カテゴリー別アーカイブ: ただの日記

心境の変化

私は、診療所では白衣は着用していません。

ホームページの写真と通り、ワイシャツにネクタイとベストで患者さんに向かい合っています。

患者さんからは、よく聞かれました。

そんなときには、私が白衣を着たら散髪屋さんみたいじゃないですか!とか、

私は何時も心に白衣を着ていますからと、キザな台詞で応対していました。

私の医者の白衣に対する印象が悪いのは、どうやら悪い例を観ていたからかもしれません。

毎日、仕事前に、パリッと糊の利いた新しい白衣に交換して患者さんをお迎えする医者に会ったことがなかったからでしょう。

キチンとした仕事をする料理人は、暖簾をあげる前に、顔をサッパリとさせて、

新しい白衣に着替え、腰の帯をビシッと締めるもんです。

ダラシナイ白衣を着る料理人に、良い仕事をする人は居りません。

こういう処から、私も歳をとって来ました。

ソロソロ、白衣に袖を通そうと考えて、カタログとニラメッコです。

但し、良い白衣って高いんですよ!

一着、何万円もします。

の、掛ける5~6枚は取りあえず必要です。

あー、これでまた、10年以上使っている財布を買い換えたり、鞄の新調も、また何時のことになるのやら。

犬たちに囲まれて

朝、娘たちを学校へと送って行った後で、1歳を少し過ぎたラフコリーのラッシーちゃんを避妊手術へと連れて行きました。

この子は、とてもお利口さんで、上の娘にとても、とても忠実です。

何時も物静かで、リードを引っ張ることも全くありません。

上の娘に何時も寄り添っています。

あんまり手が懸からないモノですから、いつも後回しです。

真ん中のオテンバ娘のモモちゃんに、両手を合わせてせがまれて家族となったセントバーナードの平蔵は、

まだ半年くらいの癖して、身体も態度もジャンボサイズです。

大きな大きな手で、かまってくれい!とお手出しを!

瞳が合えば、大きなお腹を出して寝そべってきます。

で、大きな大きなオマタの間には、これもジャンボサイズのオチンチン!

こんなので、かけ張りでもされたら、家中はオシッコだらけで、

ついでに、これから年頃のレディへと成長する娘たちの目の毒!

イカン!イカン!汚らわしい!と、

家に来て早々に、平蔵は獣医さんへと去勢へと連れて行かれたのです。

予防注射や、お薬を頂く都度に、平蔵は車から降りて来ようとはしません。

が、今朝は自分には関係ないことが聞き耳で判っているのでしょう。

ラッシーを先導して獣医さんへと入って行くではありませんか!

恐怖でおののく、診察台の上のラッシーちゃんを、ジーと見つめる平蔵でした。

マリリンも随分と大人になりました。

ゴールデン.リトリバーという犬は本当に愛らしく賢い犬だと思います。

で、セントバーナードは?

賢いんだとは想いマスよ!

