私は歯科医師であって本当に良かったと、
今更ながら自分の軌跡を振り返って、
そう感謝しています。
学問と仕事の両立に一端の矛盾の無い職業だからです。
また歯科医学の特殊性から、
座学だけでは到底、解決できない応用力を
必要とする職業だからです。
私は自由人です。
自分の流儀が既に確立できている年齢に達しています。
ですから私は歯科医学の研鑽が自分の定めだと信じて止みません。
若者には、
自分の信じる道を見つけて貰いたいと思います。
一端道を定めたならば、
脇目を振らずに、
前へ前へとひたすらに進む素直さと、愚鈍さを、
身につけて欲しいと思います。
舗装された道のりより、
砂浜を波に脚を捕られながらも、
歩いて欲しいと思います。
振り返って観れば、
歩いた足跡だけは残っているからです。
18の歳で私は歯科医学の道に入りました。
明日で私は54の歳になります。
築き上げ残したモノと言えば、
財産ではありません。
歯の声が聴こえると云う第6番目の感覚を得た事です。
私はこの為にだけ、
36年の年月を費やして来ました。
その収穫を天に感謝しています。
私は残された人生の時間を
患者さんに尽くしたいと考えています。
得られた第6番目の感覚を武器に、
患者さんの病と戦いたいと切望しています。
私の願いは、
ただそれだけです。