音楽の基本が古典的クラッシックにあるように、
一見では進歩しているように見える歯科医学ですが、
研究分野以外の、
技術の基本形態は、
やはりクラッシックに在ることに
日本歯科大学は気づいていたのです。
技術には、
悲しい宿命があります。
ソレは、
個人的な差です。
歯科医師養成のための教育機関ですから、
今の行き過ぎた感のある国会試験を
無事に合格させて歯科医師免許を取得させることは
大きな使命ではありますが。
それでも、
日本最古の私塾として歯学の発展に寄与してきた自負ある
母校としては、
世にシッカリとした技術と考え方を持った
臨床医を養成することを
もう一つの使命として、
日夜努力を重ねている事を
私は当事者の一人として、
知っています。
学費の安い国立大学へと、
偏差値の高い学生は移動してゆきますので、
私学は偏差値競争に一時期は負けた組を
受け入れる事になります。
その若者たちに、
如何にモチベーションを向上させて、
歯科医学の魅力に気づかせるのが、
私ら教官の大きな仕事でもあります。
そのような100年、
日本歯科大学は歯科会を牽引してきました。
そこに、
日本歯科大学の教官は大きなプライドを持っていますし、
日本最大の校友会を誇る卒業生たちも、
母校の名の元に一致団結するのです。
私の噛み合わせ治療に欠かせない
百戦錬磨の咬合器です。
症例によって、
使い別けています。
中には時代的名機もあります。
私の臨床において、
この名機たちは無くてはならない道具です。
根管治療におけるラバーダム防湿と同じで、
無くても、
治療はできます。
が、
人の身体の不思議さは、
眼には見えないほど神秘の世界ですから、
医師たる者は、
シッカリとした基準値を認識するために、
眼に見える物指しを手放してはなりません。
歯科治療というものの特殊性は、
其処に尽きると言えましょう。