月別アーカイブ: 2014年9月

治療とは

色々な人達とのかかわり合いの中で、つくづく感じますのは、
職業が、その人のなりを創ると云う事でしょう。

長年、役所勤めを忠実に過ごしてきた方は、一目観て、役人で在ることが判別できます。

東京の有楽町のホームで行き交う人に、近くで学会が開催されている時などには、どの人が歯科医であるか等は、
歩く姿勢等から容易に判るものです。

仕事をする事が、人を形成する事に大きな役割を持っているのだと思います。

幸か?不幸か?仕事に就かずに済む人は、何がその人の形成に関わってくるんでしょう?

私は学生時代のアルバイトには、賛成しない考えを持っています。

正規で仕事に就く人は、ある意味に於いてその道のプロといえるでしょう。

私はプロと素人の間には、大きな境界の壁がそびえ立っていると考えています。

アルバイトで、容易に色々な職種の業態の経験出来ることと、
実際にプロになっていく決意を自分自身にケジメを付けることとは大きく異なるからです。

色々な方と、御一緒させて頂きますが、やはり仕事を持つ人と、そうでない人では物事の考え方なり運び方が違います。

今、仕事に就かない、就けない人が多くいらっしゃると言います。

仕事は食べるための糧を得るためにではなく、仕事を通じての自己の形成のために、
1日の大半を占める仕事ですから、情熱をもって仕事に取り組んでこそ、
充実した人生が送れるものと考えています。

私は臨床家ですから、多種多様な患者さんと接します。

相手によって、色々に顔を変えて接します。

それが臨床家の務めだと思っています。

但し、この時に肝心なことは、

右手に技術を、左手には心をと、常に心に留めて置いています。

自身に厳しく生きてこられた方とは、ぶつかって尚更、良好な関係が更に深まる事が多いのですが、
その様な生き方に縁がなかった方も居られますから、その様な場合に於いては、相手の方との間合いの取り方に気を付けています。

