日別アーカイブ: 2017年6月22日

上の前歯のインプラント

70歳の女性です。

数年ぶりに、

診療所へとお顔を見せに来られました。

医師の奥方です。

お忙しいのでしょう。

右の上の前歯は、

11年前に私が行った治療です。

歯の根が折れていらっしゃいました。

抜歯してインプラントを埋入しました。

もちろん折れた歯の根の周囲の骨は痩せやすいですから、

骨の増大手術も併用しています。

で、

セラミックのクラウンにて修復しました。

それから、

ほぼメンテナンスにはお越しになられていません。

この方は、

成人矯正を受けられています。

ですから、

メンテナンスは大切なのですが。

ただ、

今現在、私を悩ませている大阪市からの患者さんの状況と

比べて下さい。

ですから、

私は悩んでるんです。

最初から見せて下されば良かったのにと。

 

表情

友人が久しぶりに治療に来ました。

受診態度としては不真面目な友人です。

忘れた頃に、

通院して来るからです。

まぁ、友人であるから甘えが在るのだと、

此方も硬いことは言いませんが。

で、

私の表情が変わったと。

そうなのかもしれませんし、

私自身は自覚していません。

ただ、

つくづく思いますのは、

もう15年も経てば70になると云うこと。

青春期に憧れこの歯科の道に入り、

私に残された時間の少ないことに

焦りを感じたのです。

一気呵成に駆け走って来ました。

ここまで来れば、

もう、

一気に残り人生も歯以外には脇目も振らず

駆け抜けよう!

そう思ったのです。

楽しんで、

夢中になって、

歯科にぶつかって行こう。

私は名人でも名医でもありません。

だから、

もっと、もっと歯を知りたいと。

今日の新しい患者さんは顎の病気の方のようです。

お役にたてれば幸いだと。

どんなに難しく見える症例であっても、

縺れた釣り糸を解すように、

丁寧に、丁寧に、

病気の原因を探してゆけば、

案外、

スッスーと、

健康を回復するものですよ。

変に難しく考えない方が。

人の生きざまと同じかもしれません。

人の顔様々。

歯の顔も様々。

其れを知って手当てすることがプロだと。

日本歯科大学創立110周年にあたって

私は仏さまのお導きにより、

商家の跡取り息子から、

一転奮起し歯科の門を叩いた者です。

で、

歯科大学29校の中から、

私は日本歯科大学で学ぶことを切望したのです。

昭和56年の入学で、

第76回生です。

日本歯科大学は稀有な教育機関です。

創立者である中原市五郎先生のオーナー家を中心に、

教職員、学生、卒業生の皆が一丸となった

強い結束を誇っています。

現学長をお務めになられる中原 泉教授は、

市五郎先生のお孫さんに相当します。

現学長先生は言わば【歯科医師の棟梁】だと、

武家社会で云う処の【武家の棟梁】のような存在であります。

建学の精神は【自主独立】

本学は未だに、

文部科学省からの助成金を受けない唯一の大学です。

【歯学は私学に創られた】

そのプライドを未だに頑なに守っています。

先刻、

日本歯科大学 創立110周年を祝う記念誌が送られてきました。

卒業生として誇らしく思います。

私は現在、密に大学との連携関係に在ります。

市井の開業医である私の意見を

素直に聞き入れて下さり、

誠にありがたい想いで感謝しています。

現在大学は、学長先生の強いリーダーシップのもとで、

次々と改革が進められています。

歯科の教育を、

此処で授かった私は、

少しでも、

そのご恩に報いたいと、

毎日の診療を

丁寧に分析を前提とした条件設定を行い

臨んできました。

多くの長期間のデーターが次々と出ています。

良い歯科医師の養成のために

惜しみなく大学へ公開できますのも、

私の

本学への感謝の気持ちからでもあります。

歯科医師供給過剰から

国が歯科医師国家試験の合格率を下げる政策を採っています。

何処の歯科大学も坑がえませんので、

教育も、

臨床医師養成のトレーニングから、

歯科医師国家試験の予備校の様を呈しているなか、

あくまでも良い歯科医師を養成する責務を自覚する本学は

残念ながら国家試験では苦戦している模様です。

100年の経験から積み上げた確かな教育方法と

国家試験合格率を上げることの両立も

早晩、解決するでしょう。

私は此処で学ぶ学生に対して

強い愛情を持っています。

其れが私が診療所を休んでまでも

母校に馳せ参じる大きな動機です。

休診の際には患者さんにはご迷惑をお掛けしています。

その分、

良い歯科医師を社会へ送り出して、

そんな気持ちを

どうぞご理解ください。