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若き歯科医師達よ

 私の若い時分とは違い、
今は、歯科医師国家試験に合格した
歯科医師は、
一年間の研修医生活を
送る事が定められている。

 其のあと、
大学院へ進み
研究生活を送るか、
何処かの
開業医の元で
勤務医生活を。

 或研修医から
進路の相談を承けた。

 自分の思うままに生きよと伝えた。

 一度しか無い人生である。

 猫も杓子もインプラントの時代である。
どなたが本当の名人なのか
チッとも判らない位の
大勢の名医が
ホームページの上で
ひしめき合っている。

 【私の診療所では骨との結合が壊れた症例はありません。】
と、のたまわっている診療所の
患者さんも、
私は拝見しているが、
見事な迄に
インプラントは脱落していたのだが。
自分の目で見ていないので、
其れは其れで
失敗にならないのだろう。
 が、哀れの一言に尽きる。

 歯科医師の履歴書も然りである。

 誰それの研修を受けましたも
良かろうが、
全部、金を払えば
誰でも受けれるものばかり。

 おまけに、
自分で研究会なるものを作り
其処の代表とは
大笑いの極みである。

 若き歯科医師よ。
悪い見本を真似てはならぬ。

 インプラントや審美も良いが
時代や流行り廃りの無い
確かな学問を
遠回りをしてもよいから
じっくりと
石を積み重ねる
心の余裕が必要であろう。

 新潟大学.脳外科の
礎を創られた
故 中田瑞穂教授の言葉である。
【学問は、しんしんと静かに雪の降るが如し】

歯科治療とは治療行為であってエンターテイメントではない

 昨今、不景気なせいか?
ダイレクトメールやインターネット上で
患者さんを増やす為のノウハウを伝授する等の
広告を目にする機会が増えた。

 歯科医院の
ホームページなりブログに於いても
患者さんに対する
気遣いやサプライズの
重要性をヤタラ強調するものも
見掛ける様になった。

 気遣いなり心遣いの
真骨頂とは、
あくまでも
相手に然り気無く、
気付かれない様に
する事である。

 其も、
私の様な歯の職人にとって
一番大切な心遣いとは
治療本体に関する事である。

 数寄屋橋二朗の親父は
付け場に相対した御客が
右利きか左利きかに依って
握った鮨の置く位置を変える。
又、
御客の食すテンポに遇わせて
鮨を握る。
鮨の大きさも然りである。

 数寄屋橋二朗の店は
床を舐めれる程に清潔である。

 これ等が食の職人たる由縁である。

 客たる私達は
ニコリともせぬが、
心中、
本当の職人に対して
尊敬の念をもって
暖簾を後にする。

 職人仕事には
エンターテイメント性など
見当たらないが、
客の方も
見る目の在る、
違いが判る人であれば
グッと来ているものである。

 歯科医院は
ホテルや遊園地ではない。
病気を治し、予防を
行う処である。

 サプライズも大事だが、
そんなこんな事ばかりに
気を遣うと
本来の大切な事を
見失ってしまう。

 ヒポクラテスの誓いを
再読されたし!
医者か商人か判らぬ
愚かなる医師免許を持人と
其の取り巻きに
敢えて
苦言を呈する。