診療所まで
犬を連れて来る等と云うことは
以前の私であれば
考えられない事であった。
無論、
いくら可愛いからと云っても
患者さんに
遭遇する様な処には
繋いではいない。
私の診療所は
アルコール臭も
一切しない様に
配慮しているので、
犬の臭いも
しない様に
以前にも増して
其の辺りには
気をつけている。
新潟へも
マリリンは同行する。
何故に其処まで
大した事の無い犬を
離さないのかと
問われたら、
其れは、
以前飼っていた
ラブラドールのラブリーに
申し訳なかったと云う
後悔の念が在る為である。
仕事にかまけて
大切にして遣れなかったと云う
後ろめたさが
私の心の内に
重くのし掛かって
私を苦しめさせる。
私は同じ過ちを
繰り返したくは無い。
誰にも言えぬ
心の内を
語れるのは
犬でけである。
男とは
その様な孤独で
成長すると思っている。