ただ、名前の由来である鬼の平蔵とは、まったくかけ離れた

水戸黄門に登場する【うっかり八平衛】に近いかもしれません。

診察に追われて、気がたつ私ですが、犬たちに囲まれて癒されています。

娘たちも、それぞれに担当の犬が居り、確りしてきたと、

これも犬たちに感謝しています。

骨の造成手術

28年ほど経ったようです。私がインプラント治療に携わって。

インプラント体のサイズは、売れ筋は直径が3.85ミリ程度、長さが10ミリ程度のモノのようです。

私は日常的に、直径が4.5ミリ程度、長さが13ミリ程度のモノを使っています。

インプラント体の価格は、同じメーカーであれば、どのサイズも同じです。

今後、将来に渡って、大きな噛む力に耐えるインプラント体です。

家の柱と同じで、太く、長くが、確りするは当たり前です。

この太く、長いインプラント体を取り囲む骨が、インプラント治療の成績を左右します。

これも家造りで云う処の地盤の強さと同じです。

インプラント体を支える骨を、より確りと厚く、大きくする手術が、骨の造成手術です。

私の診療所では、この骨の造成手術は日常的に行われています。

聞き耳には、恐くて、大変な手術とお感じになられるかもしれません。

が、相手が活きた骨です。

非常にデリケートな配慮でもって、手術は行われています。

する私とは異なり、患者さんの側は、案外と楽な様です。

今週は、上顎洞底挙上手術、これは骨の高さを増すための手術です。

そして、スプリット.クレスト手術を予定しています。

これは、骨の幅が薄い症例に対して行われる骨の造成手術のなかの一つで、

切り立った山の頂上のような骨を、中心部で割き開いて、骨の幅を厚くする手法です。

幅を厚くする際には、イッキに切り割くのではなく、

車をジャッキアップするように、ユックリとジワジワと時間をかけて大きく開いていきます。

あー恐い!

と、お感じになられるかもしれませんが、

患者さんは、ご自身の口の中で行われている状況は、一切、お感じになられません。

頼りない骨をそのままに、細く、短いインプラント体を入れる方が、

よっぽど、恐いインプラント治療だと思います。

建築物でも、耐震構造をトヤカク気にする昨今です。

確りとしたインプラント治療には、とても大切な手法です。

治療のご費用に関して その1.

