歯科医の商品棚


何処かへ出掛けた際には、お土産屋の陳列だなを覗くのが好きです。

駅前の小路地に迷いこんで、小さな引き戸の小料理屋へとブラリ立ち寄った際に、壁に掛けたる品書きを仰ぎ見るのが好きです。

私は開業医として随分と長い間、過ごしてきました。

ですから、そう言う意味では私も何物かを売って暮らしてきたと言えるでしょう。

私は、この様に考えています。

私は、インプラントなり、セラミック修復、入れ歯と云う商品を供しているのではありません。

私は自分を商品として、売っているのだと考えています。

私の見立て、これは診断であり、私の技術を供していると考えています。

個性強い私ですから、万人向けの商品ではないかもしれません。

但し、鮮度だけは常に、旬のものをと云うポリシーだけは、昔から変わりません。

お昼休みに、ふと喫茶に立ち寄った処、偶然にも顔見知りのインプラントメーカーの方に会いました。

最近のトピックス等を熱心に語っておられる氏に、好感をもって頷いていました。

ー 先生、オール.ジルコニアのアバットメントは固すぎて、チタンの方が削れてダメだと云う報告が出てました! ー

報告を待たなくても、当たり前の話なのですが、その様に聞かされると、

ー  ああ、自分はそんな事をしなくて良かった! ー

と、安堵して、目がね違いではなかったと胸を撫で下ろしました。

私は、今の歯科の現状では、どちらかと言えば保守的な方だと認識しています。

超最先端の治療は、ある意味危険だと思っているからです。

何年も何十年もの、ふるいにかけられて、残った確かな治療を患者さんに提供するのが臨床家の務めだと思っています。