日別アーカイブ: 2018年6月28日

基準のない今だからこそ

音楽の基本が古典的クラッシックにあるように、

一見では進歩しているように見える歯科医学ですが、

研究分野以外の、

技術の基本形態は、

やはりクラッシックに在ることに

日本歯科大学は気づいていたのです。

技術には、

悲しい宿命があります。

ソレは、

個人的な差です。

歯科医師養成のための教育機関ですから、

今の行き過ぎた感のある国会試験を

無事に合格させて歯科医師免許を取得させることは

大きな使命ではありますが。

それでも、

日本最古の私塾として歯学の発展に寄与してきた自負ある

母校としては、

世にシッカリとした技術と考え方を持った

臨床医を養成することを

もう一つの使命として、

日夜努力を重ねている事を

私は当事者の一人として、

知っています。

学費の安い国立大学へと、

偏差値の高い学生は移動してゆきますので、

私学は偏差値競争に一時期は負けた組を

受け入れる事になります。

その若者たちに、

如何にモチベーションを向上させて、

歯科医学の魅力に気づかせるのが、

私ら教官の大きな仕事でもあります。

そのような100年、

日本歯科大学は歯科会を牽引してきました。

そこに、

日本歯科大学の教官は大きなプライドを持っていますし、

日本最大の校友会を誇る卒業生たちも、

母校の名の元に一致団結するのです。

私の噛み合わせ治療に欠かせない

百戦錬磨の咬合器です。

症例によって、

使い別けています。

中には時代的名機もあります。

私の臨床において、

この名機たちは無くてはならない道具です。

根管治療におけるラバーダム防湿と同じで、

無くても、

治療はできます。

が、

人の身体の不思議さは、

眼には見えないほど神秘の世界ですから、

医師たる者は、

シッカリとした基準値を認識するために、

眼に見える物指しを手放してはなりません。

歯科治療というものの特殊性は、

其処に尽きると言えましょう。

祈りの理由

昨夜は、

カトリック桜町教会の松浦司祭さまからの、

定例の個人教授を受けていました。

人は必ず生涯を閉じる定めにあります。

その時まで、

私は進歩し続けていたいのです。

別段、

裕福長者になりたい訳ではありません。

私のような、

自由診療医師は、

世間の方が想像するほどお金持ちではありません。

だって、

歯にお金をかける人って、

誰が考えても少数派でしょう?

歯の治療を受診する際には、

誰だって安い方が良いでしょう?

ですから、

ハナからそう云う方は、

私の診療所などにはお越しになりません。

イメージだけで、

セレブ御用達歯医者とか、

ぼったくり歯医者って、

私は縁も所縁もない方から、

誹謗中傷を受けてきましたもの。

私が頻繁に口にする、

健康保険診療は国の宝という台詞を

もう皆さんは重く受けとめる時が来ています。

国の財源には限りがありますから。

幼い命、

若い方々が、

これからの国を支えてくれるのです。

その若い方々のために、

貴重な財源を残してあげることを

先人は重く考える時が来ています。

健康保険医は誠実な健康保険診療に従事すべきです。

ソレは立派な社会貢献です。

口が裂けても健康保険医は、

健康保険の診療を批判し、

患者さんを不慣れな自費治療に誘導すべきではありません。

そんな考えの私が、

自由診療の医師の道を選んだ理由ですか?

ソレは私が縛りを極端に嫌がる自由人だからです。

私の診療に関し、

私の自己裁量権を発揮するためです。

また、

歯は私の命です。

歯の治療なんかと云う、

そのような価値観の方には、

私はナンの役にもたちません。

所謂、

小さな親切、大きなお世話って事でしょうか?

この世の中には、

歯で本当にお困りの方が大勢におられます。

歯を大切に考えて下さる方も大勢におられます。

私の限られた時間は、

そのような方々のために消費したいと思うのです。

進歩する過程において、

その方向も、

その行き先も、

当の本人である私には、

全く見えないのです。

正直、

不安で心配でなりません。

ただ、

足を停めたら終わりだと云う事だけは、

動物の本能的な勘でしょうか?

判っているのです。

私の全知全能のすべてをかけて、

患者さんの診療に臨みます。

そこに、

眼には見えないのだけれども、

ソレを人は強運と云うのでしょうか?

そのような力が私の中に宿り、

手当てを丁寧に綴ることが出来ますように、

祈りを捧げるのです。

 

歯を保存できる決め手

先のブログで紹介させて頂いた

歯を保存出来ない、

むしろ、

抜いた方が良い症例とは

全く逆の、

絶対に残さねばならない症例をご紹介します。

歯冠部分が歯科医師によって削られ、

ほぼ歯根部分しか残っていませんね。

初診の際には、

歯茎が腫れて、

ズキズキとした痛みをお訴えになられていました。

この様な症例に対しては、

早急な根管治療は禁忌です。

なぜなら、

ラバーダム防湿のためのクランプという器具が

歯に引っ掛からないからです。

無菌的治療のできない根管治療ほど

自信過剰な愚かな治療行為であることに

歯科医師は気づくべきです。

急性期の症状は、

根管を徹底的に洗浄し、

根管自身を排膿路とすることで、

早急に痛みは消失します。

その後、

仮に水酸化カルシウムのペーストを

根管内に満たしておきます。

で、

臨床歯冠長延長手術を行います。

どうですか?

随分と歯が露出したでしょう?

これなら、

シッカリとラバーダム防湿下で、

無菌的な根管治療が可能です。

また、

歯質が大きく露出したことで、

被せるクラウンがシッカリと歯を包み込みますから、

歯根破折の可能性も、

格段に減少します。

加えて、

クラウンの境目も、

綺麗で健康になった歯肉溝の中に、

マイクロスコープを使った削りにて、

歯周組織に優しい修復治療ができるんですよ。

今日、

仮歯を装着しました。

被せる直前の写真です。

歯はシッカリとした角化歯肉に被われています。

ファイバーポスト直下の健康な歯質も多く残っています。

これをクラウンが被い被さるので、

力学的に歯が折れる事の可能性は激減します。

仮歯を装着した写真です。

ここから、

何カ月か、

仮歯の挙動を観察しながら、

最終的なクラウンの素材を決定しつつ、

歯の形態上のディテールを見つけてゆくのです。