インプラント治療を希望されてお越しになられる患者さんは、

インターネット情報などで、よく勉強されておられます。

ですから、治療のご費用についても、世間相場というモノもよく認識されておられ、

余りにも低価格なモノはアヤシイと感じつつも、

それでも少しは安い方が良いという気持ちが働きつつ、

いったい幾らかかるんだろう?という気持ちが、

本来の治療の成功に関する事よりも先にたって仕舞うんでしょう。

そういうことって、私らには、よーく伝わってきます。

キチンと丁寧に治して差し上げよう!と、

治療する側の私らは、学問的なことばかりに気が行ってますので、

そう言う時は、このくらいの予算でと、予めお話し頂いた方が

お互いが気が楽にというモノです。

昔、大きな病院で手術をエライ先生から受ける際には、

治療費用とは別にお礼をお包みして、で、その相場が‥。

なんて、話を大人たちがしていましたが、

手術をする側の医者が、謝礼の多さ加減で、治療のさじ加減を加えるなどと云ったことはありません。

患者さんの治療に向かい合う医者という生き物は、

山々を前にした山男と同じで、

どうやって、この病に打ち勝つか!しか考えていません。

通り相場というモノがありますので、

変な処に気を遣うくらいならば、一緒に協力して歯磨きに精を出して頂くことに

頑張って頂きたいと思います。

治療のご費用に関しては、遠慮なく聞いて下さい。

賜物

京都市からお越しの患者さんの治療の途中での一休みです。

今、スタッフの宮田君が患者さんのお口の中をクリーニングしている処です。

当の私は、先程まで、この患者さんの奥歯部分にインプラントの部品であるアバットメントを装着していました。

アバットメントの上に人工歯が被さります。

この人工歯の噛み合わせの調整も併せて行って、

眼がシバシバします。

拡大鏡下での作業ですから、丁寧な仕事が出来ますが、

それだけに眼に負担が架かり、神経も張りつめます。

で、一服です。

30分位の間に、歯を艶々しく綺麗にしてくれるでしょう。

で、再び私の出番となります。

この患者さんには無理を利いて頂きました。

修復治療に先だって、歯列矯正の治療を受けて頂きました。

私より年上の女性ですが、京都市から兵庫県川西市の畑先生のもとで矯正治療に通って頂きました。

お陰で、非常に修復治療は、やり易く、綺麗な機能的な形態の人工歯の仕上がりとなりました。

良い仕事は、患者さんの協力の賜物であると感謝しています。

素晴らしい仕事.歯科治療

夜通し、本を読んでいました。

今朝も一番に手術があります。

歯肉の移植手術です。

意外と徹夜は、堪えていません。

気が張り詰めているんだと思います。

私の仕事は、人の身体をあずかる意味合いを持ちます。

ですから、責任の重さで押し潰されない為には、気持ちを張り詰めているしかありません。

秋の恒例行事となった母校での特別講義は、私にとっては、とても重要な意味を持ちます。

歯科大に入学したばかりの1年坊主ですから、まだ専門知識はありません。

ですから、難しいテクニックや診断論について述べても無意味です。

医人として彼らが経験するであろう重圧を、寧ろ糧として生きていく術についての話に重きをおいています。

芸の道に身をおくわけですから、一般のサラリーマンや事業家のような考え方をあえて排除しなければならない時もしばしばです。

営利のみを追求することを慎まなければなりませんし、

少しのミスが大きな命取りになる事も知っておかねばなりません。

厳しい道であったと、振り返り観れば、その様に想わざるを得なかったと感じますし、

現状に於いても、常に自己を律する心を持っていなければ、

到底、患者さんの身体を触ることは出来ません。

矛盾した言い方ですが、

自信を持って患者さんに接して治療を行っていますと共に、

まだまだ、モット良い治療が在るんじゃないかと、

謙虚な気持ちで、未だに自己の未熟を感じて過ごしています。

治療なり、書物に目を通すだけで多くのエネルギーを消耗します。

瞳でしかモノを言わない犬を離さないのは、それだけ心に傷つく仕事でも在るからだと思います。

歯のキチガイと言われたことが度々です。

歯への情熱の大きさから、他の方向にまで眼が届きません。

これを責められるのは、正直に申し上げると酷だと思います。

日本歯科大学の合格発表に喜び、富士見坂を駆け降りました。

歯科医師国家試験の合格発表の報に、良い歯医者でありたいと決意した頃から

私の歯科医学への興味が尽きることはありません。

こんな厳しい、辛い、悲しい仕事ということは、誰よりも私が知っています。

でも、私は素晴らしい仕事.歯科治療という意味合いも誰よりも判っています。

人は生まれる時に独りなら、死ぬときも独りです。

頂いた命を、単に時間消費するのではなく、価値あるモノに自分の心の持ちようにてと

若き歯科学生に気づいて頂きたいと思います。

早いもので

今は亡き日本歯科大学の小倉英雄学部長から頂いた【素晴らしい仕事.歯科治療】という命題で

第1学年の学生諸君に対する特別講義を始めて、早いもので8年になります。

17の歳で歯科医の道を志し、数ある歯科大学の中で【自主独立】を建学の精神とし、

未だに文部科学省からの助成金を一切に頂戴していない唯一の私学である反骨精神に惹かれて

私は日本歯科大学の門を叩きました。

歯科一筋の半生であったので、私には難しい世間一般の話は判りません。

それ処か、いつまで経っても、歯のなん足るか!も未だに判ってはおりません。

こんな私ですから、毎年のように此の季節になると頭を抱え込んで仕舞うのです。

歯科以外に、自分の生きる道など考えなかった私ですから。

好きな仕事に就けた幸運に感謝しています。

幸せなんでしょう。

じゃ、毎日が楽しくて良いですね!って?

そうかもしれません。

でも、本当にそう思われますか?

私らは、痛い!噛めない!辛い!って患者さんからの大きな期待に応えなきゃならんのです。

それも、大きなお金を頂いてですよ。

厳しいて、辛くて、悲しいから、お金を頂けるんです。

ラクして、楽しんで、嬉しいんだったら、こちらがお金を払わなあかんと思いませんか?

私を支えてるんは、もっともっと何かが在るんだろう?という好奇心ですよ。

それと、就きたい仕事に就かせて頂いた神様仏様への感謝の気持ち、

そして、こんな私ですら頼って来て下さる患者さんへの責任感です。

自分にはモット向いている仕事が在るんだと!次々に職を変える人って居るじゃないですか。

そんな虫の良い話なんてあるはず無いじゃないですか?

私ら凡人は、才能なんて無いんですよ。

才能があるんだったら、幼児の時に花開いてます!

〇〇の天才って。

そうでもない限り、私ら凡人は、縁があって就いた仕事に全部を没頭させないとモノにはなりませんよ。

壁に何度もぶつかりました。

スランプなんてしょっちゅうです。

でも、その都度に落ち込んでいてもどうもなりません。

自分で工夫するしかありません。

これは私ら歯医者だけじゃないと思いますよ。

職人でも芸人でも、同じ匂いがするもんです。

今年の特別講は10月23日です。

それまで、これから日本の歯科医療の最前線に立つ若人の記憶に残る役者でありたいと

思案しながら過ごすことになります。

彼らが私の歳になる頃には、当の私は生きてはいないでしょうから。

良い歯医者さんになって欲しいと、本心から、そう願っています。

エステティックな歯科治療 その1.

