日別アーカイブ: 2017年6月26日

患者さんとの関わり

今朝の一番の患者さんはメンテナンスの方でした。

70代の男性で、

私が若い頃からの患者さんです。

歯並びの矯正治療を行い、

奥歯は上下左右、

修復治療を行った患者さんです。

当時は自信がなかったので、

奥歯の修復は金属にて行った症例です。

患者さんは設計士の先生で、

生真面目、几帳面を絵に書いたような性格の持ち主であり、

歯磨きは完璧な、

優等生的な患者さんです。

数年前にご病気され、

設計のお仕事はリタイアされたことから、

私は大いに案じているのです。

歯の方だけは、

患者さんに助けられ、

治療終了当時のまま、

何事もなく順調に推移しています。

お心が少しばかりお元気でいらっしゃらないので、

月に一度の割合で、

私は患者さんとの雑談で、

少しでもお元気になって頂きたいと、

馬鹿な話を降っているのです。

で、

今は奥方とお二人だけの生活でいらっしゃるとのこと。

○○さん、奥方に腹がたつことないんですか?

いかにも温厚なる○○さんでも、

先生ね、一昨日は家内に腹がたって、

布団を別室に運んで寝たんですよ。

ふ~ん?

やはり、そういうもんか !

女性の口と云うのは、

本当に達者で、

弁護士なんぞは女性の天職ではないか?

と、私は常々思うのです。

女性独自の理論展開は向かう処敵なしであり、

男なんぞは絶対に敵う筈はありません。

女性は弱々しいと云うのは、アレハ絶対に嘘だと、

この歳になって熟知したのです。

私の歳になっても女性の好きな人がいますが、

私からすれば恐れ知らずの無法者だと。

手術に際しても男はジタバタされますが、

女性はシッカリされて居られることからも

よく判るのです。

私は益々、

歯と機械に向き合う方が無難だと、

今朝の患者さんとの会話から実感したのです。

 

若い歯科医師の目

東京の吉祥寺で開業している小出明医師のブログに

興味深い記述が為されていました。

なるほど!

と。

小出医師は私より一回り年少の歯科医師です。

私は小出医師に時々、

何か面白い話しはないか?

と尋ね、

時には、

講習会へと引っ張って連れ出して貰うのです。

私は小出医師の感性と情熱を高く評価しています。

若い歯科医師の物事の見方と云うのは、

本当に新鮮な瞬間を味わうのです。

私も、

これからもズットズット成長し続けたいと思います。

そういう意味で、

小出医師は私の良い栄養剤になってくれています。

小出医師が私の歳になった時に、

彼がどのように成長しているのか楽しみです。

やはり素直な性格の持ち主であることが、

どの職業においても大切だと、

つくづく感じますね。

 

 

メンテナンスの重要性

先に投稿したブログの症例についてのご質問を多く頂きました。

11年前に前歯にインプラント治療を行った症例です。

隣の歯と不揃いになっているのでは?

と云うご質問です。

良い質問だと思います。

では、

下の前歯も観て下さい。

歯列矯正を行ったにも関わらず、

ガタガタに並んでいるでしょう?

よく噛めるようになると、

上下の歯がシッカリと噛み合います。

気を付けてチェックしていないと、

上下の歯の噛み合う部分に摩耗が生じます。

それだけではありません。

並んだ歯同士が接触する部分も摩耗するのです。

今から50年ほど前に出版された口腔病理学の著書にも、

隣あった歯の接触点は経年的に摩耗し、

歯は徐々に前へ前へと移動する、

と記述されています。

ただし、

摩耗に伴って歯は挺出 ( 伸びる ) するので、

摩耗による歯並びの異常を自然に保障しているのです。

人の身体は本当によく出来ているのです。

で、

ここで矯正治療やインプラント治療、

果てはセラミック修復などの治療が行われると、

自然の摂理と不揃いが生じます。

人の老化による変化と、

歯科治療の間のアンバランスを、

注意深くチェックし、

上手く共存できるようにと、

その時々に調整が必要になってきます。

その調整が大切なのです。

この辺りも歯科医師の腕の見せ処と言って良いでしょう。

この患者さんは治療の後の調整を行っていません。

インプラントは全く移動しない訳ですから、

それ以外の歯が11年の間に、

目に観えるだけ動いたと云うことになります。

下の前歯などは、

隣あった接触点の摩耗が少ないので、

綺麗に並ばず、

ガタガタになってしまったのです。

下の前歯の歯並びが変化したことで、

インプラントの隣の歯が挺出し、

見た目で不揃いになってしまった訳です。

調整後のメンテナンスの重要性がここに在ります。

治療が終わりますと、

患者さんはとかく安心し、

治療後のメンテナンスを怠りがちになる傾向が在ります。

治療の期間中に、

アレコレ手を変へ、

メンテナンスの重要性を認識して頂くことに努めていますが、

長年の患者さんとの関わりあいから、

キチンと自らの意思でメンテナンスにお越しになられる方と、

そうでない方が明確に別れてきます。

そうでない方に対しての方略に、

私は秘かに心を悩ます訳です。

歯を大切に思って下さいと、

シツコイ位に、

患者さんに訴え続けて毎日を過ごしているのが現状です。