男同士の絆


東京新橋の線路下のガード街にて、

友人と焼鳥を摘まんでいました。

周りは勤め帰りのサラリーマンだらけ。

みんな、頑張ってるんだな、日本のお父さん!

それにしても、

私なんかも含めて、

男は背負ってるんです。

背負う重さが重いから、

ヘコタレルんではありません。

女房に楽させてやりたい、

ガキたちを一人前の教育を受けさせやりたい、

それが俺の人生の仕事だと信じているから、

社会での不条理に耐えてるんです。

でも今は、

親父は家族の粗大ゴミなんだそうです。

そういう考えをお持ちでない方も居られるでしょう。

でも、

かく云う私でさえも、

あなたはいつも怒ってばかり。

あなたが居たら子供が部屋から消えるのが判らないの?

あなた居ると、私は身体がつかれるの!

他で女でも作ってくれたほうがズッとマシだわ!

あなたはどうしてトイレの蓋を閉めないの!

どうして靴を揃えて脱げないの!

家の前に立つと怖かったですよ。

テレビの優先権などありません。

冷房の温度を決める権利などもありません。

グッと我慢していました。

口では絶対に女性に叶いませんから。

私は馬鹿ですから、

家人への愛情は知り合った当時から、

それでも変わっていませんでした。

だから悩みに悩みましたね。

それでも、

いつの日からか、

私は家人にとっての敵になったのです。

自由の妨げへの原因が私だと云う理屈だったと

昭和の男である私は

仰け反るほど驚いたのです。

家人が子供たちに腹がたち

叱っている以上と云う表現が正しいでしょう。

しかし、

それも元々は私に腹がたつのが原因なんだそうな。

私ですか?

辛抱していますよ。

が、

弦も糸も張りつめ過ぎた状態で、

そこに心の準備もなくの突然に、

大きな負荷がトドメとして、

襲いかかってきたら、

いくらなんでもプツンと切れますよ。

そこからは修羅場ですよ。

ただし、

修羅場になってボロボロになるのは

男の方です。

母子連合軍の無視攻撃に長期間曝されるからです。

焼鳥屋のカウンターの横、後ろから、

男たちの心の会話が聞こえてきます。

みんな同じことで苦しんでるんだ。