日別アーカイブ: 2013年11月12日

良い仕事

 この間、新潟へ行っていた際に、
何時もの様に
末の娘と
人情横町を歩いていたら、IMG00201
石山魚店の親父さんから
声を掛けられた。

「先生、これ持って行きなせぃ!
  お嬢ちゃんと一緒に食べなせぃ。」

 店脇の軒に
吊り下げた
干し柿であった。

 両手で受けとる娘の顔は
今すぐにとでもと
訴えていたが、
家まで持ち帰り
炬燵で倅と一緒に
食べればと
言い聞かせて
家路に就いた。

 私は、この様な
些細な日常に
幸せを感じるのである。

 飽食、ブランド品に
囲まれ様とは思わない。

 良い仕事をして、
家族に笑いが絶えぬを
望む様になったのは
自分がもう若くはないのだと
感じる頃になってからである。

 但し、
良い仕事をすると云うのは
本当は
戦いなのだ。

 他人にもと云うより
自身に偽りない
良い仕事をするのは
決して平坦な
道ではない。

癒し

 私の診療所へお越しになる
患者さんの平均年齢は66歳である。

 昨夕、新患として
お越しになった方は
なんと20代前半の女性であったので
私は緊張してしまった。P1000244

 来春、大学を卒業する
上の娘と、
其の佇まいが
重なるからである。

 診断は一つであっても
其の治療の方法は
星の数ほど
私の手の内には
在るのだが、
少しでも
無理の無いようにと
模索しながら
情が入って考えていた。

 上の前歯2本に
治療が施されていたのだが、
上手くいっていない
症例であった。

 治療よりも
治療方法の模索の方が
ずっとクタビレる
作業である。

 その様な時に
幼児の日常に触れて
私は癒されるのである。