長い間、インプラント治療と向き合って来ました。
私の歯科医師人生がインプラント治療であったと言っても過言ではありません。
インプラントメーカーのインストラクターとして、
20年近く前から、
インプラント治療の普及に長い時間を費やしていました。
現在では多くの歯科医師が普通にインプラント治療を
日常の歯科診療に採り入れています。
それはそれで良かったと思います。
しかし、
伝わらなかったこと、
伝えきれなかったことも
現実には多かったと思います。
私は毎日、
インプラントの患者さんと向かい合っています。
といって、
入れ歯の患者さんとも、
毎日、
向き合っているのも事実です。
先ほどお一方、
レントゲンを前に、
私は思案していました。
2週間下さい、考える時間をと、
申し上げて、
今日の処は終了しました。
考え、
悩み、
調べて、
その繰り返しが私の日常です。
高名な陶芸家の方が仰られていました。
行き着いた先は無垢の白さになりました。
歯の治療も同じなんだなって、
具体化された言葉を頂いた気持ちになりました。
複雑な口腔の状況を
どのようにシンプルに手当てし、
長期にわたって維持できるか、
それが歯科医師の腕の観せ処だと思います。
教育の現場において、
偏差値を上げることと、
豊かな心を育むことの、
その間の両立に教育者は悩むのだと云う姿も、
私はここ10年、
実感しています。
真面目に職責を果すことに、
職業の差がないことも知りました。
選んだ道を極めたい。
それが人が人である証だと思います。
その先に、
何が在るのかは私は知りません。
私自身が未だに道半ばであるからです。
ただ、
無垢の白さと云う言葉の響きに、
私の心は納得したのです。