月別アーカイブ: 2018年6月

歯科治療の立場から

私の診療所では、

歯科治療を始める前に、

必ず内科対診を医師にお願いしています。

患者さんからは、

予め問診票にて、

ご自身の情報を記載して頂いてはいますが、

長い臨床生活で、

患者さんご自身が気づいていない、

あるいは、

担当医が見落としている病気がある経験から、

患者さんの全身状態を把握する必要性を感じたからです。

幸いなことに、

診療所のすぐ裏側に、

榊原クリニックがあります。

榊原医師は長年、

香川医大にて全身管理をご専門としておられました。

ですから、

歯科治療特有の注意事項についても、

きめ細かく配慮した検査を、

私の意見を取り入れ、

また、

内科医としてのアドバイスを頂戴すること度々です。

身体に配慮した歯科治療が、

今後ますます重要視されるでしょう。

超高齢化社会です。

多くの患者さんが、

何かしらの投薬を受けておられます。

診療所の隣には、

大手製薬会社の経営する処方箋専用薬局があります。

薬の選択は、

きめ細かく処方しなければなりません。

飲み合わせも考慮しなければなりません。

ですから、

隣の調剤薬局は私にとっては、

豊富な薬剤のストック場所でもあり、

私の薬の知恵ブレーンでもあります。

榊原医師と調剤薬局の助けにて、

私は安心して歯科治療に臨めるのです。

複雑な全身状態については、

日本歯科大学の学部長である藤井教授がご専門ですから、

データー添付のメールにて

即座に対応して下さいます。

治療に際し、

全身管理医のアシストが必要な患者さんも

年にお一人位の程度でおられます。

この際は、

母校の全身管理科の大橋科長がヘルプに

来て下さいます。

歯の矯正治療は兵庫県川西市の畑先生。

顎関節の疾患の難症例については、

母校の小出馨教授にアドバイスを。

ご婦人の患者さんも多いですから、

ご婦人の身体と云うのは、

女性の婦人科の医師にしか細かな処は

解らないだろうと。

倦怠感とか更年期障害にある患者さんに対する歯科治療ですね。

これは女医さん数名に依頼しています。

たかが歯科治療?

私にとって歯は命です。

人の長い人生と

寄り添った歯科治療を行うことが、

どうやら歯の長期保存の鍵なようですよ。

虫歯治療

金属の詰め物が施されています。

メタルインレーです。

私はメタルインレーは全くしません。

メタルインレーの詰め物と歯の間に

セメントが存在するからです。

このセメントは経時的に劣化します。

で、

歯とメタルインレーの間に隙間が生じ、

新たな虫歯の原因となります。

また、

治療操作中、

新鮮な削られた歯面が

唾液で汚染され、

私の云う【無菌的治療】からは

ほど遠いからです。

インレーを撤去し、

ラバーダム防湿です。

変色した部分を、

唾液から隔離して、

丁寧に丁寧に取り除きます。

この歯は、

虫歯が神経まで僅かですが、

至っています。

神経の保護剤を貼付し、

とりあえずは、

神経が回復するのを待ちましょう。

で、

次回にダイレクトボンディング修復です。

 

 

メタルフリーの治療?

治療が終了して10年は経過している症例です。

上の奥歯の治療は、

金属クラウンにて。

メタルフリーの治療が流行っている昨今ですが、

私は金属のクラウンが好きです。

この症例からも判るように、

金属が対合する歯にて、

大きく摩耗しています。

セラミックにて治療したならば、

割れるか?

歯の根に大きな負荷が架かるでしょう。

睡眠時の噛み締める大きな力は、

私らにはコントロールできません。

この患者さんには、

睡眠時のマウスピースは使えません。

ソレは、

顎の関節の形からの、

私の診断基準から。

マウスピースの使用により、

関節円板と云う組織が、

前方に落ち込んでしまうからです。

この辺りは、

日本歯科大学の小出馨教授の研究報告から。

なんでもかんでもマウスピースと云うのは、

大きな間違いが生じます。

と云う訳で、

睡眠時のマウスピースを使えない、

このような患者さんの治療に対しては、

金属のクラウンが最適だと。

セラミッククラウンでも、

天然歯でも、

コンポジットレジン修復治療でも、

対合歯への影響は同じことは、

この症例からも明らかです。

この患者さんの第1大臼歯はセラミッククラウン。

第2小臼歯の修復はダイレクトボンディング修復。

第2大臼歯の修復はコンポジットレジン充填。

にもかかわらず、

金属のクラウンには同じような挙動が。

歯を長期に残すこと、

【考える治療】の大切さを、

重々、認識させられます。

今の1冊

最近は書店に赴く暇もなく、

と言って、

活字中毒症であることから、

書庫に隠り、

眼に付いた書籍を手に取って、

頁をパラパラと捲っては、

元に戻し、

で、

また別の1冊をという繰り返し。

で、

最近また、

この書籍を楽しんでいます。

この方、

私は直接には存じ上げません。

が、

評判通りの頭脳明晰でいらっしゃること、

実感できるとともに、

物事に対するスマートな処理法について、

大いに勉強になる1冊であることには

間違いありません。

季節柄、

心地よいこの頃。

読書に最適の今日この頃ですね。

総合診療医

歯周病治療、修復治療、根管治療、インプラント治療、

入れ歯治療、虫歯治療などなど。

総合診療医として、

毎日を様々な歯科治療に追われています。

歯科医学の中の専門は歯科保存学ですが、

私の歯科治療は、

歯科保存学をベースとした、

総合診療を行っています。

口腔はただ1つ。

噛み合わせも、

骨の保存も、

歯質の保存も、

全てに、

関連性があることに、

40代で気づいたのです。

そこからは、

猛ダッシュで、

歯科全般と全身状態を関連付けて、

総合診療と云う概念で、

人を診てきたのです。

歯一筋で55歳です。

歯の不思議さには

私の知恵は未だに追いついてはいません。

が、

眼には見えないモノも、

見えるようになりました。

母校から、

総合診療科の臨床教授として

向かい入れられたことは、

私の大きな自信と励みになりました。

ご恩に報いるために、

もっと、もっと、

歯の不思議を解明したいと、

患者さんに向き合っています。

何処に行っても、

納得できない!

