旨いもの


 断っておくが、
私は決して食通ではない。
単に美味しいものが
好きなだけである。

 此処で云う
美味しいものと云うのは
私が美味しいと
感じるものであって
他人の舌で
美味しいと評価されているものではない。

 江戸前の天婦羅屋などで供される
上等な白い胡麻油を潜った
天婦羅は格別であるが
私は普段の調理には
小豆島のかど屋の胡麻油を
贔屓にしている。

 そもそも家庭の味と云うのは
肩肘張らずに
心持ち和むを一番とすべきである。

 油を使う際に
私はサラダ油を使う事はなく
専らかど屋の胡麻油派である。

 生の野菜を食べる際にも
塩と胡椒を少々降ったる上から
胡麻油と醤油をかけてが
一番旨いと
感じたる私である。