治療が終了して10年は経過している症例です。
上の奥歯の治療は、
金属クラウンにて。
メタルフリーの治療が流行っている昨今ですが、
私は金属のクラウンが好きです。
この症例からも判るように、
金属が対合する歯にて、
大きく摩耗しています。
セラミックにて治療したならば、
割れるか?
歯の根に大きな負荷が架かるでしょう。
睡眠時の噛み締める大きな力は、
私らにはコントロールできません。
この患者さんには、
睡眠時のマウスピースは使えません。
ソレは、
顎の関節の形からの、
私の診断基準から。
マウスピースの使用により、
関節円板と云う組織が、
前方に落ち込んでしまうからです。
この辺りは、
日本歯科大学の小出馨教授の研究報告から。
なんでもかんでもマウスピースと云うのは、
大きな間違いが生じます。
と云う訳で、
睡眠時のマウスピースを使えない、
このような患者さんの治療に対しては、
金属のクラウンが最適だと。
セラミッククラウンでも、
天然歯でも、
コンポジットレジン修復治療でも、
対合歯への影響は同じことは、
この症例からも明らかです。
この患者さんの第1大臼歯はセラミッククラウン。
第2小臼歯の修復はダイレクトボンディング修復。
第2大臼歯の修復はコンポジットレジン充填。
にもかかわらず、
金属のクラウンには同じような挙動が。
歯を長期に残すこと、
【考える治療】の大切さを、
重々、認識させられます。