若き歯科医師達よ


 私の若い時分とは違い、
今は、歯科医師国家試験に合格した
歯科医師は、
一年間の研修医生活を
送る事が定められている。

 其のあと、
大学院へ進み
研究生活を送るか、
何処かの
開業医の元で
勤務医生活を。

 或研修医から
進路の相談を承けた。

 自分の思うままに生きよと伝えた。

 一度しか無い人生である。

 猫も杓子もインプラントの時代である。
どなたが本当の名人なのか
チッとも判らない位の
大勢の名医が
ホームページの上で
ひしめき合っている。

 【私の診療所では骨との結合が壊れた症例はありません。】
と、のたまわっている診療所の
患者さんも、
私は拝見しているが、
見事な迄に
インプラントは脱落していたのだが。
自分の目で見ていないので、
其れは其れで
失敗にならないのだろう。
 が、哀れの一言に尽きる。

 歯科医師の履歴書も然りである。

 誰それの研修を受けましたも
良かろうが、
全部、金を払えば
誰でも受けれるものばかり。

 おまけに、
自分で研究会なるものを作り
其処の代表とは
大笑いの極みである。

 若き歯科医師よ。
悪い見本を真似てはならぬ。

 インプラントや審美も良いが
時代や流行り廃りの無い
確かな学問を
遠回りをしてもよいから
じっくりと
石を積み重ねる
心の余裕が必要であろう。

 新潟大学.脳外科の
礎を創られた
故 中田瑞穂教授の言葉である。
【学問は、しんしんと静かに雪の降るが如し】