満足できない!

所謂、

歯科難症例が集まって来る歯科医院が、

私の処なのだそうな。

私は別段に意識はしておりませんが。

ただ、

面白い症例だな!

喜びイッパイと云った処です。

 

新しいスタッフ

普段であれば、

既に床に就いて夢の中であったのに。

今も診療所に居ます。

午後の9時半を過ぎた頃合いです。

歯科衛生士が宮田君から新しいスタッフに代わり、

アレコレと。

何処の歯科医院も歯科衛生士不足なのだそうな。

街の中心部にあるからでしょうか?

お陰さまで、

私の処には、

何故か?

面接を申し出る電話がしばしば来ます。

今は、

お試し雇用と云う制度があることも、

最近になって知った時代遅れな私です。

新しいスタッフに対し、

私は技術や経験を求めません。

ソレは、

私の診療所に勤務する過程で、

必ず取得出来るからです。

私が求める処はただ一つ。

ナイチンゲールの心を持つ人です。

気が利いて、

優しい人でなければ、

医療人には不向きです。

一緒に仕事をしていれば、

そこは判ります。

そんなこんで、

最近の私は、

診療所で忙しくしています。

 

 

たわいもない話し

知人以下、

他人以上の方と

ヒョッコリと眼が会い、

この度転居するんです、

な、そうで。

ほぉー。

ソレは、ソレは。

と言って、

転居祝いを贈る間柄でもないので、

とりあえず、

エール!でも贈っておこうと。

そんな会話を帰宅して直ぐに、

家族皆に話しをしたら、

そう言えば、

大昔、

家人とランチへと出かけ、

と言っても、

財布は私が持っているものと

思い込んでいた家人は、

チャーシュウ大盛りを大いに堪能し、

で、

会計の際に、

私が持ち合わせが無いと知り、

慌てふためき、

幸いなるかな。

私のポケットにあった2千円札に助けられ、

ホッとした直後、

家人が珈琲を飲みたいと。

つい、

私は家人に、

外から匂いでもかいでおけ!

今日の出来事とは全く関係ない過去のことを

持ち出され、

でも、

そうでしょ?

 

 

歯科医師の学問

私は開業歯科医師でもありますから、

歯科治療の対価として、

患者さんから診療報酬を頂いています。

しかし、

私の行う歯科治療の根拠を

より確かなものとするために、

常に研究の場に身を置いています。

学問とは、

専門書を読んだり、

学会に参加する、

講習会を受講する

それを学問するとは言いません。

【歯科医師の学問】とは、

日々の診療から、

常に問題提起し、

考え、

解決の手段を模索することです。

研究のテーマは、

正に患者さんの口腔に溢れています。

だからこそ、

ジックリ視て、

ジックリ考え、

新たな治療が生まれるんです。

 

全てが患者さんのために

4月から生活が一変しました。

新潟市と高松市を行ったり来たり。

新潟市は私の第2の故郷とも云える

私の好きな処です。

が、

新潟駅から日本歯科大学までのタクシーの

車窓からの風景を眺めるだけで、

街や川に触れる暇もありません。

深夜まで大学。

ホテルまでのタクシーにて、

夕食はホテル向かいのコンビニにて調達。

朝食ですか?

吉野家の朝定食ですよ。

何で新潟まで来て、

吉野家なんだ!

早朝には出勤しますので、

その時間帯はホテルの食堂も、

街の喫茶店も営業していないからです。

昼食は摂れません。

誰か彼かとの会合があるからです。

高松へ帰る手順は、

大学での仕事を終えてから、

最終の上越新幹線にて、

とにかく東京まで入ってホテルにて宿泊。

で、

朝一番の羽田発のフライトなら、

翌朝は通常通りに診療に入れます。

新潟行きの手順も同様です。

診療が終わってから夜のフライトで、

とにかく東京まで入っておきます。

で、

一泊して、

朝一番の上越新幹線にて一路新潟へ。

道中やホテルの部屋では、

ゆったりと読書するくらいが、

私の余暇となりました。

今までは、

歯科保存学講座の非常勤講師の仕事だけでしたから、

学部と大学院生の教育と、

研究だけで、

三枝デンタルオフィスでの診療から、

これを調べたい、

これを研究したい、

私の歯科大好き病の、

ワクワク感を満足させてくれる

大変ありがたい処だったんです。

今も歯科保存学は併任ですが、

突然、

今まで全く関連のなかった附属病院の

それも一番の大所帯の総合診療科の臨床教授です。

大学の人事ですから、

お考えのあってのことでしょう。

ただ、

私は、

これだけは徹底したいと思います。

全てが患者さんのために。

ご父兄からお預かりしている学生さんたちが、

確かな基礎的技術を持って、

羽ばたいて行けるようにと。

そのためには、

医療人の心を

シッカリと肌感覚で身につけていなければ。

高松市の三枝デンタルオフィスは、

私のホームグラウンドです。

より進歩し続けるようにと、

それこそ新しいスタッフと、

知恵を出し合い、

全てが患者さんのために。