治療方針についての私見


先ほど、奥歯の抜歯を終えました。

歯の根が折れていたから抜歯に至った症例です。

で、

患者さんから、

来月ころインプラントの予約を採りたいのですが?

オイオイ、チョッと待っちくれい!

私は今しがた自分の眼で、

直接に骨を診ました。

どのような過程を辿りながら治ってゆくのか?

それを診て、

ゆっくりと診断したいと申し上げました。

もしかしたら、

ブリッジを奨めるかもしれません。

経過と治り方、

人それぞれです。

パターン化できるようで、

そう上手くいかないのが人の身体の手当てです。

治ってから、

初めて機能回復、

それが治療のルールです。

聡明な方でしたので理解して下さいました。

時たまに居られます。

ご自身の希望的観測の基で、

治療方針を求めて来られる方が。

治療の知識について向上して頂くことは

誠にありがたいことであるのも確かです。

ただ、

プロと素人の間には大きな河が在るのも事実なのです。

いくら説明申し上げても、

一向に折り合って下さらない方も、

少なからず居られます。

私がお願いさせて頂いて、

治療させて頂く訳ではありません。

医師と患者さんは対等の立場で、

その上で、

専門職の意見は精一杯させて頂きます。

治療にはご費用が発生しますが、

お金を払っているからと云う上位の立場で、

知らず知らず態度に出て、

治療方針をリクエストされる方も、

昨今では増えているような気がします。

私らの仕事は、

【奉仕の精神】で以て臨んでいます。

其れが基本的姿勢だと思うからです。

大切な患者さんの身体です。

少なくとも私は、

そのように思っています。

何が大切なのか?

資本主義社会の弊害を

この頃、

感じるのは多くの医療人の

声なき声であるのも事実なのです。