病気の治療とは、患者さん自身の治りたい、治したいと云う気持ちに助けられて初めて上手く進むものです。

医者の仕事は、患者さんに助けられてこそ、成り立つ意味合いをもっています。

治療計画立案の難しさ

治療を始める際には、必ず治療計画を立案します。

この時に一番厄介なのは、所謂、感染した歯の根の取り扱いです。

この感染した歯の根とは、前医が歯の神経を採る治療が既に施されており、根の先の部分に膿が貯まっている歯の事です。

この様な歯の中は、実際に歯の中に入ってのぞきこむ事ができないので、

兎に角丁寧に丁寧に治療して、ジックリと経過を観察して、本当に長い間保存ができるのかどうかを観なければなりません。

私は、歯は残せるのであれば、たとえ長い間かかってもジックリと経過を観たいと思います。

時に、患者さんから最終的な治療の計画について聞かれる機会があります。

その様な時には、本当に困ってしまいます。

簡単にシロクロつけるには、難しい事を言わないで、抜歯して、ブリッジなり、インプラントにとすれば治療計画は単純なものになりますが。

少しでも、身体のダメージを少なくする治療、歯を残せる治療をと考えれば考える程、

治療計画は複雑化してしまいます。

この様な時には、現状を明確に患者さんにお伝えして、歯を残す治療を選択するのかはご自分で判断して頂くしかありません。

この辺に歯科医の限界を感じます。

自己反省

最近、ある方から相談事を受けました。

ホンに深刻な相談内容に、私は頭を抱え込んでしまいました。

物事が上手く運ばないのには、様々な理由があります。

相手となる対象がいる場合には、相手の考え方が変わらなくてはなりませんが、往々にして其は期待しない方が良いでしょう。

それならば、相手の行動を封じる力、相手を必要としないで済む力が身に付くまで、
自分に力を付けなければなりません。

時間が必要だと云う事です。

但し、単に時間を過ごすのではなく、力を付けるべく、日々を一生懸命過ごすと云う事でしょう。

怒り、腹立たしさ、悔しさ、情けなさの気持ちを、身体の中で凝集させて、自己を燃やしつづけて、力を養う事。

この方は、まっすぐな心をお持ちの人だと、お話を聞きながら、あらためてそう感じました。

口が軽い人。

寝返る人。

自分のない人。

私も此の歳ですから、その様な人も多く観てきました。

負のスパイラルに振り回され無いように、

その様な性格は、治らないと考えた方が良いでしょう。

関わりを持たなくても良いように、結局は自己の力不足を反省し、力を養う努力の日々を過ごすことが肝要だと、お伝えしました。

歯科医の商品棚

何処かへ出掛けた際には、お土産屋の陳列だなを覗くのが好きです。

駅前の小路地に迷いこんで、小さな引き戸の小料理屋へとブラリ立ち寄った際に、壁に掛けたる品書きを仰ぎ見るのが好きです。

私は開業医として随分と長い間、過ごしてきました。

ですから、そう言う意味では私も何物かを売って暮らしてきたと言えるでしょう。

私は、この様に考えています。

私は、インプラントなり、セラミック修復、入れ歯と云う商品を供しているのではありません。

私は自分を商品として、売っているのだと考えています。

私の見立て、これは診断であり、私の技術を供していると考えています。

個性強い私ですから、万人向けの商品ではないかもしれません。

但し、鮮度だけは常に、旬のものをと云うポリシーだけは、昔から変わりません。

お昼休みに、ふと喫茶に立ち寄った処、偶然にも顔見知りのインプラントメーカーの方に会いました。

最近のトピックス等を熱心に語っておられる氏に、好感をもって頷いていました。

ー 先生、オール.ジルコニアのアバットメントは固すぎて、チタンの方が削れてダメだと云う報告が出てました! ー

報告を待たなくても、当たり前の話なのですが、その様に聞かされると、

ー  ああ、自分はそんな事をしなくて良かった! ー

と、安堵して、目がね違いではなかったと胸を撫で下ろしました。

私は、今の歯科の現状では、どちらかと言えば保守的な方だと認識しています。

超最先端の治療は、ある意味危険だと思っているからです。

何年も何十年もの、ふるいにかけられて、残った確かな治療を患者さんに提供するのが臨床家の務めだと思っています。

男の痩せ我慢

ー 先生って、本当にスキがないわね! ー

所謂、盛り場の女性から言われた台詞です。

???

いい歳こいて、盛り場の女性に言い寄る程のエネルギーを私は持ち合わせてはいません。

恥ずかしながら私は、盛り場の女性と所謂同伴、アフターと云うものを経験した事がありません。

盛り場と云うのは、社交の場所であって、そこに働く女性は仕事をしているのだから、その辺りはわきまえていないと!と考えています。

日がくれた頃合いに、たまに割烹などの暖簾を潜るときもありますが、

カウンターに同伴の男女の様を目にして、私は快く感じません。

キザな言い方でスミマセン!

私は紳士で在りたいと思います。

女性や子供が眼にした時に、不快な感じ方をされたくありません。

最近の若い男性が中性化した!とか弱くなった!とか草食化した!とか。

これも情けない現象だと思います。

若い男性は、スキあれば女性に牙をむくものと、私は自然とその様に思います。

元来、男は牙を研いて生きるもの。

それが年齢によって、異性から仕事へと、或いは趣味などへと変化していくものと考えます。

男性に女性の考え方が判る筈もなく、逆も同じだと思っています。

男性の役割と女性のそれも、また違うものと思っています。

別段、女性蔑視であるとは思わないで下さい。

男性が女性に、絶対に敵わない処も沢山あるのですから。

但し、その逆もあるのだとも思っています。

お互いがお互いの領域に、決して踏み込まない事が大切だと感じます。

冷めた感じ方かもしれません。

そう言う処で、先の盛り場の女性の台詞が出てくるのかもしれません。

でもこれは仕方がありません。

私は、歯科を志す若い人達が、決しておこがましくて言えませんが、
あの様になりたいと思わせる自分をと思っています。

それが所謂、男の痩せ我慢と云うものです。

問題の解決法

思わぬ事態が発生したときに、どの様にして対処するのかは人によって異なります。

今現在のトラブルをたとえ解決できたとしても、次なるトラブルが予想できる場合には、

私は今のトラブル解決に照準を合わせずに、先に問題が生じないことを根本の処において、

対応を考える様にいています。

ぶつかっていく場合もありますが、正面突破が必ずしも良い問題解決方法であるとも思えません。

また本来、ダメなものはダメなことも多いので、そう言う場合には、手を放すのも仕方がないと云う考えは持ち合わせるべきでしょう。

但し、後々の後悔を残さないために、日々を一生懸命に過ごすことが大切です。

またその様に過ごすことが、正しい考え方、虫のよい都合主義の根を絶つ自分形成に役立つと考えています。

もう1つの私の顔

私のこのホームページは、香川こまちの山田さんに造って頂いたものです。

香川こまちは、香川県を代表するタウン誌です。

香川県には他にも同様のタウン誌がありますが、それも元々は氏が手掛けたものです。

山田さんは、云わば香川県を知り尽くした広告人と言えるでしょう。

私の患者さんは香川県以外の方が多く、言い様に依れば地元に根づいていないとも考えられます。

その様な理由から、香川県に根をはるために、香川県を知り尽くした山田さんにホームページの作製をお願いした訳です。

山田さんには、本当に感謝しています。

この仕事を通じて、氏の真面目な人柄と仕事に対する情熱の程がよく理解でき、今では数少ない私の友人の一人となりました。

今、私はもう1つ別のホームページを作製しています。

これは私の患者さんご本人により製作して頂いているものです。

Tさんと言います。

雑誌などのライターをフリーでしている女性です。

診療に来られる度に、私は患者さんと雑談に興じるのですが、Tさんは兎に角ユニークで、
面白い見方をお持ちの個性豊かなお人柄です。

Tさんは、インプラントを含めて全顎的な治療を私の診療所で受けました。

私に実際に治療を受けたご本人が、私のホームページを作ったらどうだろう!

