそうで、

私は今夜と明夜は、

電話の電源を切って、

最後の【鬼平】に専念する積もりです。

因みに、

私の処のセントバーナードの名は【平蔵】と言います。

私は池波正太郎の世界に魅了されてきました。

全作品を暗記して諳じる芸当を持っています。

今日ラストを迎える【鬼平】も見逃せない名作ですが、

この頃は【剣客商売】に、味わい深さを感じるのです。

主演の藤田まこと氏も亡くなられました。

両作品に出演されていた多くの名脇役の役者さんも

亡くなられましたことから、

作品の終わりは仕方のない結末だと。

テレビで観るのは時代劇の好みの作品と、

アメリカの連続ドラマシリーズ、

例えば【CSI】などが贔屓で、

後は、

殆んど観ることはありません。

映画は好きです。

贔屓の役者は、

アルパティーノと役所広司氏。

女優さんは、美人であれば誰でも。

音楽は、ほとんど聴きません。

車中のBGM程度なら、プレスリー。

気合いイッパイの手術の際には、

断然、演歌。

都はるみと石川さゆり。

ただ、

麻酔から切開までは、

森高千里。

私は、ほぼ自分のパターンができています。

通勤路は全く同じ。

変わると、

妙に落ち着きません。

この性格は、犬向きだと思っています。

とにかく、

今夜、明日夜の9時からは、

私は【鬼平】で忙しいと思ってください。

チョッと一服

11時からスタートした上顎洞底挙上手術が、

今、終わりました。

現在12時15分です。

術後のレントゲンの現像を待っています。

この手術の際には、

私はカールツァィスの8倍のルーペを好んで使います。

マイクロスコープは使いません。

ルーペの方が機動性がありますので。

上顎洞の内部は、複雑な形状に富んでいます。

色んな方向から、

洞の内部を覗いては探り、

探っては確認の繰り返しです。

マイクロスコープのように、

ドンと鎮座してでは、

治療時間がヤタラと長引きますので。

骨は空気に触れる時間が長ければ長いほど、

術後に縮みます。

ゆっくり手術は、骨には優しい手術ではありません。

身体の姿勢も、

アチコチ歪めて、

施術してるんだと思います。

疲れました。

が、

次もインプラントの患者さんが入っています。

ゆっくりもできません。

そんな時に、

コイーバで一服。

至福の時です。

 

私の履歴書 1.

友人である東京都吉祥寺開業の小出 明医師からのアドバイスは、

日頃、人付き合いが悪く、

世情に疎い私にとっては、

確かな情報源であり、

信用に値する誠にありがたい意見でありますので、

私は小出君の言葉には素直に耳を傾けるのです。

ですから、

頑固者で定評ある私を素直にさせる

この歳の差の大きい友人である小出君を

身近な人間は、

不思議な人だと思っているようです。

では、

何故に私が、この一回り以上年少である小出君の言葉を

大切に受けとるのか?と云えば、

小出君の素直な人柄と、

現状の彼の職業的な心の葛藤なり喜びを

この私自身も共有できるからなのです。

小出君を観て、

私は鏡を観る気持ちになるのです。

で、

この小出君のアドバイスとは、

私自身の人と様を、

時々に、

このブログにて綴れというものでした。

このような時に私は、

どうして?とは思いません。

素直に従うのが、

これは私の性格だと思います。

昨日の治療の際に、

立ち会って下さった歯科技工士さんが、

患者さんと私の診療所のスタッフへ、

私の前に立つと足がすくむほどに恐ろしいと。

なんで?私は怒らないじゃないか?と返したら、

イヤイヤ!

それでも恐ろしい!と。

私の仕事は、

歯科技工士さんの世界では緊張するんだとか。

また、

私がホームページで自身の顔を曝すキッカケとなった訳は、

スタッフの宮田君が、

同じ歯科衛生士である友人から、

私が当地の歯科衛生士さんから

お爺ちゃん先生と思われているから悔しいとの言葉に、

これでも若い積もりでいた私の心が大いに傷つき、

内心では、

その辺の歯医者よりはモテると

自意識過剰であったことも大いなる反発心となったからです。

昔から今も変わらず、

私は単細胞だと自覚しています。

おっちょこちょいも昔から。

イタズラ坊主も昔から。

何故に恐い爺さんと思われるのか?

不思議とショックで立ち直れない日を味わいました。

今朝、顔を観ると確かに老けた。

これではイカンと。

今では社会へと巣出った娘が中学生の頃、

私が中学校へ行くと、

娘の友人のお嬢ちゃん方から、

真百利ちゃんのお父さんは格好良いと、

大勢に集まってきて、

私は大いに喜んで学校へと出向いていたことを

今の娘たちに語ったら、

一言で嘘つき呼ばわりされる始末。

また、

私が高松市で開業した頃は、

高松駅界隈は未だ開発の最中で、

今では私鉄の始発駅となった小さな駅舎の場所には、

東京の赤坂東急ホテルの建物のミニチュアコピーとして有名だった

高松グランドホテルが健在でした。

当時の私は多少ロン毛気味であったのが原因かもしれません。

が、

ホテル隣のうどん屋へと入り、

隅の座席で注文したうどんを待つ間、

雑誌を読んでいたら、

何故か、

店のオバチャン同士の会話と雰囲気が妙な感じ。

そこへ、

オバチャンがうどんを持って来たのではなく、

手には色紙とマジックペンが。

????

