日別アーカイブ: 2013年11月13日

血は争えぬもの

IMG_20120211_142036 四国の此の地に於いても
寒さが忍びよって来ている。

 一昨年の事である。
倅と真ん中の娘を伴って
会津まで
車を走らせた。

 城巡りの好きな私である。
吹き荒ぶ雪の中を
若松城を目指していた。

 元来、方向音痴で、
ナビゲーションの案内に
決して逆らう訳ではないが、
車は
同じ処を
グルグルと廻るばかりで
いっこうに城へは
近寄れない。

 臆病なる倅は
気味悪がって、
ギャーギャー
喚きだす始末。

 吹雪は尚の事
酷くなり始めた時、
眼前の視界が一気に広がったのである。

 雪の荒野の中に
石碑が一つ。

 【白虎隊終焉の地】であった。

 私は車より降り、
越後長岡藩と供に
最後まで幕府への義を貫いたる
会津藩の若き戦士達に
手を合わせた。

 この時、倅が車の中で
騒ぎたてていたのは
云うまでもない。

 其の臆病なる倅も
今では、
戊辰の役での英霊を祀った
新潟護国神社を
好んで訪れるは
矢張、
血の為せる術であろう。

パワースポット

 信仰を持つことに
怪訝な眼差しを向けられる機会が多い。

 元来、日本人と云うのは
生活の中に
自然界に対する畏れと敬意から
身近に
神様や仏様が
いらっしゃった筈である。

 別段、
ワマトタケルが、
イザナギ、イザナミがと
信じる信じないと云う
問題では無い。

 今大学生の娘がIMG_20120623_110023
中学生の時分に
英語の個人教授を受けていた。

 若い女性であったが、
確か英国男と結婚し
小さな男の子が
居たように記憶している。

 娘は洗脳され易い年頃であった。

 在るとき、
科学を否定する言動を
娘が口にする様になった。

 私は歯科医である。
いやしくも自然科学を専攻した
歯学博士である。

 娘はダーウィンの進化論を
真っ向から否定する様になった。

 反抗期の娘ほど
父親にとって
恐ろしいものはない。

 娘は反論する私が
話をする間、
ズーと
十字架を握りしめ
うつ向いて
何かを
口の中で唱えていた。

 コリャあかんと、
立ち去る私の後ろで
娘は十字をきった。

 ここに遂に私の怒りは炸裂したのである。

 ゆでダコの様な
怒り絶頂で私は
此の英語教師の家に
怒鳴り込みしたのである。

 「あんたの倅に
   俺がお不動さんの信言教えて
       高野山へ修行に連れてってやろうか!」

 其れは困りますと
タジタジになっていたが、
此の人は
本当にダーウィンの進化論を否定し
神様が人を造ったと
信じていた。

 私は信心深い人間である。
海には海の神様が、
山には山の神様が
いらっしゃると
身体の中で
其のように感じている。

 が、頭のなかは
私は科学を学ぶ人である。

 其の辺りを
追及されれば
苦しいが
自然界や人の身体には
科学を越えた
或なにものかの力を
感じざるを得ないのである。

 特に人の身体を預かる医師たるもの、
データー重視の専門職よりも
哲学を持ち、
目に見えぬ力を畏れる人の方に
立派な仕事をするを
接しての
私の考えである。

 付随の写真は
越後の覇王である
謙信の山にある
神社である。

 此の様な処を
訪れる度に
私は何かしらの
力を頂いていると
感じて
感謝するのである。

たかが犬、されど犬

IMG00203 マリリンが
家に来てからと云うもの
私の生活は一変した。

 診療所まで
犬を連れて来る等と云うことは
以前の私であれば
考えられない事であった。

 無論、
いくら可愛いからと云っても
患者さんに
遭遇する様な処には
繋いではいない。

 私の診療所は
アルコール臭も
一切しない様に
配慮しているので、
犬の臭いも
しない様に
以前にも増して
其の辺りには
気をつけている。

 新潟へも
マリリンは同行する。

 何故に其処まで
大した事の無い犬を
離さないのかと
問われたら、
其れは、
以前飼っていた
ラブラドールのラブリーに
申し訳なかったと云う
後悔の念が在る為である。

 仕事にかまけて
大切にして遣れなかったと云う
後ろめたさが
私の心の内に
重くのし掛かって
私を苦しめさせる。

 私は同じ過ちを
繰り返したくは無い。

 誰にも言えぬ
心の内を
語れるのは
犬でけである。

 男とは
その様な孤独で
成長すると思っている。