その様な発想から、嫌がるTさんを半ば脅迫?して、無理矢理お願いした訳です。

このもう1つのホームページは、11月にアップ出来る予定で、もっか進行中です。

大きな川

商業カメラマンの中村政秀氏と御一緒しました。

朗らかな氏ではありますが、ファインダーを覗く氏の後ろ姿は、一種独特の匂いがありました。

善い写真でした。

人の息づかいが鼓膜の中に届く写真でした。

これまで私は、多くの商業カメラマンと云う仕事に就く人達と御一緒させて頂く機会がありました。

無難な仕事と、ひと味違う仕事の違いが商業写真の世界にも在ることを、一目瞭然で判る氏の仕事でした。

写真の世界も歯の仕事と同じように、結果によって、仕事をする本人に残酷な現実を突き付けると云うことが、よく判った氏の仕事でした。

ー  デジタルカメラの時代になって、誰でも綺麗な写真が撮れるようになりました。
     だから先生、僕らプロは素人より断然抜きん出て良い結果を出さんとあかんのですよ! ー

歯科医の仕事も全く同じです!

歯科医師国家試験に合格した事は、患者さんの身体に触っても良いよ!と国が許可を出しただけの事でしかありません。

良い仕事が本当に出来るようになるには、血と汗と涙を流して、それから才能とセンスがあって、と云うものです。

どの世界も、プロとセミプロとアマチュアの間には大きな川が流れています。

情熱の歯科医

日本の人口は、毎年80万人ほど減少を続けていく相です。

80万人と云う数字は、凄まじい程の大きさだと思います。

凡そ徳島県の全人口が、これから毎年消えていく勘定です。

私の若い頃とは、全く様変わりした昨今です。

インターネットの普及で、経済においては国境など存在しない様を呈しています。

これからの若い人たちは、大変な時代を生き抜く知恵と力を持たなければ、あっという間に
大きな力によって飲み込まれてしまうでしょう。

にも拘らず、若い人たちが、ドンドンひ弱になっていると感じるのは私だけでしょうか?

かく云う私の愚息に関しても、親の心子知らずを絵に書いた有り様で、情けないことこの上なしです。

如何に父たる私が、愚息を鍛える環境を供しても、苦しさから逃れたい一心の愚息に対して、
孫かわいい無責任たる年寄りが、あるいは世間の動向などよりも母性だけで甘やかし、別れた亭主憎しの一心で、
知らずか知ってか判りませんが、愚息に逃げ場を準備する馬鹿どものお陰で、ドンドン愚息が落ちぶれていく様を
黙って観ていなければなりません。

ー 先生は厳し過ぎますよ! ー

との助言も、しばしば頂きますが、先に泣く我が子の顔を見ないで済むために、心を鬼にしているのは、
今の平穏無事に慣れた人に判る筈もなく。

男には、母性などあるはずもなく、男は自分で己の牙を研くもの!

男が女と同じになってどうするものぞ!
など言っていたら、大変なことになる昨今ですが、それがそもそもの間違いだと思います。

夢を持ち続けて、阿呆と馬鹿にされても、人の眼につかない処でコツコツと不安な心に苦しみながら、
夢の実現のために日々を過ごすのが男の証しでしょう。

かく云う私も、平均寿命まで生かして頂けるのであれば、後の何十年を老後と諦めて過ごす訳にはまいりません。

良い歯医者になりたいと、17の歳で志し、未々夢は叶ってはおりません。

今に想うのは、生涯、情熱の歯科医でいつづけようと、身体の中を燃やし続けようと思っています。

平凡な毎日

昨夜は夕食にグラタンを作ってみました。

ホワイトソースを作りながら、横で玉ねぎとポテト、豚肉をソテーし、
そのまた横でマカロニを茹でて‥‥。

一気にオーブンに入れて、出来上がるのを待つ間にあれやこれやと。

毎日色々なことが、次から次へとおこりますが、仕事なり子供との関わりには、支障の無いように努めています。

自分のペースを決して乱さないように出来るようになりした。

本当に自分でも不思議でたまりません。

自分のなかで、確実に何かが変わったように思います。

歯の仕事で溜まったストレス解消に、私は料理が一番あっているようです。

歯の仕事は、それはそれで無心になれるので、本当に良い仕事に就いたと感謝していますが、
集中力がとても必要な仕事です。

凝り固まった精神を解すために、料理が一番あっているようです。

その繰り返しな、平凡な日々を過ごしています。