で、

直後、

私は大変な経験をしたのです。

【歌手の世良公則さんですよね!サインお願いします!】

私は、この話しが大好きで、

酔って良い気分になると、

必ず出てくる定番として有名なのです。

娘も、

これを聞いた人は皆が、

顔が前に偏って私の行動を聞いて来るんです。

私のイタズラ心に火が着いたんでしょうか?

これは時効だから勘弁してください。

【燃えろイイ女  世良公則】って、

適当にサラサラッと書いて渡したら、

この色紙、

オバチャンたちの肥満の豊かな胸に抱かれて、

後生大事にと、

奥へ持って行かれました。

これを聞いた家族は、

怒る!怒る!怒る!

友人たちは、

笑う!笑う!で。

ただ気になって、

後日、隠れるように暖簾の影から店内を探ると、

イヤー!

壁にシッカリと貼ってありました。

これまた家族から散々と怒られました。

イタズラ坊主は昔から変わりません。

コレが私の本来の姿なのです。

私の診療所の考え方

私の診療所には、他の歯科医院で治療途中からの

【転院患者さん】が大勢にお越しになられます。

が、

私には決まりごとがあります。

私の知人である歯科医院からの転院は、

その先生の良い処を説明して元の歯科医院へ

帰って頂くことにしています。

ただどうしてもという場合でも、

その知人である先生の許可を得て頂きませんと、

私は診察致しません。

私の知人である歯科医に、悪い歯科医は居りませんので。

私は努めて選んで、

人つきあいをしています。

特に歯科医は、

尊敬できるナニかを持つ人としか、

関わらないようにしています。

お互いに影響しあ得る歯科医こそ、

長いつきあいができるのです。

歯科治療には、

考え方なり、

歯科医の人柄が顕れるものです。

良い歯科医も沢山、頑張っています。

その先生方の応援は、

経験の多い少ないの区別なく、

私は惜しみません。

変な歯科医が多いのも事実です。

が、

数こそ少数派であっても、

私は良医で在りたいし、

また、

良医と関わり続けたいと思います。

 

だから歯医者は医者に馬鹿アツカイされるんです!

某歯科医院のホームページを観て、

反り返る!ほどにビックリしたのです。

それは、某歯科医院の【使用する器材の感染防止方法】と銘打った

自信に満ちた説明でした。

私は安心しました。

それとともに、

医師の患者さんが頻繁に仰る、

歯医者は汚い、不潔という意味が判りました。

私は勘違いしていたようです。

其処の歯科医院は、

まだマシな方だと思ってました。

指先は器用ではないけれども、

阿呆ではないと思っていたのです。

汚なーい!

それに尽きます。

健康保険での診療では限界も在るでしょうが、

これでは、

私の25年前のレベルにも至っていないと。

お金儲けがお上手なようですから、

一流のレストランなり旅館に行ってみて、

それも、

単にセレブ気分に浸るんじゃなく、

仕事の裏方を盗む位の心持ちで、

お金の上手な使い方をお勧めしたいと。

大きなお世話でしょうが。

患者さんへの【模範解答めいた】説明ばかりに

仕事の重心を置いているのが伝わり不快です。

自分の診療所では、

絶対に院内感染はさせないぞ!

というプロ意識と、

患者さんを愛しむナイチンゲールの気持ちから、

患者さんへの対応なり、

診療所のシステムが産まれ、

年を経る度に【進歩】して、

いや、

【進歩】させねばならんのです。

5年前の方法など、

私の診療所にはありません。

治療技術は勿論のことですが、

患者さん相互の院内感染防止対策は、

歯科は医科のレベルには

達していないのだと、

悲しい気持ちになりました。

命の宿った人工歯を

朝から大掛かりな噛み合わせ治療の患者さんばかり。

私にしては珍しく、

歯科技工士さんにも立ち会いを求めました。

それは、

私のイメージするゴールを

実際に人工歯を製作する歯科技工士さんが

どのように知恵を搾ってくれるのか?

それを期待してのことです。

普段は模型ばかり視ている歯科技工士さんが、

あぁ!この患者さんの歯を自分が造るんだ!と、

お互い人間ですから。

情熱が沸いてくるもんです。

患者さんを前に、

私と歯科技工士さんの、

アアデモナイ、コウデモナイという、

歯科談義に花が咲く訳です。

そこからは初めて、

命の宿った人工の歯が産まれてくると

私は、

そう確信しているのです。