親心


 例年であれば年末年始は
新潟で過ごすを
常としているが、
今年の春に
先祖の仏壇を
私が看る事になったので、
流石に正月を
先祖を放ったらかしておく訳には往かず
高松で居ようと思いたった。

 倅を新潟から
久方ぶりに帰省させ様と思ったが
親不孝なる倅は
扶養の身で在るにも拘わらず
新潟駅で捨てられたる
仔猫を拾い上げ
ゴクツブシが又々
極を潰す始末。

 さて此の猫も
遥か四国の地に迄
帰省させねば為るまいと
憐れなる私は
倅と猫の足の手配を
せねば成らない破目となった。

 とは云うものの、
倅にとって
確か一年ぶりの
故郷への里帰りである。

 旨いものでも
食わせてやろうと
今から彼是思案中である。

 親とは
かような生き物であろう。