トップの度量


私が常々スタッフに対して、口酸っぱく言う台詞のひとつ。

【患者さんのことで、私の耳障りの悪い事だけは伝えて下さい】

仕事に夢中のあまり、

想わず配慮に欠けることが無いとは言えません。

また、考え方の違いから生じる、

また、私の説明の言葉足らずから生じる、

私と患者さんとの間の【ボタンのかけ間違い】ほど

愚かなことはありません。

私は患者さんが大切で大切で堪りません。

誤解ほど恐いモノは無いのです。

その様な時に私は、

スタッフからの報告に対しては、

自分の意見は一切言いません。

【判った。ありがとう】

と、だけ。

院長室のドアが閉まって、独りになって、

腹もたちます。

逆に、ナサケナイ気持ちで逃げたい想いに、

恥ずかしさで叫びたい時も在り、

大いにプライドが傷つき、

煙草の箱を床に投げつけて、

ウ~ン!と、椅子に沈み混むことも。

で、

一時心を整えた振りをして、

院長室のドアを開けて、

何事もなかった様に、

スタッフと接しています。

治療で上手くいかない症例もあります。

それを患者さんの体質のためとは、言いたくありません。

私の見立て違いであったと、

私は患者さんに対して正直に現状をお伝えしています。

その様な局面に於いては、

医者のプライド等と云うものは塵でしかありません。

私の診療所は、

私が診療所の顔ですから、

決してドン・キホーテにならないようにと、

決してピエロにはならないようにと、

でも、

孤独感だけ判ってきたような気がします。