早いもので


今は亡き日本歯科大学の小倉英雄学部長から頂いた【素晴らしい仕事.歯科治療】という命題で

第1学年の学生諸君に対する特別講義を始めて、早いもので8年になります。

17の歳で歯科医の道を志し、数ある歯科大学の中で【自主独立】を建学の精神とし、

未だに文部科学省からの助成金を一切に頂戴していない唯一の私学である反骨精神に惹かれて

私は日本歯科大学の門を叩きました。

歯科一筋の半生であったので、私には難しい世間一般の話は判りません。

それ処か、いつまで経っても、歯のなん足るか!も未だに判ってはおりません。

こんな私ですから、毎年のように此の季節になると頭を抱え込んで仕舞うのです。

歯科以外に、自分の生きる道など考えなかった私ですから。

好きな仕事に就けた幸運に感謝しています。

幸せなんでしょう。

じゃ、毎日が楽しくて良いですね!って?

そうかもしれません。

でも、本当にそう思われますか?

私らは、痛い!噛めない!辛い!って患者さんからの大きな期待に応えなきゃならんのです。

それも、大きなお金を頂いてですよ。

厳しいて、辛くて、悲しいから、お金を頂けるんです。

ラクして、楽しんで、嬉しいんだったら、こちらがお金を払わなあかんと思いませんか?

私を支えてるんは、もっともっと何かが在るんだろう?という好奇心ですよ。

それと、就きたい仕事に就かせて頂いた神様仏様への感謝の気持ち、

そして、こんな私ですら頼って来て下さる患者さんへの責任感です。

自分にはモット向いている仕事が在るんだと!次々に職を変える人って居るじゃないですか。

そんな虫の良い話なんてあるはず無いじゃないですか?

私ら凡人は、才能なんて無いんですよ。

才能があるんだったら、幼児の時に花開いてます!

〇〇の天才って。

そうでもない限り、私ら凡人は、縁があって就いた仕事に全部を没頭させないとモノにはなりませんよ。

壁に何度もぶつかりました。

スランプなんてしょっちゅうです。

でも、その都度に落ち込んでいてもどうもなりません。

自分で工夫するしかありません。

これは私ら歯医者だけじゃないと思いますよ。

職人でも芸人でも、同じ匂いがするもんです。

今年の特別講は10月23日です。

それまで、これから日本の歯科医療の最前線に立つ若人の記憶に残る役者でありたいと

思案しながら過ごすことになります。

彼らが私の歳になる頃には、当の私は生きてはいないでしょうから。

良い歯医者さんになって欲しいと、本心から、そう願っています。