一昨年ほど前から、比較的若い患者さんがお越しになられます。

それまでは、壮年?老年歯科?を標榜出来るくらいの患者さんが大半でした。

私の診療所の特徴が、どうしてもインプラント治療が中心であったからだと思いこんでいました。

下手をすれば、社会人となった娘くらいの患者さんもお越しになられます。

私としては、生涯の間に、何度も何度も再治療の繰り返しということは絶対に避けて差し上げたいと思っています。

私の手にかかった処は、ズット患者さんのお口の中で、お役にたって貰いたいと念じて治療しています。

患者さんが私の年齢になった時には、恐らく私はこの世には居ないでしょう。

その時に、私の遺した仕事の結果だけは、患者さんのお口の中で生き続けて欲しいと念じて治療しています。

長持ちを一番に考えて治療しています。

しかしながら、口許は人の第1印象に大きく影響を与えます。

私は自分の患者さんには、いつまでも輝いて頂きたいと思っています。

当分の間、この項をかりて、歯科治療とエステティックとのかかわり合いについて述べさせて頂きたいと思っています。

エステティックな歯科治療 その4.

セラミックを使って歯を造ったら、自然感にあふれ、美しい口許になると単純に思っていたら大変なことになります。

だって私の診療所へお越しの患者さんの大半は、既にセラミックでの治療をお受けになっていますから。

お世辞でも綺麗だとは言えない状態で、皆さんがお越しになられます。

昨日の初診の患者さんも、そうでした。

私の診療所へお越しになるまで、心配で心配で眠れなかったそうです。

素人である患者さんが綺麗だと思わないモノを、

素人である患者さんが、不安を抱えた状態にまで炎症が進んだモノを、

どうして専門家である当の治した歯科医が解らないのか、私は不思議で仕方ありません。

視る眼がないんでしょうか?

それとも、眼が腐っているんでしょうか?

セラミックは使い勝手の良い素材です。

一言にセラミックといっても色々な種類があります。

魚と同じです。

白身魚、赤身魚、青い魚、様々あるように、

生で頂くか、締めるか!焼くか!煮付けるか!

セラミックの使いよう、選びようも同じです。

エステティックな歯科治療にセラミックは欠かせない素材ですが、

美しく出来るかどうかは、歯科医と歯科技工士のハーモニーの成せる技であると言えましょう。

エステティックな歯科治療 その3.

1本の歯でさえも、1色で構成されている訳ではありません。

歯の先端部分は、すりガラスのように半透明に透けていますし、

歯と歯茎の境目辺りは、若干黄ばんでいるものです。

歯の本体部分においても、ジックリ視ると、何色もの色合いが混ざりあい、重なりあって

深い色合いを帯びています。

本来、天然の歯は、中身が空洞になっています。

この空洞部分に、俗に云う神経が入っています。

その空洞を取り囲むように象牙質があり、この象牙質は決して石ころのような素材ではなく、

コラーゲン繊維の束からなる活きた組織なのです。

ですから、体液を内側の空洞の中の血管から絶えず供給を受けている濡れた組織なのです。

この象牙質を取り囲むエナメル質は、無機質の組織ですが、

ワシントンにある独立記念塔のような形をした柱状のエナメル小柱という組織が重なりあって出来ています。

この半透明のエナメル質は、柱が列なって構成されているので、

光の屈折率に特徴を持っています。

光の種類や程度によって、様々な吸収、反射の様を見せます。

種類の異なった組織構造の重なった歯の色調の深さの原因が、ここにあります。

私の診療所で、修復治療において人工歯を作製するに際しては、

単に、オールセラミッククラウンやメタルボンドクラウンと云った大雑把な種類の選択よりも、

患者さんの口許の自然感と調和するには、どうすれば良いのか!を先ず見極めてから

修復で使うセラミック素材を吟味しています。